37 / 57
28いつかは露天風呂に
しおりを挟む
メアリーアンから本婚約の話がでたので、私もいい機会だと思い付き合おうと言ってから十日程たった。
ユリカの様子が少しよそよそしくなったように思う。
私の気持ちはもうとうに決まっており、次の夜会では婚約者としてユリカをエスコートするつもりでいる。
周り者たちもそのつもりで動いている。
キャステルには早く求婚しろと言われているのだが、ユリカの前世の話を聞くと今は婚約迄持っていければ十分だ。いきなり求婚は有り得ないと思い、恋人同士のお付き合いというものをしてみようと思った。
しかし、どうすればよいのか?
「城外へデートに誘われては如何ですか?」
「いや、今の時期それは難しいだろう」
「では宮中内でお散歩されるとか」
「散歩か」
「普通にお茶をされるとか」
「普通に……」
「お花を贈られるのも良いかもしれません。思いを寄せる方に花を贈られるのは普通でございますよ」
「花は……そうか、贈った事はなかったな」
それから私はユリカの部屋に王宮の庭園で、その朝に咲いた花を届けるように命じた。
執務の間に彼女の部屋を訪ね、お茶をするようにもした。
ユリカはそんな私の行動に戸惑いを見せていたが、庭に誘うと少し照れながらも一緒に散歩に出てくれた。
侍女であるメアリーアンとクロ―ディアからそれとなく、ユリカの言っていたお付き合いがどういうものかを聞き出して貰った。
どうやらデートでは手を繋いだり肩を抱いて街中を歩いたりするらしい。
手を繋ぐ?子供でもあるまいしと思う。
普通は肘を軽く曲げればそこに女性が軽く手を添える物だ。
肩を抱く?
背中や腰に手を添えエスコートするものだろう。
違うのか?
するとエスコートは貴族として女性に対応するもので、それとはまた別の特別な女性にする行為だと彼女たちは言う。
そして恋人繋ぎという繋ぎ方を教わる。
私はそれを実行すべくユリカを中庭へと散歩に誘った。
肘ではなく手を差し伸べると、彼女は自然とその手に自分のを重ねて来た。
その手を私はしっかりと握り二人の体の間に下ろす。
「えっ?」
と、彼女は驚き手を離そうとしたが、そのまま私は歩き始めた。
チラリと横目でユリカ顔を伺うと、頬を染めているようだが暫くするとやさしく握り返してきた。
恥じらう姿がなんとも初々しく思え、嬉しくなった。
私は繋いだままの手から伝わって来る熱に人の手の温もりというものはこんなに心地良いものだったのかと初めて気づいた。
しかし、教わった恋人繋ぎというものをする余裕までなかったのは、私にも羞恥心的なものがあったからだと思う。
婚約発表を終えた際には、城下へ出て手を繋ぎながら散策するのも良いかもしれないと密かに考えた。
その時には指を絡める恋人繋ぎというものをしてみたいものだ。
そうして少しずつ彼女のとの距離を縮めていった。
自分から女性にアプローチをしたことが無かった私が、相手の気持ちを自分に向けようといろいろと模索している姿など誰が想像できたであろうか。
しかし、それもまた何か嬉しくも思ってしまう自分がいる。
不思議と周りの者達の生暖かい目も次第に気にならなくなってきた。
だが、ユリカはと言えば。
「ユリカ、これからはなるべく晩餐は共にしよう」
と言えば、
「そんな、忙しいのに無理しなくていいよ」
そんなそっけない返事が返って来る。
もっと自分の方に関心を持って持って貰いたい。
私は彼女の気を惹きたくてしょうがない衝動に駆られしまう。
少し時間が出来たので、久しぶりにキャンちゃんに行こうという事になった。
キャンちゃんに行く時には護衛を付けず、二人で馬で行く。
彼女には比較的大人しめの白馬を選んでみたが、どうやら相性も良いようでそつなく乗りこなしている。
これなら遠乘も行けそうだ。
「陛下は何を飲む?」
「そうだな、先日飲んだアイスコーヒーを貰おうか」
「えっ、もう冬なのに冷たいもので良いの?」
「ああ、この中は暖かいからな」
キャンちゃんの中は快適だった。
テレビという映像装置で映画というものを観る。
画面に出て来る文字は全く分からなかったが、発している言葉は不思議と理解できた。
映し出される画面の中の風景は全く別の世界で、大きな翼を持った乗り物で空を飛び、四角い乗り物で大勢の人々が移動している。
彼らの日常生活が、魔石を使わずとも快適で便利な生活を営めいていることが信じられない。
ユリカはこちらの世界が摩訶不思議というが、その言葉をそっくり返したい。
映画の中にラブシーンと呼ばれるものがあり、普通に口づけを交わし、睦み合うシーンを観て私は動揺してしまった。
この世界にも読み物として恋愛小説的な物や、色物の本も出回っており、挿絵もついていたりする。
閨教育でも図解したのがあるのだが……
映像には確かにそのものは映っていないが、流石に色付きで男女の行為が動いている画像を万人に普通に観られているとは思わかった。
やはり我々の世界とは違い過ぎると実感した。
男女の入浴シーンを平然と見ているユリカ。
隣でそわそわしていることに気付かれないように努めていた私に、彼女は気付いた様子もなく安堵したのだった。
自然とキャンの横にある露天風呂に意識がいく。
いつか二人であの風呂に入りたいものだと思ったのは言うまでもない。
その為にも…………
ユリカの様子が少しよそよそしくなったように思う。
私の気持ちはもうとうに決まっており、次の夜会では婚約者としてユリカをエスコートするつもりでいる。
周り者たちもそのつもりで動いている。
キャステルには早く求婚しろと言われているのだが、ユリカの前世の話を聞くと今は婚約迄持っていければ十分だ。いきなり求婚は有り得ないと思い、恋人同士のお付き合いというものをしてみようと思った。
しかし、どうすればよいのか?
「城外へデートに誘われては如何ですか?」
「いや、今の時期それは難しいだろう」
「では宮中内でお散歩されるとか」
「散歩か」
「普通にお茶をされるとか」
「普通に……」
「お花を贈られるのも良いかもしれません。思いを寄せる方に花を贈られるのは普通でございますよ」
「花は……そうか、贈った事はなかったな」
それから私はユリカの部屋に王宮の庭園で、その朝に咲いた花を届けるように命じた。
執務の間に彼女の部屋を訪ね、お茶をするようにもした。
ユリカはそんな私の行動に戸惑いを見せていたが、庭に誘うと少し照れながらも一緒に散歩に出てくれた。
侍女であるメアリーアンとクロ―ディアからそれとなく、ユリカの言っていたお付き合いがどういうものかを聞き出して貰った。
どうやらデートでは手を繋いだり肩を抱いて街中を歩いたりするらしい。
手を繋ぐ?子供でもあるまいしと思う。
普通は肘を軽く曲げればそこに女性が軽く手を添える物だ。
肩を抱く?
背中や腰に手を添えエスコートするものだろう。
違うのか?
するとエスコートは貴族として女性に対応するもので、それとはまた別の特別な女性にする行為だと彼女たちは言う。
そして恋人繋ぎという繋ぎ方を教わる。
私はそれを実行すべくユリカを中庭へと散歩に誘った。
肘ではなく手を差し伸べると、彼女は自然とその手に自分のを重ねて来た。
その手を私はしっかりと握り二人の体の間に下ろす。
「えっ?」
と、彼女は驚き手を離そうとしたが、そのまま私は歩き始めた。
チラリと横目でユリカ顔を伺うと、頬を染めているようだが暫くするとやさしく握り返してきた。
恥じらう姿がなんとも初々しく思え、嬉しくなった。
私は繋いだままの手から伝わって来る熱に人の手の温もりというものはこんなに心地良いものだったのかと初めて気づいた。
しかし、教わった恋人繋ぎというものをする余裕までなかったのは、私にも羞恥心的なものがあったからだと思う。
婚約発表を終えた際には、城下へ出て手を繋ぎながら散策するのも良いかもしれないと密かに考えた。
その時には指を絡める恋人繋ぎというものをしてみたいものだ。
そうして少しずつ彼女のとの距離を縮めていった。
自分から女性にアプローチをしたことが無かった私が、相手の気持ちを自分に向けようといろいろと模索している姿など誰が想像できたであろうか。
しかし、それもまた何か嬉しくも思ってしまう自分がいる。
不思議と周りの者達の生暖かい目も次第に気にならなくなってきた。
だが、ユリカはと言えば。
「ユリカ、これからはなるべく晩餐は共にしよう」
と言えば、
「そんな、忙しいのに無理しなくていいよ」
そんなそっけない返事が返って来る。
もっと自分の方に関心を持って持って貰いたい。
私は彼女の気を惹きたくてしょうがない衝動に駆られしまう。
少し時間が出来たので、久しぶりにキャンちゃんに行こうという事になった。
キャンちゃんに行く時には護衛を付けず、二人で馬で行く。
彼女には比較的大人しめの白馬を選んでみたが、どうやら相性も良いようでそつなく乗りこなしている。
これなら遠乘も行けそうだ。
「陛下は何を飲む?」
「そうだな、先日飲んだアイスコーヒーを貰おうか」
「えっ、もう冬なのに冷たいもので良いの?」
「ああ、この中は暖かいからな」
キャンちゃんの中は快適だった。
テレビという映像装置で映画というものを観る。
画面に出て来る文字は全く分からなかったが、発している言葉は不思議と理解できた。
映し出される画面の中の風景は全く別の世界で、大きな翼を持った乗り物で空を飛び、四角い乗り物で大勢の人々が移動している。
彼らの日常生活が、魔石を使わずとも快適で便利な生活を営めいていることが信じられない。
ユリカはこちらの世界が摩訶不思議というが、その言葉をそっくり返したい。
映画の中にラブシーンと呼ばれるものがあり、普通に口づけを交わし、睦み合うシーンを観て私は動揺してしまった。
この世界にも読み物として恋愛小説的な物や、色物の本も出回っており、挿絵もついていたりする。
閨教育でも図解したのがあるのだが……
映像には確かにそのものは映っていないが、流石に色付きで男女の行為が動いている画像を万人に普通に観られているとは思わかった。
やはり我々の世界とは違い過ぎると実感した。
男女の入浴シーンを平然と見ているユリカ。
隣でそわそわしていることに気付かれないように努めていた私に、彼女は気付いた様子もなく安堵したのだった。
自然とキャンの横にある露天風呂に意識がいく。
いつか二人であの風呂に入りたいものだと思ったのは言うまでもない。
その為にも…………
43
あなたにおすすめの小説
元貧乏貴族の大公夫人、大富豪の旦那様に溺愛されながら人生を謳歌する!
楠ノ木雫
恋愛
貧乏な実家を救うための結婚だった……はずなのに!?
貧乏貴族に生まれたテトラは実は転生者。毎日身を粉にして領民達と一緒に働いてきた。だけど、この家には借金があり、借金取りである商会の商会長から結婚の話を出されてしまっている。彼らはこの貴族の爵位が欲しいらしいけれど、結婚なんてしたくない。
けれどとある日、奴らのせいで仕事を潰された。これでは生活が出来ない。絶体絶命だったその時、とあるお偉いさんが手紙を持ってきた。その中に書いてあったのは……この国の大公様との結婚話ですって!?
※他サイトにも投稿しています。
目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜
楠ノ木雫
恋愛
病院に入院中だった私、奥村菖は知らず知らずに異世界へ続く穴に落っこちていたらしく、目が覚めたら知らない屋敷のベッドにいた。倒れていた菖を保護してくれたのはこの国の公爵家。彼女達からは、地球には帰れないと言われてしまった。
病気を患っている私はこのままでは死んでしまうのではないだろうかと悟ってしまったその時、いきなり目の前に〝妖精〟が現れた。その妖精達が持っていたものは幻の薬草と呼ばれるもので、自分の病気が治る事が発覚。治療を始めてどんどん元気になった。
元気になり、この国の公爵家にも歓迎されて。だから、恩返しの為に現代の知識をフル活用して頑張って元気に生きたいと思います!
でも、あれ? この世界には私の知る食材はないはずなのに、どうして食事にこの四角くて白い〝コレ〟が出てきたの……!?
※他の投稿サイトにも掲載しています。
有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!!
お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。
皆様、お気に入り登録ありがとうございました。
現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。
ラム猫
恋愛
異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。
『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。
しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。
彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
【完結】身分を隠して恋文相談屋をしていたら、子犬系騎士様が毎日通ってくるんですが?
エス
恋愛
前世で日本の文房具好き書店員だった記憶を持つ伯爵令嬢ミリアンヌは、父との約束で、絶対に身分を明かさないことを条件に、変装してオリジナル文具を扱うお店《ことのは堂》を開店することに。
文具の販売はもちろん、手紙の代筆や添削を通して、ささやかながら誰かの想いを届ける手助けをしていた。
そんなある日、イケメン騎士レイが突然来店し、ミリアンヌにいきなり愛の告白!? 聞けば、以前ミリアンヌが代筆したラブレターに感動し、本当の筆者である彼女を探して、告白しに来たのだとか。
もちろんキッパリ断りましたが、それ以来、彼は毎日ミリアンヌ宛ての恋文を抱えてやって来るようになりまして。
「あなた宛の恋文の、添削お願いします!」
......って言われましても、ねぇ?
レイの一途なアプローチに振り回されつつも、大好きな文房具に囲まれ、店主としての仕事を楽しむ日々。
お客様の相談にのったり、前世の知識を活かして、この世界にはない文房具を開発したり。
気づけば店は、騎士達から、果ては王城の使者までが買いに来る人気店に。お願いだから、身バレだけは勘弁してほしい!!
しかしついに、ミリアンヌの正体を知る者が、店にやって来て......!?
恋文から始まる、秘密だらけの恋とお仕事。果たしてその結末は!?
※ほかサイトで投稿していたものを、少し修正して投稿しています。
『異世界転生してカフェを開いたら、庭が王宮より人気になってしまいました』
ヤオサカ
恋愛
申し訳ありません、物語の内容を確認しているため、一部非公開にしています
この物語は完結しました。
前世では小さな庭付きカフェを営んでいた主人公。事故により命を落とし、気がつけば異世界の貧しい村に転生していた。
「何もないなら、自分で作ればいいじゃない」
そう言って始めたのは、イングリッシュガーデン風の庭とカフェづくり。花々に囲まれた癒しの空間は次第に評判を呼び、貴族や騎士まで足を運ぶように。
そんな中、無愛想な青年が何度も訪れるようになり――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる