異世界で王城生活~陛下の隣で~

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29ホントはどうなの?

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 陛下がヤバイ。
 妙に甘いのだ。
 何だか成り行き?で私と陛下のお付き合いが始まってしまったらしい……
 らしいのだ。
 陛下の事は嫌いではない、むしろ好ましいと思っているけど、お付き合いの先にあるのは王妃ですよ?
 そんな流れで良いんですか?

 陛下はちょっとでも時間が出来ると私のもとへやって来るようになった。
 なかなか城外には行けないからと、城内でデート(散歩)をしようと言い出し、並んで歩けば手を繋いできたりさり気なく腰に手を回してきたりして……何だかこそばゆい。 
 人目も気にしなくなってきているよなー。

 でも、でもよ。
 あの日、「ユリカの言うお付き合いというのをこれからしようではないか」と言われてからスキンシップが増えてた訳だけど。

「好きだ」とか言われてないよね?

 あ―、何かモヤモヤしながら毎日届く数輪の花を見つめる。
 キャンちゃんにも行きたいし露天風呂にも入りたいな。

 そんな事を考えていたら、陛下が久しぶりにキャンちゃんに行きたいと言い出した。
 でも陛下と一緒だと露天風呂は無理ね。
 それでもキャンちゃんへ行けば気晴らしになると思い二人で行く事に。

 そうそう、以前約束したお馬ちゃんは、陛下が選んでくれましたよ。
 小ぶりな雌馬で白馬なのよ。
 フサフサの鬣が銀色に輝いている。
 
「可愛い」

 思わず声に出してしまうと陛下は微笑みながらこの子の名前を教えてくれた。

「グレタ、真珠という意味の名だ」

「真珠……真っ白なこの子にピッタリの名前ね。よろしくグレタ、私はユリカよ」

 優しく鼻面を撫でてあげたら、グレタも私のことを受け入れてくれたらしく頭を私の首元に擦りつけて来た。

「どうやら相性も良さそうな」

 ありがとう陛下ってお礼を言ったら、陛下は満足そうに微笑んでいた。


 キャンちゃんの中で陛下と並んで映画を見た。
 飲み物は陛下がアイスコーヒーで私はホットココア。
 吹き替えのセリフは通じていることが判ったけど、やはり文字は読めないみたい。画面を見ながら出て来る光景にあれは何だと質問を浴びせてくる。無理もないけどね。
 車はキャンちゃんを見て理解していたけど飛行機と電車には驚いて、いきなり立ち上ったりするもんだから私の方がびっくりしてまったよ。
 魔石を使わずどうしてあんなことが出来るのかと理解に苦しんでいる姿は、何だか普段の陛下からは想像できなくて思わず笑っちゃった。

 陛下に気付かれないように笑ってしまったのはラブシーンになった時だった。
 こちらの世界の人って、娯楽は本と演劇みたいでそれなりの描写はあるけど、流石にここまでの表現はないだろうしね。
 最初のキャステルさんの事を思い出すと何となく分かるわって感じかな。
 陛下も度アップに映し出されたキスシーンとベッドシーン(あくまでストーリー上必要なもの)の場面で思わず身体硬直したように見えたもの。
 なんか空々しく目が泳いでいたのにも笑えたわ。
 あっ、でも観た映画はいかがわしいものではないという事はハッキリと言っておきます。

 こんな感じで少しずつ陛下のとの距離が近くなっている事に私も気付いている。
 でもまだ、陛下が本気で婚約したいと思っているのかが分からないんだわ。
 気付けば周りの人達は完全にその気になっているみたいだけど。


*ー*ー*


 夕食の後、夜会の打ち合わせをしユリカを部屋に送り届けこの夜はそのまま自室に戻る事にした。
 自室の扉に手を掛け開きかけたその時だった。

 ユリカの部屋の扉が再度開き、私は固まってしまった。
 扉から顔を出したユリカが辺りを見回し、隣の部屋の前にいた私の姿を見つける。

「陛下、なぜそこに?」

 私に付いていたキャステルと護衛が、やっちまったなと言いたげな顔をしている。

「いやちょっと、ここに用事が……」
 あやふやに言い訳をしようとする。

「陛下、先日宣言されたのですからもうお話しされて置いた方が良いと思いますよ」
 キャステルに言われて……私は覚悟を決めた。

「ユリカはどうしたのだ?」

「私は、陛下がまだ戻っていなかったら一杯付き合ってもらおうかなと思って」

「そ、そうか。それは良いな。うん、でもその前に私の話を聞いてくれるか?」

「ん?いいけど」

「ならばこっちへ来てくれ」

 ユリカは不思議そうな顔をしながら部屋から出て私の傍へやって来る。

「ここって、私の寝室に繋がっている倉庫でしょう?」

「まぁ、入ってくれ」
 私は彼女の背を軽く押して、部屋の中へ導いた。

「えっ、ここって倉庫ではなくお部屋だったの?しかも豪華!」

「ああ、私の自室だ」

「えっ、?」

 ユリウスは傍に居た者達に下がるように言い扉を閉めた。
 シリウスが覚悟決めたと確信したキャステルは「頑張れシリウス」と心の中で呟き応援をしながらその場を去った。

「ユリカ、こちらへ」
 シリウスが机の引き出しから鍵を取り出して、もう一つの扉の前に立つ。
 友梨香が傍まで来ると、シリウスはそのカギで扉を開けてみせた。

「私の寝室と……」

「ああ、そうだ。私の部屋とユリカが使っている寝室は繋がっている」

 あっ、なんで気づかなったのか!そうだよね、王の個室は妃の寝室に繋がっていていると、友梨香は小説で読んだ光景を思い出した。

「隣がシリウス陛下の部屋だったなんて……じゃあ、今まで寝ていたベッドは」

「ああ、ユリカが寝ているのは夫婦のためのベッドだ」

「……なんてことだ!」

 友梨香が自分が寝ていたベッド見て、驚きの声を上げるとシリウスが後ろから友梨香を抱きしめて来た。

「申し訳ない、王妃用の部屋だと言ったが、夫婦のための部屋については説明もしていなかった」

「あ、あー、私何も知らずに」
 抱きしめられている腕の中で友梨香は両手の平で顔を覆ってしまう。

「悪かった、私はユリカを傍に置いておきたかったのだ」

「あ、あのそれはどいうこと?そして、この体勢は?」

「初めて見た時からユリカに心を奪われ、好きになっていたのだと少し前に気付いた。
 そしてこの体勢は……、愛おしいと思うユリカを抱き締めたかったからだ」

「……」

「怒っているか?」

 シリウスの言葉を聞いて友梨香の心臓は破裂してしまうのではないかと思う程に締め付けられていた。

「恋人として愛を育もう」とは言われたけれど、陛下の口から私の事を「好きだ」と初めてきいたのだ。
 嘘でしょう、信じられない……

「ユリカ」

 シリウスは後ろから抱きしめたまま、友梨香の首筋に唇を落としてきた。




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