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そういうことをされたら、思わず触れてしまいたくなるのは仕方がない
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「謝らないでください、殿下。お仕事お疲れ様です」
「ん、疲れた。早くノアと一緒にお茶を飲みたいな」
「はい。では行きましょう」
後ろから抱きつかれたというのに、ノアは至って冷静である。
しかも、ぐるりと身体の向きを変えると、アシェルの手を取って歩き出した。
空気を読む魔法を使ったのかどうかわからないけれど、イーサンは手をつないで歩き始めた二人の邪魔にならぬよう、そっと身を引く。
側近その2であるワイアットも同じく。
そして側近二人は、同時に「あっつ」と呟いてみるが、ただいまの季節は夏なので暑いのは当然である。
だからその真意にノアは気付かないし、アシェルは、涼しげに聞き流すだけ。
「殿下こっちですよ。足元に気を付けてくださいね」
「ありがとう、ノア」
アシェルの手をつないで歩くノアは、彼の半歩前を歩いている。
眼の光を失ってからアシェルは訓練を重ねて、この離宮とお城の中の執務室なら躓くことなく歩けることができるようになった。
しかし暑さが苦手の彼は、夏の季節は感覚が鈍るらしく上手く歩くことができないらしい。
だから長雨が終わってから、こうして歩くときはアシェルの手を引くことがノアのお仕事の一つに加わった。
そんなに暑さが苦手なら、王族らしい豪奢な服を簡素にすれば良いじゃんと思うかもしれないが、見た目も大事な王族はそういうことはできないらしい。
あと、去年は誰がアシェルの手を引いていたのかと疑問に思うかもしれないが、それには触れてはいけない。感覚が鈍ったのはなぜか今年からなので。
そんなツッコミどころ満載のアシェルの主張だが、ノアは全面的に信じている。なぜならまだノアにとって、アシェルは心配でたまらない存在だからだ。
いやもう本当に、ちょっとは怪しんだ方が良いはずなのだが、頼られることに喜びを覚えてしまう性分のノアはこれっぽっちも気付かない。
むしろ追加されたお仕事を張り切ってこなしている。
「今年はノアが居てくれたから、庭でお茶が楽しめる。ありがとう」
「いえいえ、とんでもないです。でも、早く涼しくなると良いですね」
ノアはアシェルの体調を気遣って発言したけれど、そう言われた盲目王子はちょっと……いや、かなり面白くなかった。
だからこんなことを言ってみる。
「実はね、季節の変わり目も結構、歩きにくかったりするんだ」
細く長く息を吐いて遣る瀬無さそうに笑えば、ノアが小さく息を飲む気配がした。
そんな仮初めの婚約者の気配を感じて、盲目王子が心の中でにんまりしたかどうかは、ご想像にお任せする。
「ん、疲れた。早くノアと一緒にお茶を飲みたいな」
「はい。では行きましょう」
後ろから抱きつかれたというのに、ノアは至って冷静である。
しかも、ぐるりと身体の向きを変えると、アシェルの手を取って歩き出した。
空気を読む魔法を使ったのかどうかわからないけれど、イーサンは手をつないで歩き始めた二人の邪魔にならぬよう、そっと身を引く。
側近その2であるワイアットも同じく。
そして側近二人は、同時に「あっつ」と呟いてみるが、ただいまの季節は夏なので暑いのは当然である。
だからその真意にノアは気付かないし、アシェルは、涼しげに聞き流すだけ。
「殿下こっちですよ。足元に気を付けてくださいね」
「ありがとう、ノア」
アシェルの手をつないで歩くノアは、彼の半歩前を歩いている。
眼の光を失ってからアシェルは訓練を重ねて、この離宮とお城の中の執務室なら躓くことなく歩けることができるようになった。
しかし暑さが苦手の彼は、夏の季節は感覚が鈍るらしく上手く歩くことができないらしい。
だから長雨が終わってから、こうして歩くときはアシェルの手を引くことがノアのお仕事の一つに加わった。
そんなに暑さが苦手なら、王族らしい豪奢な服を簡素にすれば良いじゃんと思うかもしれないが、見た目も大事な王族はそういうことはできないらしい。
あと、去年は誰がアシェルの手を引いていたのかと疑問に思うかもしれないが、それには触れてはいけない。感覚が鈍ったのはなぜか今年からなので。
そんなツッコミどころ満載のアシェルの主張だが、ノアは全面的に信じている。なぜならまだノアにとって、アシェルは心配でたまらない存在だからだ。
いやもう本当に、ちょっとは怪しんだ方が良いはずなのだが、頼られることに喜びを覚えてしまう性分のノアはこれっぽっちも気付かない。
むしろ追加されたお仕事を張り切ってこなしている。
「今年はノアが居てくれたから、庭でお茶が楽しめる。ありがとう」
「いえいえ、とんでもないです。でも、早く涼しくなると良いですね」
ノアはアシェルの体調を気遣って発言したけれど、そう言われた盲目王子はちょっと……いや、かなり面白くなかった。
だからこんなことを言ってみる。
「実はね、季節の変わり目も結構、歩きにくかったりするんだ」
細く長く息を吐いて遣る瀬無さそうに笑えば、ノアが小さく息を飲む気配がした。
そんな仮初めの婚約者の気配を感じて、盲目王子が心の中でにんまりしたかどうかは、ご想像にお任せする。
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