36 / 57
27えっ!?
しおりを挟む
「ユリカこれを」
陛下が先触れも無く私の部屋にやって来た。
侍女ズは大慌てでお茶の準備を始めています。
「なんですか、これ?」
「次の王家主催の夜会に付けて欲しい」
箱の中身は豪華なネックレスとイヤリングのセットだった。
「あのう、夜会があるんですか?私、強制参加?」
「まだ二月先だが、面倒なのが来るのでユリカにも出てもらいたい」
「面倒って……」
「それはですね、ユリカ嬢」
その先は一緒に来ていたキャステルさんが説明してくれました。
以前からシリウス陛下と婚姻を希望している隣国オルビス王国の第二王女がいて、何度断りを入れても諦めてくれないらしい。
やはりそれは何時までも妃を迎えない陛下の所為でもあるけれど。
私がここに来る前にも外交を理由に押しかけ半月ほど滞在したという。最後は外交官が無理やり連れ帰ったというのだが。
「その王女さんておいくつ何ですか?」
「それがまだ成人前の十四才ですよ。ローザリー王女は数年前、陛下がオルビスに訪問された際に一目惚れしたらしくてそれ以降何度も婚姻の申し出が出されているのです」
「十四才、陛下と十七歳差……」
私は目の前で優雅にお茶を飲む陛下を上目使いで見て呟く。
「そのような子供を私は相手にする気もない。纏わりついて鬱陶しいだけだ」
「そうなんですか。でも何度も断っているんでしょう?それなのに根性がありますね、ローザリー王女って」
陛下と私は同時にため息を吐いた。
「それだけはないんですよ。前回の滞在でエドモンド侯爵家のマリアンヌ嬢ともひと悶着ありましてね」
「えっと、マリアンヌ嬢って、陛下の婚約者候補の筆頭でしたっけ?」
「よくご存じですね」
「うん、アンが教えてくれたの。何か言ってくるかもしれないから気を付けるようにって」
「なるほど、流石メアリーアン。抜かりはないな」
みんなの視線がメアリーアンに向けられると、彼女は完璧な侍女スマイルで会釈した。
私の侍女、やっぱり綺麗です!
「それですね、ユリカ嬢。陛下が仮婚約をしてユリカ嬢が妃候補筆頭だという事が近隣の国まで知れ渡り、当然ローザリー王女の耳にも入った訳です」
「はぁー、仮婚約では諦めないって事?」
「お察しの通り。それで次の夜会にユリカ嬢の存在を確かめに来たいという申し出がありまして」
「イヤな予感しかしないんですけど」
「今回はマリアンヌ嬢を含めた三つ巴戦となりそうなのです」
「勘弁して欲しいわ」
陛下を巡る婚姻騒動の牽制の為に仮婚約者となっているけど、私はそんな女同士のバトルに巻き込まれたくない。
「失礼します。王城の者たちは前回のお披露目で陛下がハッキリと公言されずともユリカ様を妃候補の筆頭と認識されておりますが、まだ半信半疑のところもございます。でしたら今度の夜会で本当の婚約者にユリカ様を指名されて発表されれば宜しいかと」
アンが一歩前に出て強い声でとんでもないことを言った……わ。
「じょじょじょ、冗談でしょう!アンやめてよ」
「いや、面倒事は沢山だから私もそれが一番の解決策だと思っている」
えっ?陛下まで、何言っちゃってるんですか!
「何、陛下そんな爆弾発言をすました顔で言わないで下さい!」
私は両手でテーブルを叩き立ち上った。
「まあまぁ、ユリカ嬢。落ち着いてください」
「だって、キャステルさん……」
キャステルさんに宥められるように肩を押され、ストンと腰を椅子に落とした私は涙目で訴えた。
「婚約って、私の世界ではお互いに好きになって、お付き合いを始めてですね。それから愛を育んで、婚約または結婚という流れなんですよ。私、この世界に来て皆さんに凄くお世話になってるし、我儘も聞いて貰っている陛下が苦労しているというからカモフラージュ的婚約者のお話は受けましたけど、陛下に付き合おうとか愛を囁かれたこともないし、ちゃんとお付き合いもしてないのに本婚約とかありえないでしょう?」
「「「……」」」
キャステルさんと侍女ズが絶句している。
沈黙の後、キャステルさんが口を開いた。
「ユリカ嬢、貴女の世界とこちらの世界では婚約という概念は全く違う意味であるという事は事は分かりました。我々の中にも、もちろんお互いに惹かれて婚約する者もおりますが、大抵は貴族間では親が決めればそれに従います。
それが貴族として使命なのです。婚約してから愛を育む事もありますし、愛が無くても尊敬を持って婚姻生活続けるのです。ユリカ嬢には理解しがたいかもしれませんが……よほどの事があれば婚約解消も出来ますし」
「私の世界にも政略結婚的な事はありますよ?お見合い結婚も未だにあります。でもそれはほんの一部で。普通は恋愛結婚が主流と私は思っています」
「だったら今から私と愛を育めば良いのか?」
「「「「えっ!?」」」
私とキャステルさんが話をしている間、無言で何か考えている感じだった陛下が放った言葉に……
「陛下、本気を出すのですね?」
キャステルさんが嬉しそうに口元を上げている。
「えっ、えっ、えっ?」
振り返れば、侍女ズの二人。メアリーアンとクローディアもにんまりと笑みを浮かべているではないか。
どいう事ですか???
陛下はテーブルの上に乗せていた私の手の上に自分の手を重ね軽く握ってきて……アイスブルーの目を細め、ニヤリ笑った。
「ユリカの言うお付き合いというのをこれからしようではないか」
そ、そんな事を言われても……(汗)
陛下が先触れも無く私の部屋にやって来た。
侍女ズは大慌てでお茶の準備を始めています。
「なんですか、これ?」
「次の王家主催の夜会に付けて欲しい」
箱の中身は豪華なネックレスとイヤリングのセットだった。
「あのう、夜会があるんですか?私、強制参加?」
「まだ二月先だが、面倒なのが来るのでユリカにも出てもらいたい」
「面倒って……」
「それはですね、ユリカ嬢」
その先は一緒に来ていたキャステルさんが説明してくれました。
以前からシリウス陛下と婚姻を希望している隣国オルビス王国の第二王女がいて、何度断りを入れても諦めてくれないらしい。
やはりそれは何時までも妃を迎えない陛下の所為でもあるけれど。
私がここに来る前にも外交を理由に押しかけ半月ほど滞在したという。最後は外交官が無理やり連れ帰ったというのだが。
「その王女さんておいくつ何ですか?」
「それがまだ成人前の十四才ですよ。ローザリー王女は数年前、陛下がオルビスに訪問された際に一目惚れしたらしくてそれ以降何度も婚姻の申し出が出されているのです」
「十四才、陛下と十七歳差……」
私は目の前で優雅にお茶を飲む陛下を上目使いで見て呟く。
「そのような子供を私は相手にする気もない。纏わりついて鬱陶しいだけだ」
「そうなんですか。でも何度も断っているんでしょう?それなのに根性がありますね、ローザリー王女って」
陛下と私は同時にため息を吐いた。
「それだけはないんですよ。前回の滞在でエドモンド侯爵家のマリアンヌ嬢ともひと悶着ありましてね」
「えっと、マリアンヌ嬢って、陛下の婚約者候補の筆頭でしたっけ?」
「よくご存じですね」
「うん、アンが教えてくれたの。何か言ってくるかもしれないから気を付けるようにって」
「なるほど、流石メアリーアン。抜かりはないな」
みんなの視線がメアリーアンに向けられると、彼女は完璧な侍女スマイルで会釈した。
私の侍女、やっぱり綺麗です!
「それですね、ユリカ嬢。陛下が仮婚約をしてユリカ嬢が妃候補筆頭だという事が近隣の国まで知れ渡り、当然ローザリー王女の耳にも入った訳です」
「はぁー、仮婚約では諦めないって事?」
「お察しの通り。それで次の夜会にユリカ嬢の存在を確かめに来たいという申し出がありまして」
「イヤな予感しかしないんですけど」
「今回はマリアンヌ嬢を含めた三つ巴戦となりそうなのです」
「勘弁して欲しいわ」
陛下を巡る婚姻騒動の牽制の為に仮婚約者となっているけど、私はそんな女同士のバトルに巻き込まれたくない。
「失礼します。王城の者たちは前回のお披露目で陛下がハッキリと公言されずともユリカ様を妃候補の筆頭と認識されておりますが、まだ半信半疑のところもございます。でしたら今度の夜会で本当の婚約者にユリカ様を指名されて発表されれば宜しいかと」
アンが一歩前に出て強い声でとんでもないことを言った……わ。
「じょじょじょ、冗談でしょう!アンやめてよ」
「いや、面倒事は沢山だから私もそれが一番の解決策だと思っている」
えっ?陛下まで、何言っちゃってるんですか!
「何、陛下そんな爆弾発言をすました顔で言わないで下さい!」
私は両手でテーブルを叩き立ち上った。
「まあまぁ、ユリカ嬢。落ち着いてください」
「だって、キャステルさん……」
キャステルさんに宥められるように肩を押され、ストンと腰を椅子に落とした私は涙目で訴えた。
「婚約って、私の世界ではお互いに好きになって、お付き合いを始めてですね。それから愛を育んで、婚約または結婚という流れなんですよ。私、この世界に来て皆さんに凄くお世話になってるし、我儘も聞いて貰っている陛下が苦労しているというからカモフラージュ的婚約者のお話は受けましたけど、陛下に付き合おうとか愛を囁かれたこともないし、ちゃんとお付き合いもしてないのに本婚約とかありえないでしょう?」
「「「……」」」
キャステルさんと侍女ズが絶句している。
沈黙の後、キャステルさんが口を開いた。
「ユリカ嬢、貴女の世界とこちらの世界では婚約という概念は全く違う意味であるという事は事は分かりました。我々の中にも、もちろんお互いに惹かれて婚約する者もおりますが、大抵は貴族間では親が決めればそれに従います。
それが貴族として使命なのです。婚約してから愛を育む事もありますし、愛が無くても尊敬を持って婚姻生活続けるのです。ユリカ嬢には理解しがたいかもしれませんが……よほどの事があれば婚約解消も出来ますし」
「私の世界にも政略結婚的な事はありますよ?お見合い結婚も未だにあります。でもそれはほんの一部で。普通は恋愛結婚が主流と私は思っています」
「だったら今から私と愛を育めば良いのか?」
「「「「えっ!?」」」
私とキャステルさんが話をしている間、無言で何か考えている感じだった陛下が放った言葉に……
「陛下、本気を出すのですね?」
キャステルさんが嬉しそうに口元を上げている。
「えっ、えっ、えっ?」
振り返れば、侍女ズの二人。メアリーアンとクローディアもにんまりと笑みを浮かべているではないか。
どいう事ですか???
陛下はテーブルの上に乗せていた私の手の上に自分の手を重ね軽く握ってきて……アイスブルーの目を細め、ニヤリ笑った。
「ユリカの言うお付き合いというのをこれからしようではないか」
そ、そんな事を言われても……(汗)
54
あなたにおすすめの小説
元貧乏貴族の大公夫人、大富豪の旦那様に溺愛されながら人生を謳歌する!
楠ノ木雫
恋愛
貧乏な実家を救うための結婚だった……はずなのに!?
貧乏貴族に生まれたテトラは実は転生者。毎日身を粉にして領民達と一緒に働いてきた。だけど、この家には借金があり、借金取りである商会の商会長から結婚の話を出されてしまっている。彼らはこの貴族の爵位が欲しいらしいけれど、結婚なんてしたくない。
けれどとある日、奴らのせいで仕事を潰された。これでは生活が出来ない。絶体絶命だったその時、とあるお偉いさんが手紙を持ってきた。その中に書いてあったのは……この国の大公様との結婚話ですって!?
※他サイトにも投稿しています。
目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜
楠ノ木雫
恋愛
病院に入院中だった私、奥村菖は知らず知らずに異世界へ続く穴に落っこちていたらしく、目が覚めたら知らない屋敷のベッドにいた。倒れていた菖を保護してくれたのはこの国の公爵家。彼女達からは、地球には帰れないと言われてしまった。
病気を患っている私はこのままでは死んでしまうのではないだろうかと悟ってしまったその時、いきなり目の前に〝妖精〟が現れた。その妖精達が持っていたものは幻の薬草と呼ばれるもので、自分の病気が治る事が発覚。治療を始めてどんどん元気になった。
元気になり、この国の公爵家にも歓迎されて。だから、恩返しの為に現代の知識をフル活用して頑張って元気に生きたいと思います!
でも、あれ? この世界には私の知る食材はないはずなのに、どうして食事にこの四角くて白い〝コレ〟が出てきたの……!?
※他の投稿サイトにも掲載しています。
転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。
ラム猫
恋愛
異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。
『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。
しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。
彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!!
お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。
皆様、お気に入り登録ありがとうございました。
現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
【完結】身分を隠して恋文相談屋をしていたら、子犬系騎士様が毎日通ってくるんですが?
エス
恋愛
前世で日本の文房具好き書店員だった記憶を持つ伯爵令嬢ミリアンヌは、父との約束で、絶対に身分を明かさないことを条件に、変装してオリジナル文具を扱うお店《ことのは堂》を開店することに。
文具の販売はもちろん、手紙の代筆や添削を通して、ささやかながら誰かの想いを届ける手助けをしていた。
そんなある日、イケメン騎士レイが突然来店し、ミリアンヌにいきなり愛の告白!? 聞けば、以前ミリアンヌが代筆したラブレターに感動し、本当の筆者である彼女を探して、告白しに来たのだとか。
もちろんキッパリ断りましたが、それ以来、彼は毎日ミリアンヌ宛ての恋文を抱えてやって来るようになりまして。
「あなた宛の恋文の、添削お願いします!」
......って言われましても、ねぇ?
レイの一途なアプローチに振り回されつつも、大好きな文房具に囲まれ、店主としての仕事を楽しむ日々。
お客様の相談にのったり、前世の知識を活かして、この世界にはない文房具を開発したり。
気づけば店は、騎士達から、果ては王城の使者までが買いに来る人気店に。お願いだから、身バレだけは勘弁してほしい!!
しかしついに、ミリアンヌの正体を知る者が、店にやって来て......!?
恋文から始まる、秘密だらけの恋とお仕事。果たしてその結末は!?
※ほかサイトで投稿していたものを、少し修正して投稿しています。
『異世界転生してカフェを開いたら、庭が王宮より人気になってしまいました』
ヤオサカ
恋愛
申し訳ありません、物語の内容を確認しているため、一部非公開にしています
この物語は完結しました。
前世では小さな庭付きカフェを営んでいた主人公。事故により命を落とし、気がつけば異世界の貧しい村に転生していた。
「何もないなら、自分で作ればいいじゃない」
そう言って始めたのは、イングリッシュガーデン風の庭とカフェづくり。花々に囲まれた癒しの空間は次第に評判を呼び、貴族や騎士まで足を運ぶように。
そんな中、無愛想な青年が何度も訪れるようになり――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる