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「姉上、僕です。フィルです。長らく留守にして申し訳ありませんでした」
「…フィ…ル?」
「はい」
姉上が虚ろな目を僕に向ける。病のせいか薬のせいか、意識が朦朧としているようだ。
僕は少しだけ顔を近づけて微笑んだ。
「姉上、もう少し頑張ってください。僕が必ず助けますから」
「フィル…が…?」
血の気のない真っ白な顔の姉上に、僕は頷いてみせる。
生まれてからずっと病弱だった姉上。ようやく元気になったのに、再び病に倒れた。それはきっと僕のせいだ。双子ではなく姉上だけで生まれていたら、元気だったに違いない。城を出された時に僕が殺されていたら、再び倒れることはなかったに違いない。
姉上、辛い思いをさせてごめんなさい。僕の命をかけて助けます。
僕はベッドから少し離れると、ラズールの正面に身体を向けた。
「ラズール…お願い」
「…かしこまりました」
カチャと音を立てて、ラズールが腰の剣を引き抜く。
その音に反応したトラビスが、こちらを振り向いて叫んだ。
「おいっ!何をしているっ!ラズール、血迷ったかっ」
トラビスが駆け寄りラズールの右腕を掴む。
ほぼ同時に僕はトラビスの腕に触れる。
トラビスが、混乱した様子で僕を見た。
「フィル様?」
「トラビス、手を離せ。おまえの手で僕を殺せなくて残念だろうけど、我慢しろ」
「そんなこと…微塵も思っていません!というか、これはどういうことですっ?今から何をするおつもりですか!本日は女王の見舞いに来られたのではないのですか?」
「そんなわけないだろう。僕は姉上を助けるために戻ってきたんだ。姉上を助けるには僕の命が必要だ。おまえは黙って見ていろ」
「無理ですっ…。俺は、あなたを刺したあの時のことをとても後悔している…。あなたを失うとわかった時の恐怖が忘れられないんですっ。だから…」
声を絞り出すように顔を歪めて話すトラビスに、僕は怪訝な顔をする。
「おまえがなにを言ってるのかわからない」
「わかるまで言います。俺はあなたが好きなのです。大切に想っています。だからラズール、この方を殺すことは許さない」
トラビスがラズールの腕を更に強く握りしめた。
しかしラズールは顔色ひとつ変えない。だけど心底怒っていると僕にはわかる。
「…おまえにフィル様のなにがわかる。本当に大切に思うのなら、フィル様の望みを叶えて差し上げることだ。だから俺は、フィル様を殺すのだ」
「なぜだ。フィル様を殺せばフェリ様が助かると言うのか?」
「そうだ。先ほどフィル様がそう仰っていただろう。おまえは何も知らないのなら、余計な口を挟むな」
「…フィ…ル?」
「はい」
姉上が虚ろな目を僕に向ける。病のせいか薬のせいか、意識が朦朧としているようだ。
僕は少しだけ顔を近づけて微笑んだ。
「姉上、もう少し頑張ってください。僕が必ず助けますから」
「フィル…が…?」
血の気のない真っ白な顔の姉上に、僕は頷いてみせる。
生まれてからずっと病弱だった姉上。ようやく元気になったのに、再び病に倒れた。それはきっと僕のせいだ。双子ではなく姉上だけで生まれていたら、元気だったに違いない。城を出された時に僕が殺されていたら、再び倒れることはなかったに違いない。
姉上、辛い思いをさせてごめんなさい。僕の命をかけて助けます。
僕はベッドから少し離れると、ラズールの正面に身体を向けた。
「ラズール…お願い」
「…かしこまりました」
カチャと音を立てて、ラズールが腰の剣を引き抜く。
その音に反応したトラビスが、こちらを振り向いて叫んだ。
「おいっ!何をしているっ!ラズール、血迷ったかっ」
トラビスが駆け寄りラズールの右腕を掴む。
ほぼ同時に僕はトラビスの腕に触れる。
トラビスが、混乱した様子で僕を見た。
「フィル様?」
「トラビス、手を離せ。おまえの手で僕を殺せなくて残念だろうけど、我慢しろ」
「そんなこと…微塵も思っていません!というか、これはどういうことですっ?今から何をするおつもりですか!本日は女王の見舞いに来られたのではないのですか?」
「そんなわけないだろう。僕は姉上を助けるために戻ってきたんだ。姉上を助けるには僕の命が必要だ。おまえは黙って見ていろ」
「無理ですっ…。俺は、あなたを刺したあの時のことをとても後悔している…。あなたを失うとわかった時の恐怖が忘れられないんですっ。だから…」
声を絞り出すように顔を歪めて話すトラビスに、僕は怪訝な顔をする。
「おまえがなにを言ってるのかわからない」
「わかるまで言います。俺はあなたが好きなのです。大切に想っています。だからラズール、この方を殺すことは許さない」
トラビスがラズールの腕を更に強く握りしめた。
しかしラズールは顔色ひとつ変えない。だけど心底怒っていると僕にはわかる。
「…おまえにフィル様のなにがわかる。本当に大切に思うのなら、フィル様の望みを叶えて差し上げることだ。だから俺は、フィル様を殺すのだ」
「なぜだ。フィル様を殺せばフェリ様が助かると言うのか?」
「そうだ。先ほどフィル様がそう仰っていただろう。おまえは何も知らないのなら、余計な口を挟むな」
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