【完結】あなたのいない、この異世界で。

Mhiro

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【番外編】そこにある、確かなもの。

4. -ルークside- ② *

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 降りしきる雪のおかげで、ようやく面倒な令嬢が帰っていった。既婚者にしつこくすり寄ってくるなんて、あの令嬢の貞操観念を疑う。これ以上何かしてくるようなら、彼女の家が手がける事業のことで揺さぶりをかけてみよう。姉さんが言っていた情報が確かなら、それで完全に引き離せるはずだ。

 ユイ以外の人間にあんな風に触れるなんて、本当に気分が悪い。

 そんなこと考えながら、今日はもう来客は見込めないだろうと早めに店を閉めると、母屋の方からユイの魔力を感じた。この時間帯ならまだ<ノクターナ>で仕事をしているはずだが、何かあったのだろうかと不審に思う。それに、まだ店を開けている時間帯に帰るときは、必ず顔を出してくれるのに。
 俺は急いで家に戻りエントランスに入ると、1階のどの部屋にもユイの気配はなかった。

 ……寝室か?

 階段を上って寝室に近づくとシャワーの音が聞こえ、そこにいるのだと安堵した。
 寝室のドアを開けるとベッドサイドの小さな明かりだけが灯り、ユイが今朝着ていた服が床に散らばっていた。衣類はいつもきれいに畳むユイのらしくない状態を目にして、心配と不安が募っていった。

「ユイ?」

 シャワールームのドアをノックして声をかけると、急にドアが開いた。そして、胸元を掴まれて勢いよく中に引き込まれたと思った次の瞬間、強引に唇を塞がれた。
 突然の出来事に困惑してユイを引き離すと、情事の度に見せる熱を帯びた夜明け色の瞳が、俺をじっと見据えた。

「…っ!ユイ?どうし──」

「黙って」

 言葉を遮られ、掠れた声で返されたその言葉は、俺を甘く痺れさせた。
 頭からつま先まで濡れたユイは、全身に湯気を纏いながら熱い舌を再び咥内に侵入させ、蹂躙するかのようにねっとりと俺の舌を絡めとった。その甘美な口づけは、シャワーで服がずぶ濡れになってもどうでもよくなるほど官能的だった。
 口づけに夢中になっている間に、ユイの手によって服を全て剝ぎ取られ、昂った自身が露わになった。ユイの胸の頂や腰のラインを弄ると、重なった唇の隙間から熱い吐息が漏れる。
 欲が膨らんで柔らかい双丘の谷間に指を添わせると、ユイはそれを拒むように俺の手を掴んだ。

「ダメ。今日は僕がやる」

 ユイは唇を離してシャワーを止め、身体を拭こうともせずに俺の手を引いてベッドに向かった。促されるままにベッドに横たわると、何の前触れもなく俺のモノを口に含み、ユイは口淫を始めた。

「えっ、ユイ…なんっ…っ」

 あまりに衝撃的過ぎて、言葉を失った。ユイがをするときは、見られるのを恥ずかしがっていつも掛布を被る。それが今はどうだ。上半身を起こしてみると、ユイは女豹のような体勢で、咥えている姿を恥ずかしげもなく晒している。
 ユイの様子がおかしいと感じながらも、俺は視覚からの刺激と思考を奪われるほどの気持ちよさに、抗うことができなかった。

「あ…っ…ユっ…」

 たどたどしくも懸命な口の動きに、もう少しで達しようとしたとき、ユイが行為を止めて咥えていたモノを舐めずりながらゆっくり離した。昂った熱を早く外に出したい衝動が表情に出ていたようで、俺を見たユイの唇が満足げに弧を描いた。
 ユイは何も言葉を口にせず、噛みつくように俺の唇を割って柔らかい舌を忍ばせてくる。積極的な口づけで押されるように背中をベッドに預けると、ユイが俺の陰部に跨り、自身の陰部を擦り合わせるように腰を揺らした。

 ……濡れてる?潤滑剤もないのに───。

 滑る感触と淫らな音がそこから響き、俺はようやくユイの身体の変化を察し、胸の内が歓喜で震えた。

 これで、ユイを繋ぎとめる準備が整った……。

 緩みそうになる頬を必死に引き締めながら、改めてユイの状態を観察した。俺の上で腰を揺らすユイは、湧き上がる快感に恍惚とした表情を浮かべている。もしかしたら今の状態は、身体の変化によって精神に一時的な影響を及ぼしているのかもしれない。

「あっ、あん、ん…っ。はぁ…これっ、きもちい…っ」

 誘うように吐息を漏らすユイは、熟れて今にも弾けそうな甘い果実のようだ。軽く引っ搔くだけで甘い蜜を垂らし、それにあてられて狂いそうなほど酔いしれてしまう。

 ああ、ダメだ…。今すぐユイを孕ませたい。

「ユイっ。もう…ナカ、にっ」

 早くユイのナカに挿入はいりたくて言葉を詰まらせたら、ユイは何かを企んでいるような笑みを浮かべて耳元で囁いた。

「じゃあ…ちゃんとお願いして?」

 これほど"欲"に浮かされ、それを表に出したユイは今まで見たことない。そのどこまでも蠱惑的な姿が堪らなくて、それに応えたらどう切り返してくるのか好奇心をくすぐられた。
 俺はユイの頬を両手で包み、懇願するように言った。

「ユイが欲しい。俺を、ナカにれて」

「…ふふっ、よくできました」

 うっとりとした笑顔と返された言葉は、全身をゾクゾクさせて果ててしまいそうになる。ユイは腰を浮かせると、ゆっくりと俺のモノを包み込んでいった。柔らかくて温かいそこは、奥に進むにつれて俺の理性を奪っていく。

「あっ、あ…はぁっ、…ぉ…くっ、んっ、あたっ…て…っ」

 最奥に到達すると、ユイは甘い声で啼きながら腰を跳ねさせた。覚束ない腰つきだが、熱くてとろとろになったナカが容赦なく俺のモノに吸いついてくる。
 そして、首筋や胸元を流れる小さな雫を散らしながら妖美に舞う姿もまた、俺を夢中にさせた。堪らず下から突き上げると、ユイの艶声が甘くなって背中をしなやかに伸ばした。

「ル、ぅクっ…!んっ、あっ、イき…そうっ」

 抽挿を速めながら奥を突くと、ユイは俺のモノを搾り取るようにナカを締めつけてきた。

「っユイ…!俺もっ、イく…っ」

「ぁ、は、ルークっ…もっ、と、奥にっ…!」

 勢いよく最奥を突くとさっきよりも強く締めつけられて、俺とユイは一緒に果てた。いつものように吐精した後もすぐには抜かず、ユイの腰に手を添えてナカに精を刷り込むように小さく揺らした。ユイはナカをビクビク震わせながら俺の胸元に肌を重ね、「あっ、あっ…」と未だ止まない快感に身を委ねている。

 これでもう、ユイはどこにも行けない…。俺から離れられない……。

 そう思うと、湧き上がってくる悦びが抑えられず、笑みがこぼれた。


 だが、まだだ。これでユイが孕んだかは分からない。



 もっと子種を注ぎ込んで、確実に───。



 その時、ユイの身体がゆっくり持ち上がり、その瞳から零れ落ちた雫が俺の頬で弾けた。


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