異世界召喚チート騎士は竜姫に一生の愛を誓う

はやしかわともえ

文字の大きさ
25 / 68

25

しおりを挟む
「っは!…はっ!…ふ」

退院してから既に3日が経過している。俺は入院中に落ちてしまった体力と筋力をなるべく元に戻すべく専用のジムで走っている。に、しても。

「あと15分だ。走れ走れ」

「ショーゴ、頑張れ!」

何故か最近、ダリアさんにめっちゃ扱かれているのだ。ダリアさんだって自分の調整があるだろうに、俺なんかに構っていていいのか?

「スピードアップ♡」

「わぁあ!速いからあ!」

「ショーゴ!!頑張れぇ!」

ダリアさんの扱きは正直に言って鬼である。カイエンさんには遠巻きにクレームを入れておこう。走った後は木刀の素振り、そのあと5分小休止、それからまたひたすら走るを繰り返す。これを1日30セット。地味だけど体力を戻さないことには戦えないからなぁ。

「小手先の技などいくら使ってもここでは勝ち残れないからな」とはダリアさんの言である。

やっぱり厳しいんだ、闘技場。でもダリアさんがこうして教えてくれるだけ、俺は幸運なんだろうな。今日もようやく全てこなした。

「うん、まぁまぁと言った所か。明日からの試合頑張れよ。私を楽しませろ」

「はい、ありがとうございます」

ルネが駆け寄って抱き着いてくる。

「ダリアにはあげないんだからね!」

ダリアさんは振り返らずにひらひら手を振った。こりゃなんかあったな。またそれとなく聞いてみよう。

「ショーゴ、大丈夫?体、痛いとこない?」

「大丈夫だよ。先生にも完治してるって言われたし」

ルネの大きな青い瞳がゆらりと揺らめく。

「また怪我しちゃうかも…」

あちゃあ、ルネにめちゃくちゃ心配掛けちまってるな。俺は彼氏失格なのかも。

「いい、ルネ?それは俺が弱いからなんだよ」

「違うもん、ショーゴは最強なんだもん」

確かにそれはある。ルネの力も相まってだ。
でも俺はその力を自分のためには使わないことにしている。本当に必要な時に使えるようにだ。強大な力は身を滅ぼすって、厨二あるあるだしな。

「ショーゴは前より強くなったよ。それは認めてる。でも僕、心配で」

ルネが愛おしい。俺はルネを抱き締めた。ルネは涙目で俺を見上げてくる。

「大丈夫。今度はなるべく?怪我しないようにするからさ」

ルネが俺の言葉にぶすっとした。変顔可愛い。

「ショーゴは絶対に無理するよ、怪我もしないなんて嘘だもん。流石に僕でももう騙されないんだからね!」

「ルネ姫ー、お願いですから、なんとか許してくださいよー」

「ぶふっ、なにそれ」

ルネの笑いの沸点の低さはよく知っている。しばらくお願いですからーって言ってたらなんとかなった。うん、ルネは思っていたよりチョロいぞ!いいことを知ったな!

✢✢✢

よーし、明日からまた試合だしよく眠ろう。ルネはもう眠っている。疲れたのかな。
そういえば発情は大丈夫だったのかな。ルネは何も言わないけど、俺は二週間も傍にいてやれなかったわけだし。ルネの隣に寝そべってほのかに赤い頬を撫でた。ルネがうっすらと目を開ける。

「ショーゴ、僕ねこの間発情しちゃったの」

ルネは恥ずかしそうに言った。

「大丈夫だったの?」

ルネは眠かったらしい、再び目を閉じた。

「ショーゴに頼りきりじゃいけないから…」

ルネはそれだけ言って眠った。毎回見ているから知っているけれど、ルネの発情は苦しいものだ。
いつも辛そうにしている。俺は決意していた。なるべくルネの近くにいようって。

次の日、久しぶりにエントリーしたら受付のヒトに声を掛けられた。細身の男性だ。

「お久しぶりですね!ショーゴさん。お怪我が治って何よりです!三回戦も頑張ってくださいね」

俺は欠場扱いになっていたらしい。ここでは珍しい話でもないようだ。ルネは今日も賭博を楽しみながら俺の試合を見てくれるらしい。控室に向かうと、当たり前のようにダリアさんがいる。

「ショーゴ、体の調子はどうだ?」

「お陰様で万全です」

ダリアさんが笑う。

「勝てよ…ショーゴ」

「はい…!」

闘技場へ出ると今日も歓声がすごい。

「ショーゴ、聞こえる?」

「うん」

ルネの声が耳元で聞こえる。どうやらルネは波導の扱いをマスターしたらしい。

「今回の相手は銃を使ってくるよ」

「うわぁ…」

思わずため息を吐いてしまった。銃なんていう飛び道具ずるくない?

「大丈夫、ショーゴにはドラゴナグルの剣があるでしょう」

そうかもしれないけどさ。俺がごちると、ルネは笑った。

「大丈夫だよ。ショーゴなら勝てるって」

そういうもんですかね。闘技場の真ん中に辿り着く。相手も颯爽と現れた。両手にガトリング銃を構えている。うわぁ、殺る気満々じゃないか。

「今までは運が味方してくれたようだが、今回はそうはいかねえ」

ドスの効いた声で喋るこの人はワニの獣人だった。鱗がピカピカしているな。俺は構えた。ここの人たち、急にスイッチ入るから怖いよな。

「さぁ、ショウタイムだ!」

ズガガガガとワニが銃を連射でぶっ放す。俺は剣で弾を捌きながら奴に近付いた。よし、動けている。
キインキインと弾が剣に当たる音が響いていた。火薬の匂いがする。

「ぐ、小賢しいな」

どうやらガトリング銃の弾が尽きたらしいな。これは好機と見なすべきか?

「ショーゴ、油断は駄目」

「分かってる」

ルネは冷静だ。俺もまた同じ気持ちだった。相手の様子を窺う。

「ほう、近付いてこないのは賢明だな」

ワニが懐から取り出したもの。俺はさすがにびっくりした。そこそこ大きめなバズーカ砲が出てきたからだ。ゼロ距離で撃たれたりしたら確実に死んでるぞ。
ワニが俺に向かってバズーカ砲を撃ち込んでくる。俺に向かって真っ直ぐ飛んでくる。どうやらホーミング機能があるみたいだ。俺は弾を斬撃で切り裂いてやった。ドラゴナグルの剣だから出来たんだろう。それを見たワニが口をあんぐり開けている。

「な…なんだと?」

「ショーゴ!」

ルネが叫ぶ。俺はワニに近付いた。奴の自慢の銃はとりあえず全部ぶっ壊しておくか。俺は剣を振った。ガシャンと粉々になった銃たちが落ちる。

「な…俺の銃たちが…」

ワニは立ち尽くしている。どうやら勝敗が着いたようだ。

「勝者!ショーゴ・カノー!!」

周りから俺の名前のコールが響いている。ちょっと恥ずかしかったな。

「ショーゴ!!」

中に引っ込むとルネが抱き着いてくる。

「すごかったよ!かっこよかった!」

「ルネ、ありがとう」

ルネに引っ張られて顔を寄せると、キスされていた。

「あのね…」

ルネの顔が赤い。

「今日から準備…する?」

なんの準備か分かって俺は体が熱くなった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】テルの異世界転換紀?!転がり落ちたら世界が変わっていた。

カヨワイさつき
BL
小学生の頃両親が蒸発、その後親戚中をたらいまわしにされ住むところも失った田辺輝(たなべ てる)は毎日切り詰めた生活をしていた。複数のバイトしていたある日、コスプレ?した男と出会った。 異世界ファンタジー、そしてちょっぴりすれ違いの恋愛。 ドワーフ族に助けられ家族として過ごす"テル"。本当の両親は……。 そして、コスプレと思っていた男性は……。

小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~

朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」 普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。 史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。 その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。 外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。 いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。 領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。 彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。 やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。 無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。 (この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)

動物アレルギーのSS級治療師は、竜神と恋をする

葉空
BL
SS級治療師、ルカ。それが今世の俺だ。 前世では、野犬に噛まれたことで狂犬病に感染し、死んでしまった。次に目が覚めると、異世界に転生していた。しかも、森に住んでるのは獣人で人間は俺1人?!しかも、俺は動物アレルギー持ち… でも、彼らの怪我を治療出来る力を持つのは治癒魔法が使える自分だけ… 優しい彼が、唯一触れられる竜神に溺愛されて生活するお話。

【蒼き月の輪舞】 モブにいきなりモテ期がきました。そもそもコレ、BLゲームじゃなかったよな?!

黒木  鳴
BL
「これが人生に三回訪れるモテ期とかいうものなのか……?そもそもコレ、BLゲームじゃなかったよな?!そして俺はモブっ!!」アクションゲームの世界に転生した主人公ラファエル。ゲームのキャラでもない彼は清く正しいモブ人生を謳歌していた。なのにうっかりゲームキャラのイケメン様方とお近づきになってしまい……。実は有能な無自覚系お色気包容主人公が年下イケメンに懐かれ、最強隊長には迫られ、しかも王子や戦闘部隊の面々にスカウトされます。受け、攻め、人材としても色んな意味で突然のモテ期を迎えたラファエル。生態系トップのイケメン様たちに狙われたモブの運命は……?!固定CPは主人公×年下侯爵子息。くっついてからは甘めの溺愛。

聖女の兄で、すみません!

たっぷりチョコ
BL
聖女として呼ばれた妹の代わりに異世界に召喚されてしまった、古河大矢(こがだいや)。 三ヶ月経たないと元の場所に還れないと言われ、素直に待つことに。 そんな暇してる大矢に興味を持った次期国王となる第一王子が話しかけてきて・・・。 BL。ラブコメ異世界ファンタジー。

この俺が正ヒロインとして殿方に求愛されるわけがない!

ゆずまめ鯉
BL
五歳の頃の授業中、頭に衝撃を受けたことから、自分が、前世の妹が遊んでいた乙女ゲームの世界にいることに気づいてしまったニエル・ガルフィオン。 ニエルの外見はどこからどう見ても金髪碧眼の美少年。しかもヒロインとはくっつかないモブキャラだったので、伯爵家次男として悠々自適に暮らそうとしていた。 これなら異性にもモテると信じて疑わなかった。 ところが、正ヒロインであるイリーナと結ばれるはずのチート級メインキャラであるユージン・アイアンズが熱心に構うのは、モブで攻略対象外のニエルで……!? ユージン・アイアンズ(19)×ニエル・ガルフィオン(19) 公爵家嫡男と伯爵家次男の同い年BLです。

炎の精霊王の愛に満ちて

陽花紫
BL
異世界転移してしまったミヤは、森の中で寒さに震えていた。暖をとるために焚火をすれば、そこから精霊王フレアが姿を現す。 悪しき魔術師によって封印されていたフレアはその礼として「願いをひとつ叶えてやろう」とミヤ告げる。しかし無欲なミヤには、願いなど浮かばなかった。フレアはミヤに欲望を与え、いまいちど願いを尋ねる。 ミヤは答えた。「俺を、愛して」 小説家になろうにも掲載中です。

転生DKは、オーガさんのお気に入り~姉の婚約者に嫁ぐことになったんだが、こんなに溺愛されるとは聞いてない!~

トモモト ヨシユキ
BL
魔物の国との和議の証に結ばれた公爵家同士の婚約。だが、婚約することになった姉が拒んだため6男のシャル(俺)が代わりに婚約することになった。 突然、オーガ(鬼)の嫁になることがきまった俺は、ショックで前世を思い出す。 有名進学校に通うDKだった俺は、前世の知識と根性で自分の身を守るための剣と魔法の鍛練を始める。 約束の10年後。 俺は、人類最強の魔法剣士になっていた。 どこからでもかかってこいや! と思っていたら、婚約者のオーガ公爵は、全くの塩対応で。 そんなある日、魔王国のバーティーで絡んできた魔物を俺は、こてんぱんにのしてやったんだが、それ以来、旦那様の様子が変? 急に花とか贈ってきたり、デートに誘われたり。 慣れない溺愛にこっちまで調子が狂うし! このまま、俺は、絆されてしまうのか!? カイタ、エブリスタにも掲載しています。

処理中です...