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第一章
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しおりを挟む「ちょっ…、ルーク!」
廊下に出るとルークは、僕の肩から手を離して今度は手を握って歩き出した。階段を上がって更に廊下を進むと、一番奥の部屋のドアを開けて僕を中に引き入れた。
ようやく振り向いたかと思うと、ルークは僕の肩に額を乗せて抱きつくように両腕を掴み、大きく息を吐いた。
「ユイの人たらし」
「……は?」
「あの笑顔はダメ」
「えっと…、僕の顔、そんなに変だった?」
「ううん、最高に可愛かった。だからダメ」
…僕は一体どうしたらいいんだろう?ルークが言わんとしていることが解らない。
するとルークが顔をあげた。眉を寄せて、少し切なげな表情をしている。
「それから、誰彼構わず触らせるのもダメ。特にアランさんには、必要以上に近づかないで」
「触るって、ただの握手だよ?」
「ダメ。ユイは警戒心が薄いから、噛まれちゃう」
噛まれるって……。
アランをまるで犬か猫みたいにいうルークが可笑しくて、つい笑ってしまった。
「ふふっ…、分かった。アランと話すのは、必要最低限にするよう頑張るよ」
僕がそう言うと、ルークはなぜか複雑そうな表情を見せた。もしかしたら、仲のいい友人を別の人に取られるような、そんな不安感もあったのかもしれない。そう思うと、なぜか彼がかわいく見えてしまう。
「そういえば、さっき言わなかったけど、よく似合ってるよ」
ルークは僕の耳元のおくれ毛に触れながら、話題を変えてきた。
「あぁ、これ?さっき庭でリリィに遊ばれてね。取るの忘れてた」
「白詰草だね。ユイの元いた世界でも、花言葉は“幸運”なの?」
「そうだよ。この世界での花言葉も同じなんだね」
「そうみたい。じゃあ、それ意外のも同じなのかな?」
「えっ?それ意外のって?」
僕のその質問にルークは意味深に微笑んで、僕の髪を指先でいじりながら耳元で小さく囁いた。
「俺は、ユイのことを想っているよ?」
その後、ルークは何事もなかったかのように部屋の説明をし始めたが、僕はさっきルークが言った言葉の意味を考えていて、半分も聞いていなかった。一緒にダイニングに降りたら、アランは既に帰宅していた。今は子ども達と院長が夕食の準備をしている。
「ふたりともおそいよ!」
「ごめんねっ。院長、僕も手伝います」
「ありがとう、ユイ。でもこっちは手が足りているから大丈夫よ。それより、ルークと一緒に村のパン屋さんに行ってきてくれる?アランが伝言を預かっていて、今日はここまで持ってこれないそうなのよ」
「分かりました」
「ルーク。お使いついでに、ユイに村を案内してくれる?」
「はい、分かりました」
さっきの言葉の意味も分からないまま、今度はルークとふたりでお使いに行くことになった。
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