異世界召喚チート騎士は竜姫に一生の愛を誓う

はやしかわともえ

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「ん…」

目を開けるとルネが隣ですうすう眠っている。俺より起きるのが遅いなんて珍しいな。端末を見ると、ピンフィーネさんからメッセージが来ていた。昨日の行商人についてだ。モアグリア王城のそばでもそれらしき人物が度々目撃されているようである。同じような商売をしているヒトからしたら迷惑極まりない。医薬品を専門に売っている人らしいということが昨日分かったもんな。俺はその旨をピンフィーネさんにメッセージで送っておいた。これでまたなにか話が進展するかもしれない。

「ショーゴ?おはよぉー」

眠たそうな顔でルネが言う。疲れてるんだろう。ここの所、ずっとハードだったもんな。俺はルネの頭を撫でた。

「おはよう、ルネ。もう少し眠ろうか」

「…うん」

俺が寝そべるとルネが抱き着いてきた。額に口づけるとルネが笑い出す。

「ショーゴのそうゆうとこ、大好き」

「うん、俺もルネが好きだよ」

それから少し眠ったら、体が随分楽になった。
やっぱり疲れてたんだ。夢なんか一切見なかった。

「うー、気持ち良かったー」

ルネがぐぐっと伸びをしている。二度寝って本当に気持ちいいよな。よく眠ったし頭の中もすっきりしている。今は午前九時半。そろそろ支度して次の村へ行ってみるか。

✢✢✢

大鬼の村から南西に向かうと獣人さんの村が見えてきた。建物らしいものはなくて、全てテントだ。コロニーから帰ってきたばかりでまだ建物も出来てないんだろうな。村らしき入口には警備をしている獣人さんがいる。

「あの、こんにちは」

「失礼ですが、アポイントメントは取られていますか?」

え!

「えーと、取ってないです」

「本日、アポイントメントを取られていない方はこちらには入れません。申し訳ありません」

な…なんだって!!警備員さんによくよく事情を聞いてみると、ここはかなり大手の会社の関係者の集まりらしい。つまり村というより企業だ。新しい建物を建てようと、かなり大型の重機も入っている。土地は全てモアグリアのものだからそこから買ったらしい。ここだけ急に都会っぽいぞ。コロニーがあるくらいだからやっぱり科学力が凄まじいんだろう。今日はひとまず引き返すことにするか。俺は来た道を引き返した。

「ご苦労だったな、ショーゴ。龍姫様、ありがとうございます」

帰りは真っ直ぐだったのでその日の夜には王城に到着していた。簡易ギルドに入ると、ピンフィーネさんが赤い何かのジュースらしきものを飲みながら書類仕事をしている。姉妹揃って働き者だよな。シャナもマヨイもフィーナさんにあやされている。ルネはそちらに行く。俺は先程見た会社についてピンフィーネさんに尋ねてみた。

「あぁ、あそこは製薬会社だ。かなり大手だぞ。重機も社員も全て自分の宇宙船に積んで持ってきたんだろうな」

よくやるなぁ。俺は感心してしまった。

「なんていう名前の会社なんですか?」

「あぁ、確かツネキ製薬という名前だ。まだこれからも新たな企業が参入してくるだろうな。コロニーの方で地盤が出来た会社はゴロゴロある。それだけ長くコロニーにいたということだ」

ピンフィーネさんは張り切っているようだ。基本的に働くのが好きな人なんだろう。
モアグリア王城を中心として、都市建設計画なるものが動き出しているらしい。コロニーから帰ってきた人が住むところだって作らなきゃいけないし、建設現場で働ける人は今、皆そこで働いている。毎日目まぐるしく社会は変わっている。

「そういえばショーゴよ、行商の者についてもう少し詳しく探ってはもらえないか?あちこちで被害が出ていてな」

「分かりました」

まだまだ油断は出来ないな。マヨイとシャナの寝顔を見てから俺たちは宿に戻った。

「ねえ、ショーゴ?」

「んー?」

ルネが赤い顔でこちらを見てくる。それが何なのかさすがの俺でも分かった。慌ててルネを抱き寄せる。体が熱い。

「発情してる?」

「ん、まだだいじょぶ…だよ」

ルネはふう、ふう、と呼吸で熱を逃がそうとしている。このまま俺がもし、ルネを抱いたらルネは妊娠するんだろうか?でもルネは俺を最古龍のしきたりに巻き込みたくないって言っている。こんな時にオロオロしてしまう自分が情けない。好きな子をこんなにも苦しめてしまう。

「ルネ…」

「ショーゴ、ぎゅってして」

俺はルネをきつく抱きしめた。

「ショーゴは僕を抱きたいって思う?」

「そりゃ思うよ!ルネのこと大好きだし」

ふふっとルネが嬉しそうに笑った。

「僕もショーゴの子なら産みたいよ。でも最古龍の妊娠は本当に発情していないと出来ないんだ」

「それ、すごく苦しいんじゃ?」

「分からないけどね。最古龍はそうやって繁栄してきたんだよ。僕は何人の子を産めるんだろうってオババ様たちは期待しているみたいだけど」

「勝手だなぁ」

思わず憤慨して言ったら本当にとルネはまた笑った。

「ね、ショーゴ?僕が本当に発情したら抱いてくれないかな?だって、僕、ショーゴとの赤ちゃん産みたいもん」

「うん、分かった」

「ようやく番になれたんですね」

呆れたような声音が端末から流れてくる。ルアナさんだ。常に俺たちの声を聞いているのか?プライバシーの侵害にも程がある。

「姉さん、僕はまだ発情期には入らないよ。それにまだやらなきゃいけないことがあるから里にも帰らない」

「仕方がありませんね。ショーゴさん、ルネをお願い致します」

「はい」

プツッと端末が切れる。

「ショーゴ」

「わ」

いつの間にかルネに押し倒されてキスされていた。

「好きだよ、大好きだよ」

ルネを俺は抱きしめた。


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