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「ショーゴ、朝だよ」
声を掛けられて目を開けたらキスされていた。そうだ、昨日ルネは妊娠したんだっけ?大丈夫なのかな?
「ルネ、体平気?」
慌てて尋ねたらルネはうーん、と首を傾げた。
「なんかね、体の中にもう一人いるって変かも。慣れない」
そりゃそうだろうなぁ。女の人はそういうのも感じながら子供を産むのか。頭が上がらない。もちろんルネにも。
「とりあえずラウンジ行かない?」
チェックアウトの時間までまだゆとりあるしな。俺たちは最後のラウンジを楽しんだ。
「ショーゴ!!」
振り返るとダリアさんだった。なんか涙目じゃないか?俺は椅子から立ち上がった。ダリアさんが抱き着いてくる。
「王城に帰るのか?」
「はい。神殿の資料が見たくて」
「ショーゴ、私の愛は本物だから」
「はぁ」
ルネもさすがに突っ込み疲れたらしいな。ダリアさんは試合があるからと張り切っていた。なんだか吹っ切れた感じだった。
「ダリア、ここじゃあまりに強すぎて本気の戦い方を忘れちゃってたんだって。だから魔王を倒すってなった時、カイエンに行くのを止められたんだって。カイエン、賢明だよね」
「そうだったんだ」
でも、実際、魔王の正体は赤ちゃんだったしなあ。不思議なこともあるもんだ。まあ勇者も赤ちゃんだったしな。何か関係あるのかなぁ。
朝食を摂り終わって、俺たちは闘技場のバス停からバスに乗ってイシマチに戻ってきた。
「ショーゴ、龍姫!連絡を何故寄越さんのだ」
あ、エンオウさんとカイエンさんがいる。
「なんで…?」
俺が尋ねると、二人はため息を吐いた。
「ダリアから聞いたに決まっているだろう。とりあえず何があったか詳しく話してもらうぞ」
もしかしてこれ、尋問ってやつか?俺たちはエンオウさん、カイエンさんと共に甘味処というのれんを出した店に入った。
「なに?龍姫が妊娠した?!」
ガタリとエンオウさんが音を立てる。個室のようになっていたからまだよかった。
「ふむ、ついにか」
カイエンさんは動じずに抹茶を啜っている。俺はルネのペンダントが神殿を求めていることも話した。
「ダリアに勝利するとはな。もう少しかかると思ったが、いつの間に居合い切りなど」
「エンオウさんがやり方を話してくれたことがあって」
「あったなぁ!」
エンオウさんの表情が明るくなる。ルネはもきゅもきゅとみたらし団子に齧りついていた。ルネは不要だと思ったら絶対に喋らない。それは変わらないんだなぁ。
「龍姫よ、強い子を生むのだぞ」
別れ際、エンオウさんにルネは励まされていた。
「エンオウ、まだ生まれないよ」
エンオウさんが目を丸くしてふっと笑った。
「そうか、そうだな」
「気を付けて行けよ、ショーゴ、龍姫」
二人に手を振って、俺たちは大型の馬車に乗り込んだ。やっと王城に戻ってきたぞ。日が暮れかけている。長い移動でくたびれたなぁ。そのまま簡易ギルドに入ると、赤ちゃんたちの笑い声が聞こえた。どうやら変わらずのようだな。
「ショーゴ様!お帰りなさい」
「ショーゴ、よく帰ってきた」
フィーナさんとピンフィーネさんに出迎えられて、俺は嬉しくなった。
「ただいま戻りました!」
「今お茶を淹れますね」
フィーナさんが奥にある給湯室でお湯を沸かし始める。
「ペンダントが戻ってきて何よりだったな」
ピンフィーネさんは今日もここでお仕事をしていたらしい。机の上に書類が山積みになっていた。
「あぁ、そうだ。宿舎が元に戻ったぞ。資料も出しておいたから見てみると良い」
「ありがとうございます」
「闘技場で随分揉まれたようだな」
ピンフィーネさんが楽しそうに笑っている。俺は頷いた。お茶をご馳走になって宿舎に戻ると、丁度夕食の時間だった。
「ショーゴ!お前!!」
「死んだのかと思ったぞ!」
「龍姫様もお元気そうで!」
わらわらと騎士さんたちに取り囲まれる。久しぶりの洗礼にルネは俺の後ろに隠れている。相変わらずだなあ。
「ショーゴ殿!!」
ヴァンとライクも騒ぎを聞きつけてやって来た。
この後ハッサにぎゅううと力いっぱい抱き締められた。いやいや、危うく圧死するところだよね。
夕飯を食べた俺たちは資料室にいる。
ピンフィーネさんの言う通り、神殿に関するものばかりだ。パラリと捲ると白黒の絵が現れた。そうか、写真に残ってないんだ。しかもカラーじゃない。ルネが俺の隣から資料を覗き込んでいる。
「ここがこの間行ったはじまりの神殿」
ルネが地図を指差す。
「神殿って全部地下にあるの?」
「うん。昔は技術がなくて、建物が脆かったから、いっそ地下にっていうことだったみたい」
「なるほど…神殿には誰かいるものなの?」
「無人だと思うよ」
そうなのか。ゲームで言う神殿ってパワーアップアイテムとかがもらえるのが定番だ。
「あ、でもあの子達がいたなぁ」
ルネがため息を吐いている。
「それって神殿の守護神的な?」
ワクワクしながら聞いたらルネは首を傾げた。
「守護神っていうか…とりあえず行ってみれば分かるよ」
神殿楽しみだなぁ。あ、でも強いモンスターとかいるのかも。死なないようにな。命大事に!である。
声を掛けられて目を開けたらキスされていた。そうだ、昨日ルネは妊娠したんだっけ?大丈夫なのかな?
「ルネ、体平気?」
慌てて尋ねたらルネはうーん、と首を傾げた。
「なんかね、体の中にもう一人いるって変かも。慣れない」
そりゃそうだろうなぁ。女の人はそういうのも感じながら子供を産むのか。頭が上がらない。もちろんルネにも。
「とりあえずラウンジ行かない?」
チェックアウトの時間までまだゆとりあるしな。俺たちは最後のラウンジを楽しんだ。
「ショーゴ!!」
振り返るとダリアさんだった。なんか涙目じゃないか?俺は椅子から立ち上がった。ダリアさんが抱き着いてくる。
「王城に帰るのか?」
「はい。神殿の資料が見たくて」
「ショーゴ、私の愛は本物だから」
「はぁ」
ルネもさすがに突っ込み疲れたらしいな。ダリアさんは試合があるからと張り切っていた。なんだか吹っ切れた感じだった。
「ダリア、ここじゃあまりに強すぎて本気の戦い方を忘れちゃってたんだって。だから魔王を倒すってなった時、カイエンに行くのを止められたんだって。カイエン、賢明だよね」
「そうだったんだ」
でも、実際、魔王の正体は赤ちゃんだったしなあ。不思議なこともあるもんだ。まあ勇者も赤ちゃんだったしな。何か関係あるのかなぁ。
朝食を摂り終わって、俺たちは闘技場のバス停からバスに乗ってイシマチに戻ってきた。
「ショーゴ、龍姫!連絡を何故寄越さんのだ」
あ、エンオウさんとカイエンさんがいる。
「なんで…?」
俺が尋ねると、二人はため息を吐いた。
「ダリアから聞いたに決まっているだろう。とりあえず何があったか詳しく話してもらうぞ」
もしかしてこれ、尋問ってやつか?俺たちはエンオウさん、カイエンさんと共に甘味処というのれんを出した店に入った。
「なに?龍姫が妊娠した?!」
ガタリとエンオウさんが音を立てる。個室のようになっていたからまだよかった。
「ふむ、ついにか」
カイエンさんは動じずに抹茶を啜っている。俺はルネのペンダントが神殿を求めていることも話した。
「ダリアに勝利するとはな。もう少しかかると思ったが、いつの間に居合い切りなど」
「エンオウさんがやり方を話してくれたことがあって」
「あったなぁ!」
エンオウさんの表情が明るくなる。ルネはもきゅもきゅとみたらし団子に齧りついていた。ルネは不要だと思ったら絶対に喋らない。それは変わらないんだなぁ。
「龍姫よ、強い子を生むのだぞ」
別れ際、エンオウさんにルネは励まされていた。
「エンオウ、まだ生まれないよ」
エンオウさんが目を丸くしてふっと笑った。
「そうか、そうだな」
「気を付けて行けよ、ショーゴ、龍姫」
二人に手を振って、俺たちは大型の馬車に乗り込んだ。やっと王城に戻ってきたぞ。日が暮れかけている。長い移動でくたびれたなぁ。そのまま簡易ギルドに入ると、赤ちゃんたちの笑い声が聞こえた。どうやら変わらずのようだな。
「ショーゴ様!お帰りなさい」
「ショーゴ、よく帰ってきた」
フィーナさんとピンフィーネさんに出迎えられて、俺は嬉しくなった。
「ただいま戻りました!」
「今お茶を淹れますね」
フィーナさんが奥にある給湯室でお湯を沸かし始める。
「ペンダントが戻ってきて何よりだったな」
ピンフィーネさんは今日もここでお仕事をしていたらしい。机の上に書類が山積みになっていた。
「あぁ、そうだ。宿舎が元に戻ったぞ。資料も出しておいたから見てみると良い」
「ありがとうございます」
「闘技場で随分揉まれたようだな」
ピンフィーネさんが楽しそうに笑っている。俺は頷いた。お茶をご馳走になって宿舎に戻ると、丁度夕食の時間だった。
「ショーゴ!お前!!」
「死んだのかと思ったぞ!」
「龍姫様もお元気そうで!」
わらわらと騎士さんたちに取り囲まれる。久しぶりの洗礼にルネは俺の後ろに隠れている。相変わらずだなあ。
「ショーゴ殿!!」
ヴァンとライクも騒ぎを聞きつけてやって来た。
この後ハッサにぎゅううと力いっぱい抱き締められた。いやいや、危うく圧死するところだよね。
夕飯を食べた俺たちは資料室にいる。
ピンフィーネさんの言う通り、神殿に関するものばかりだ。パラリと捲ると白黒の絵が現れた。そうか、写真に残ってないんだ。しかもカラーじゃない。ルネが俺の隣から資料を覗き込んでいる。
「ここがこの間行ったはじまりの神殿」
ルネが地図を指差す。
「神殿って全部地下にあるの?」
「うん。昔は技術がなくて、建物が脆かったから、いっそ地下にっていうことだったみたい」
「なるほど…神殿には誰かいるものなの?」
「無人だと思うよ」
そうなのか。ゲームで言う神殿ってパワーアップアイテムとかがもらえるのが定番だ。
「あ、でもあの子達がいたなぁ」
ルネがため息を吐いている。
「それって神殿の守護神的な?」
ワクワクしながら聞いたらルネは首を傾げた。
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