異世界で王城生活~陛下の隣で~

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27えっ!?

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「ユリカこれを」

 陛下が先触れも無く私の部屋にやって来た。
 侍女ズは大慌てでお茶の準備を始めています。

「なんですか、これ?」
「次の王家主催の夜会に付けて欲しい」

 箱の中身は豪華なネックレスとイヤリングのセットだった。

「あのう、夜会があるんですか?私、強制参加?」
「まだ二月先だが、面倒なのが来るのでユリカにも出てもらいたい」
「面倒って……」

「それはですね、ユリカ嬢」

 その先は一緒に来ていたキャステルさんが説明してくれました。
 以前からシリウス陛下と婚姻を希望している隣国オルビス王国の第二王女がいて、何度断りを入れても諦めてくれないらしい。
 やはりそれは何時までも妃を迎えない陛下の所為でもあるけれど。
 私がここに来る前にも外交を理由に押しかけ半月ほど滞在したという。最後は外交官が無理やり連れ帰ったというのだが。

「その王女さんておいくつ何ですか?」
「それがまだ成人前の十四才ですよ。ローザリー王女は数年前、陛下がオルビスに訪問された際に一目惚れしたらしくてそれ以降何度も婚姻の申し出が出されているのです」

「十四才、陛下と十七歳差……」
 私は目の前で優雅にお茶を飲む陛下を上目使いで見て呟く。

「そのような子供を私は相手にする気もない。纏わりついて鬱陶しいだけだ」
「そうなんですか。でも何度も断っているんでしょう?それなのに根性がありますね、ローザリー王女って」
 陛下と私は同時にため息を吐いた。

「それだけはないんですよ。前回の滞在でエドモンド侯爵家のマリアンヌ嬢ともひと悶着ありましてね」
「えっと、マリアンヌ嬢って、陛下の婚約者候補の筆頭でしたっけ?」
「よくご存じですね」
「うん、アンが教えてくれたの。何か言ってくるかもしれないから気を付けるようにって」
「なるほど、流石メアリーアン。抜かりはないな」

 みんなの視線がメアリーアンに向けられると、彼女は完璧な侍女スマイルで会釈した。
 私の侍女、やっぱり綺麗です!

「それですね、ユリカ嬢。陛下が仮婚約をしてユリカ嬢が妃候補筆頭だという事が近隣の国まで知れ渡り、当然ローザリー王女の耳にも入った訳です」
「はぁー、仮婚約では諦めないって事?」
「お察しの通り。それで次の夜会にユリカ嬢の存在を確かめに来たいという申し出がありまして」
「イヤな予感しかしないんですけど」
「今回はマリアンヌ嬢を含めた三つ巴戦となりそうなのです」

「勘弁して欲しいわ」
 陛下を巡る婚姻騒動の牽制の為に仮婚約者となっているけど、私はそんな女同士のバトルに巻き込まれたくない。

「失礼します。王城の者たちは前回のお披露目で陛下がハッキリと公言されずともユリカ様を妃候補の筆頭と認識されておりますが、まだ半信半疑のところもございます。でしたら今度の夜会で本当の婚約者にユリカ様を指名されて発表されれば宜しいかと」

 アンが一歩前に出て強い声でとんでもないことを言った……わ。

「じょじょじょ、冗談でしょう!アンやめてよ」

「いや、面倒事は沢山だから私もそれが一番の解決策だと思っている」

 えっ?陛下まで、何言っちゃってるんですか!

「何、陛下そんな爆弾発言をすました顔で言わないで下さい!」
 私は両手でテーブルを叩き立ち上った。

「まあまぁ、ユリカ嬢。落ち着いてください」
「だって、キャステルさん……」
 キャステルさんに宥められるように肩を押され、ストンと腰を椅子に落とした私は涙目で訴えた。

「婚約って、私の世界ではお互いに好きになって、お付き合いを始めてですね。それから愛を育んで、婚約または結婚という流れなんですよ。私、この世界に来て皆さんに凄くお世話になってるし、我儘も聞いて貰っている陛下が苦労しているというからカモフラージュ的婚約者のお話は受けましたけど、陛下に付き合おうとか愛を囁かれたこともないし、ちゃんとお付き合いもしてないのに本婚約とかありえないでしょう?」

「「「……」」」

 キャステルさんと侍女ズが絶句している。

 沈黙の後、キャステルさんが口を開いた。

「ユリカ嬢、貴女の世界とこちらの世界では婚約という概念は全く違う意味であるという事は事は分かりました。我々の中にも、もちろんお互いに惹かれて婚約する者もおりますが、大抵は貴族間では親が決めればそれに従います。
それが貴族として使命なのです。婚約してから愛を育む事もありますし、愛が無くても尊敬を持って婚姻生活続けるのです。ユリカ嬢には理解しがたいかもしれませんが……よほどの事があれば婚約解消も出来ますし」

「私の世界にも政略結婚的な事はありますよ?お見合い結婚も未だにあります。でもそれはほんの一部で。普通は恋愛結婚が主流と私は思っています」

「だったら今から私と愛を育めば良いのか?」

「「「「えっ!?」」」

 私とキャステルさんが話をしている間、無言で何か考えている感じだった陛下が放った言葉に……

「陛下、本気を出すのですね?」

 キャステルさんが嬉しそうに口元を上げている。

「えっ、えっ、えっ?」

 振り返れば、侍女ズの二人。メアリーアンとクローディアもにんまりと笑みを浮かべているではないか。
 どいう事ですか???

 陛下はテーブルの上に乗せていた私の手の上に自分の手を重ね軽く握ってきて……アイスブルーの目を細め、ニヤリ笑った。

「ユリカの言うお付き合いというのをこれからしようではないか」




 そ、そんな事を言われても……(汗)



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