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ここはイヴァル帝国の王都の中にある高級宿だ。トラビスの案内でここに来て、一番高い部屋に通された。ゼノ以外の従者は隣の部屋で休んでいる。
フィーとの面会のすぐ後に、前王の葬儀の準備で忙しいからすぐに帰れと、あのムカつくラズールに言われた。
俺は無視していたがゼノが頷いたので、ラズールはサッサと部屋を出ていった。
ゼノ曰く「ここにいても今は何もできません。一旦国に戻り、フィル様を連れ出す算段を考えましょう」とのことだ。
それは俺もわかっている。だけどここを出る前にもう一度、フィーに会いたい。必ず迎えに来るから待ってて欲しいと伝えたい。
フィーの部屋さえわかれば…と考えていると、今度はトラビスが来た。
「何用だ。よくも俺の前に顔を出せたな。俺はおまえがフィーを傷つけたこと、バイロン国の王城から連れ出したことを許してないぞ」
「わかってます。フィル様を傷つけたことは反省してます。しかし連れ出したことに関しては、フィル様が望んだことでしたので謝りません」
俺の前で片膝をついて、まっすぐにこちらを見てくる。体格がよくて腕が立ちそうだし意志が強そうだ。性格もラズールよりはマシに思える。
「まあいい。それで?俺達は早々にここを出るように言われてるんだが?」
「…その前に、フィル様に会わせてさしあげます。王子、俺についてきてください」
「なに?なぜだ?まさか俺を連れ出して殺…」
「そのような卑怯なマネはしません!王子、時間がありません。どうしますか?」
「…行くよ」
俺は手に持っていた灰色のマントをはおった。
ゼノがついてこようとするのを、トラビスが止める。
「王子お一人でお願いします。人が多くなれば目立つ。大丈夫です。必ず戻ってきますので、あなた方はここでお待ちください」
「ゼノ、帰り支度をして待ってろ」
「…かしこまりました。トラビス殿、頼みますよ」
「承知」
トラビスが俺に頷いて部屋を出る。
俺は後に続き、トラビスの後ろをついていく。
フィーの部屋は、俺がいた部屋から意外と近かった。花が咲く美しい中庭を抜けると、すぐにフィーの部屋の下についた。
「フィル様の部屋は二階です。上れますか?」
「余裕だ」
「あまり時間がありません。少し話したら、すぐに降りてきてください」
「わかった」
俺は一階の部屋に誰もいないことを確認すると、窓枠に手をかけてスルスルと登った。二階のバルコニーに降り立つ。どうやってフィーに声をかけようかと思ったが、いきなり目の前にフィーがいた。ドレスを脱いでいつものシャツとズボンに着替え、窓から空を眺めていた。
フィーの大きな目から涙が溢れ、シャツの袖で拭っている。
なぜ泣いてる?やはり辛いのだろ?そんな姿を見せられては我慢できない。
俺は窓をカツンと叩いた。
フィーがこちらを見て、俺に気づいて驚いている。
ふふ、可愛いな。
俺を見て涙が止まらなくなったフィーが、震える手で鍵を外した。
直後に、俺は静かに窓を開けて中に入り、フィーを抱きしめた。
フィーとの面会のすぐ後に、前王の葬儀の準備で忙しいからすぐに帰れと、あのムカつくラズールに言われた。
俺は無視していたがゼノが頷いたので、ラズールはサッサと部屋を出ていった。
ゼノ曰く「ここにいても今は何もできません。一旦国に戻り、フィル様を連れ出す算段を考えましょう」とのことだ。
それは俺もわかっている。だけどここを出る前にもう一度、フィーに会いたい。必ず迎えに来るから待ってて欲しいと伝えたい。
フィーの部屋さえわかれば…と考えていると、今度はトラビスが来た。
「何用だ。よくも俺の前に顔を出せたな。俺はおまえがフィーを傷つけたこと、バイロン国の王城から連れ出したことを許してないぞ」
「わかってます。フィル様を傷つけたことは反省してます。しかし連れ出したことに関しては、フィル様が望んだことでしたので謝りません」
俺の前で片膝をついて、まっすぐにこちらを見てくる。体格がよくて腕が立ちそうだし意志が強そうだ。性格もラズールよりはマシに思える。
「まあいい。それで?俺達は早々にここを出るように言われてるんだが?」
「…その前に、フィル様に会わせてさしあげます。王子、俺についてきてください」
「なに?なぜだ?まさか俺を連れ出して殺…」
「そのような卑怯なマネはしません!王子、時間がありません。どうしますか?」
「…行くよ」
俺は手に持っていた灰色のマントをはおった。
ゼノがついてこようとするのを、トラビスが止める。
「王子お一人でお願いします。人が多くなれば目立つ。大丈夫です。必ず戻ってきますので、あなた方はここでお待ちください」
「ゼノ、帰り支度をして待ってろ」
「…かしこまりました。トラビス殿、頼みますよ」
「承知」
トラビスが俺に頷いて部屋を出る。
俺は後に続き、トラビスの後ろをついていく。
フィーの部屋は、俺がいた部屋から意外と近かった。花が咲く美しい中庭を抜けると、すぐにフィーの部屋の下についた。
「フィル様の部屋は二階です。上れますか?」
「余裕だ」
「あまり時間がありません。少し話したら、すぐに降りてきてください」
「わかった」
俺は一階の部屋に誰もいないことを確認すると、窓枠に手をかけてスルスルと登った。二階のバルコニーに降り立つ。どうやってフィーに声をかけようかと思ったが、いきなり目の前にフィーがいた。ドレスを脱いでいつものシャツとズボンに着替え、窓から空を眺めていた。
フィーの大きな目から涙が溢れ、シャツの袖で拭っている。
なぜ泣いてる?やはり辛いのだろ?そんな姿を見せられては我慢できない。
俺は窓をカツンと叩いた。
フィーがこちらを見て、俺に気づいて驚いている。
ふふ、可愛いな。
俺を見て涙が止まらなくなったフィーが、震える手で鍵を外した。
直後に、俺は静かに窓を開けて中に入り、フィーを抱きしめた。
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