異世界で王城生活~陛下の隣で~

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18えっ!聞いてませんけど?

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 以前より以前より王宮から遠くなったキャンちゃん。
 移動は馬。
 そろそろ馬に乗れることを言うべきか。
 毎回、陛下かルードさんとタンデムというのもなぁー。

「陛下、お願いがあるの」
「なんだ、言ってみろ」
「実は私、乗馬できるの。だからお馬ちゃんを一頭貸してください」
「……本当に乗れるのか?私と乗るのが嫌で言っているのか?」
「乗れます!陛下と乗るのが嫌な訳じゃありませんから」
 殿下は明らかに不満そうな顔をしている。
「そ、そうか。分かった。
 でも今日は駄目だ。乗馬する格好では無いからな」
「は……い」

 何故か後ろからマクベスさんのクスッと笑う声が聞こえたような気がした。

 そんな訳で、やはり私は陛下の前に。マクベスさんはルードさんの後ろに乗って目的地であるキャンへと馬を走らせた。
 陛下は馬の上で帰りに厩舎に寄って、私と相性のいい子(馬)を探してくれると約束してくれたのでした。


【キャンちゃん車内にて】

 冷蔵庫から三連のプッチンプリンを二人の前に並べる。

「ここをこうして剥がしてください」
 二人とも見よう見まねで、上蓋をめくっていき中身をじっと見ている。

「これをスプーンで食べるのか?」

「このままで食べても構わないけど……お皿の上で逆さまにして、この小さな突起を折る様にすると……」

 プチンと突起を折るとぷるるんと皿ににプリンが落ちて可愛く揺れる。

「まぁ、何でしょうこれは!」
 マクベスさんがいつも冷静さを失って感動した声を上げた。

「うふふ、これがプリンです。この容器の形がそのまま出てきて可愛いでしょう?」
「ええ、ええ。とても可愛いです。フルフルしてますね」
「面白いな。でもこのような容器は城にはないぞ」
「容器は何でも良いんですよ。カップならこのカラメルソースを上に乗せてスプーンで食べればね。
 兎に角、食べてみてください」
「はい」

 スプーンで掬った感触に驚きながら二人がプリンを口に運ぶ。

「「…………」」

「如何ですか、お口に合いません?」
 二人の顔がぱぁーと明るくなりました。

「美味い」
 陛下はどんどんスプーンを進め、あっという間に食べ終わってしまった。
 まぁ、あんな大きさですからね(笑)

「美味しいですわ、ユリカ様。ぜひ料理長に作り方を!陛下、宜しいですよね?」
「ああ、これは皆喜ぶと思うぞ。茶会でも人気が出そうだな」
「ふふ良かったです。料理長さんにレシピを見て貰って、試しに作って貰いましょう」
「直ぐに手配をしよう」

 陛下もマクベスさんもご満悦のようです。
 外で待機しているルードさんにも今度ご馳走してあげなくちゃね。

 プリンを堪能したマクベスさんはキャンちゃんの車内を興味深げに見まわしている。

「陛下が仰った通り、不思議なもので一杯ですね」
「ああ、そうだろう?このレイゾウコという物も驚くぞ。食品を冷やして長く保存するものだそうだ」
「あらら、本当にひんやりしていますね」
「ここで調理も出来るそうだ」
「えっ、小さな台でですか?」
 勝手知ったるという感じで、陛下がマクベスさんに車内の説明を始めている。

「この箱は何ですの?」
「あっ、それはオーブンレンジといって、冷めた料理を温めたり、妬いたり、お料理もボタン一つで作れたりする魔法の箱ですよ(笑)」

「魔法の箱……ですか?」

「うん、そう。それとこっちの黑い板見たいのがテレビといって。この世界で番組は見れないけど、この円盤みたいなのを差し込むと映画なども見れます」
「映画?良く分からんな、今度時間のある時にそのエイガとやら見せてもらえるか?」
「はい、いつでもいいけど………言葉が通じないですよね」

「ああ、そうか。しかし今更だが、何故ユリカは通じるのだ?」
「あっ、そうでした!最初陛下たちが馬で来た時は何を言っているのか全く分からなかったの。でも聞いてるうちにだんだん分かるようになって」

「ふむ」

「それに今、私はこちらの言葉で殿下たちと話をしているんですよね?」
「ああ、大陸語だな」
「でも、私は自分の国の母国語、つまり「日本語」で話しているんですよ」
「「???」」
「つまり勝手に翻訳して聞こえているって事ですね!だったら映画も同じか?今度試してみましょうよ」
「あ、ああ。そうだな」

 そうだよね、今まで気づかなかった。
 こちらの言葉が分かるようになったのは良いとしても、私が発してるのは日本語だもの。それが殿下たちにも通じてると云う事は、勝手に翻訳されているんだと初めて気が付いた。


 不思議だねー、流石異世界。

「ところで」

 ここで急に陛下が真面目な顔をしてきた。

「はい?」

「今度のお披露目だが、ユリカの紹介と共にもう一つの意味合いを持つ事になる」
「えっ、どういった?」
「それはだな………」
 何か気まずそうな陛下の態度に私は不安になる。

「わたくしから説明させて頂きます」
 マクベスさんが陛下の代わりに説明してくれました。

 陛下は御年三十一だが未だ妃も婚約者もいないために、他国からも絶えず縁談が持ち込まれている。
 国内でも当然、王妃になりたいと貴族のお嬢様たちがしのぎを削っている状態で、結婚願望の薄い陛下にとって迷惑でしかない事らしい。
 友梨香がこの世界に来てから陛下が彼女に懸想しているのではないかと思われているのを利用し、妃候補に決めたと思わせ周りからのアプローチを回避したいと思っている。
 そのために客室から陛下の私室の隣にある妃殿下用の部屋に移らせたこと。
 (多少は個人的な友梨香に対する思惑も無いとは言えない)

「えっ、あの部屋………妙に豪華だと思っていたけど、王妃様用の部屋だったの?」
「まあ、そういう事だな」
 陛下は平然と答えた。

「そんな、あの部屋にいることで周りはそういう目で私のことを見ていたのね……ショック」
「なんだ、嫌なのか?」
「イヤとかそういう事はではなくてね」

「陛下は私の恩人です。困ったことがあったらお手伝いしたいと常々思っていました。こんな小娘でも役に立つなら陛下の婚約者?の身代わりをするのも構いません。
 だけど、わたしだけ知らされず周りで勝手にって、そんなの酷いじゃないですか!
 何も知らず陛下の……王妃用の部屋で図々しく寛いじゃって……恥ずかしい」
 知らな内にみんなが妃候補だと見ていたというのに能天気に振舞っていた自分が恥ずかしくて堪らなくなる。

「事前に言わなかったことは悪かった。キャステルにもちゃんと説明するべきだと言われていたのだ。申し訳ない」
「わたくしもお詫びいたします」

 陛下とマクベスさんに揃って頭を下げられたら、それ以上何も言えないじゃない。
 陛下の役に立てるなら……本当に妃になる訳ではないからいいか。

「わ、分かりました!これからはそれとなく陛下の婚約者のふりをしていればいいんですね?」

「ああ、お願いする」

 そんな重大な話をされてしまったので、戻って来ても私の馬探しをする事は忘れてしまったのである。
 



 
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