異世界召喚チート騎士は竜姫に一生の愛を誓う

はやしかわともえ

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「わー、大きな泡風呂だぁ!」

もう夜になっている。その日泊まることになった飛空艇の部屋に入ると、ちょっとしたホテルのようだった。綺麗なことに越したことはないんだけどね。ルネが風呂場で騒いでいる。俺もつられるように風呂場に向かうと、泡がこんもりと膨らんだ湯船があった。え、入る準備出来てるの?

「ショーゴ、一緒に入ろうよ」

「え!いいの?」

「えっちなことは駄目だよ?」

ルネに諭されるように言われた。俺、童貞は捨てたんじゃなかったのか?経験値なさすぎて、あんまり変わらない気がするな。とりあえず装備を外して服を脱ぐ。ルネは一足先に湯船に浸かっていた。

「気持ちいいよ、ショーゴ」

俺も湯船に入ってみるか。なんかいい匂いもするし、泡に全身を包まれる。ふかふかだ。泡でまみれた顔をお湯で洗うとすごい幸福感で満たされた。

「はー。極楽だ」

「ね、あったかいよね」

二人でこうして一緒にいられて幸せだって思えるのが本当に嬉しい。

「龍の里のお土産で何かおすすめある?」

「ショーゴ、張り切ってるねー。そうだなぁ、手焼きのおせんべいかな。甘辛なの」

「おせんべいなら皆に買っていけるね」

「龍の里はテーマパークじゃないんだからね」

もー、とルネが笑う。つい龍の里って聞くとテンション上がるよな。ルネのお腹を触ってみたら確かに感触がある。本当に赤ちゃんがいるんだ。

「明日、何も異常がないといいけど」

ルネは不安そうだった。オレはルネを抱き寄せて頭を撫でた。

「大丈夫だよ。それに、どんな子だって俺たちの子だよ」

「うん」

ルネはずっと一人で悩んでいたのかもしれない。俺になんでも話してほしいな。いや、単純に頼りないのかも。ちょっと筋肉付けたいな。ムキムキになればルネだって。

「あ…」

ルネが困ったような声を上げた。

「ルネ?」

「赤ちゃん動いてる」

慌ててルネのお腹を確認すると、ぺしぺしと感触がある。蹴ってるのかな?早く会いたいな。

風呂から上がって着替えたら、急に眠たくなった。ルネはもう夢の中だ。俺は部屋を出てピンフィーネさんに定時報告のメッセージを端末に打ち込んでいる。送信すると、ピンフィーネさんから着信が来た。

「お疲れ様です、団長」

「あぁ。ご苦労だな、ショーゴ。まさか龍姫様が妊娠しているとは。しかもお前の子だと?」

「はい」

「龍姫様は幸せだな。少し羨ましい」

ピンフィーネさんにも結婚願望があるんだな。あんなにかっこよくて美人なんだから引く手あまただろうに。

「「ついなる神殿」はどうだった?」

「はい。ちょっとごたつきましたが、無事に行ってこられました。あと5つ、神殿があるんですよね?」

「あぁ。龍の里のそばにも「ほろぼす神殿」がある。龍姫様はそこから神殿巡りを始められたはずだ」

「また資料読んでみます。えーと、団長…」

「なんだ?」

「おせんべいは好きですか?」

ピンフィーネさんに爆笑された。

✢✢✢

飛空艇が静かに緑の中、着陸する。龍の里はこの山の奥にあるそうだ。かつては秘境とされていた、この土地。でも、現在は…。俺とルネ、ハクは現状を見つめていた。

「おまんじゅういかがぁすかぁ!!」

「こちらお釣りになります。またいらしてくださいね」

俺は固まっていた。これじゃまるで観光地じゃないか。龍の里のイメージよ。ハクを厩舎で預かってもらう。

「あ、ショーゴ。やっぱりがっかりしてる。だから期待しないでって言ったじゃない」

「姫様!!」

ルネに気が付いたらしい龍人さんたちがやってくる。皆さん、美男美女なんですが。着物のような服を着ている。これはこれでいいな。

「皆、お疲れ様。先生いる?」

「はい、先ほどそちらのお席でおまんじゅうを召し上がられてましたけど」

龍人さんの一人がそちらを見る。俺も見たけど誰もいない。

「ルネシア、今までどこに行っていた」

「うわぁ!」

す、と気配なく背後に立たれるとめちゃくちゃ怖いな。このヒトがルネの主治医…。若いしイケメン!!しかもイケボ。

「ちょっと旅行にね」

ルネが汗だくになっている。あのルネが。先生と呼ばれた龍人さんはため息を吐いた。

「勝手に里を飛び出したこと、皆心配していたのだぞ」

「ごめんなさい。ペンダントを探しに行っていたの」

ルネはペンダントを先生に見せていた。

「見つかったか、よかった。でも普段と様子が違うようだが…」

「うん、それで神殿を巡っていて」

「そうか。で、こちらの方が」

ルネは、あ!と声を上げて俺の腕を掴んだ。

「ショーゴだよ、番になったの」

「翔吾といいます。よろしくお願いします」

頭を下げる。

「ショーゴくん、君は絶対にルネシアを守らなくてはならないぞ。その覚悟は出来ているのだろうな?」

あ、この人もルネ大好きなのか。ルネは本当に愛されているな。気持ちはすごく分かる。

「俺に出来ることは全てします。至らない点があればご指摘の程、よろしくお願い致します」

「…ルネシア、彼はいいヒトのようだな」

「でしょ!」

先生と一緒に病院に戻ると、看護師さんが飛び出してきた。

「先生!休憩が長過ぎます!」

「む、すまない。ルネシア、順番が来るまで待っていて欲しい」

「分かった」

先生はルネの頭をポムポムしてから診察室に入って行った。本当に大好きなんだな。

「ルネ、先生優しいんだね」

小声でそう聞いたら、ルネに全然!と切り捨てられた。え?優しくないの?ルネがやれやれと肩をすくめながら言う。

「急に太ったなとか、甘いもの食べ過ぎとか言って僕の唯一の楽しみを奪ってくるんだよ」

それはある意味愛なのでは?とは言えないな。ますます怒らせるような気がする。とりあえず病院は混んでいるし静かにしているか。

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