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僕を抱きしめたまま右手を前に突き出したラズールを慌てて止める。
「ラズールやめて。私は大丈夫だ」
「しかしっ」
「冷静になって。トラビスも離してあげて」
「離すと何をするかわかりません」
「そうだ」とクルト王子が、膝をつき腕を後ろにひねり上げられながら、不気味に笑う。
僕はラズールを押し退けて立ち上がると、クルト王子に近づいた。
「まだ何かするつもりですか?」
「わかっているのか?この天幕の周りを我が兵が囲んでいるぞ」
「しかしそちらの兵を囲むように、イヴァルの兵がいます」
「イヴァルの兵がここにいる女王を守る前に、我が兵の刃が届く」
「はあ…おかしなことを言いますね。王子は先ほど目にしたばかりだというのに、もうお忘れですか?そこの騎士の剣は、私の身体に傷一つつけることができなかった。私はこの痣に守られています。どうやって殺すのですか?」
「ふははっ!」
いきなりクルト王子が声を上げて笑い出した。
クルト王子の背後にいるトラビスが怪訝な顔をする。
僕はトラビスの更に背後にいるゼノに目を向けた。
ゼノは困惑していた。
「お静かに。あなたは我が女王を殺そうとしました。あなたがたを拘束します。外にいる兵には国に戻るよう、命じてください」
トラビスがそう言いながら素早く魔法でクルト王子と騎士の手足を拘束する。そして少しためらった後に、ゼノの手も拘束した。
僕はしゃがんで、クルト王子と目を合わせる。
「王子を無事に返すことを交換条件に、軍を引いてもらいます。私に剣を向けずに素直に帰っていればよかったのに…」
「貴様のようなバケモノは、すぐに殺さなければダメだろう。姿だけでなく、剣も通さぬ身体とは…!イヴァル帝国の新王が、まさか人ではなかったとは驚きだ!」
「私は人ですよ…」
どうでもいいクルト王子に何と思われようと構わないが、こうもはっきりとバケモノと言われるのは傷つく。
背後でカチャ…と、ラズールが剣を握りしめる音が聞こえた。
僕は後ろを見ずに手を上げてラズールを止める。
「ラズール…落ち着いて。ところでクルト王子、どうして笑ったのですか?」
「ああ」
クルト王子の目に、恐怖と侮蔑の色が見える。
僕はあえて、クルト王子の目を見つめ続けた。
「俺がイヴァルの女王を妃に迎えると言った時に、弟のリアムが大反対したのだ。俺には他国の姫を妃に迎えればいい、イヴァルの女王は自分の唯一の妻にする、だとさ」
「…リアム…王子が?」
「貴様はリアムに会ったことがあるのだろう?あいつは、俺とイヴァルの女王とは結婚の約束もしていると言ってたぞ。あまりにもしつこかったから、絶対にあいつから女王を奪い取ってやろうと決めたんだが…ははっ!こんな面白いことになるとは」
「なにが…です?」
「イヴァル帝国を手に入れるために貴様を妃に迎えようとしたが、バケモノの妃などいらぬ。俺は貴様を諦めた。だがリアムは、どうするのだろうな。貴様のその姿を見て、どんな反応をするのかと考えたら楽しくてたまらぬ!」
僕は唇を噛んだ。
リアムは僕の痣のことを知ってる。だけどお互いに記憶をなくし、長い間会っていない。もしも心変わりしていたら?改めて痣を見て、嫌悪の表情をされたら?
悪い妄想が頭の中にうずまいて、鼻の奥がツンと痛くなった。
「ラズールやめて。私は大丈夫だ」
「しかしっ」
「冷静になって。トラビスも離してあげて」
「離すと何をするかわかりません」
「そうだ」とクルト王子が、膝をつき腕を後ろにひねり上げられながら、不気味に笑う。
僕はラズールを押し退けて立ち上がると、クルト王子に近づいた。
「まだ何かするつもりですか?」
「わかっているのか?この天幕の周りを我が兵が囲んでいるぞ」
「しかしそちらの兵を囲むように、イヴァルの兵がいます」
「イヴァルの兵がここにいる女王を守る前に、我が兵の刃が届く」
「はあ…おかしなことを言いますね。王子は先ほど目にしたばかりだというのに、もうお忘れですか?そこの騎士の剣は、私の身体に傷一つつけることができなかった。私はこの痣に守られています。どうやって殺すのですか?」
「ふははっ!」
いきなりクルト王子が声を上げて笑い出した。
クルト王子の背後にいるトラビスが怪訝な顔をする。
僕はトラビスの更に背後にいるゼノに目を向けた。
ゼノは困惑していた。
「お静かに。あなたは我が女王を殺そうとしました。あなたがたを拘束します。外にいる兵には国に戻るよう、命じてください」
トラビスがそう言いながら素早く魔法でクルト王子と騎士の手足を拘束する。そして少しためらった後に、ゼノの手も拘束した。
僕はしゃがんで、クルト王子と目を合わせる。
「王子を無事に返すことを交換条件に、軍を引いてもらいます。私に剣を向けずに素直に帰っていればよかったのに…」
「貴様のようなバケモノは、すぐに殺さなければダメだろう。姿だけでなく、剣も通さぬ身体とは…!イヴァル帝国の新王が、まさか人ではなかったとは驚きだ!」
「私は人ですよ…」
どうでもいいクルト王子に何と思われようと構わないが、こうもはっきりとバケモノと言われるのは傷つく。
背後でカチャ…と、ラズールが剣を握りしめる音が聞こえた。
僕は後ろを見ずに手を上げてラズールを止める。
「ラズール…落ち着いて。ところでクルト王子、どうして笑ったのですか?」
「ああ」
クルト王子の目に、恐怖と侮蔑の色が見える。
僕はあえて、クルト王子の目を見つめ続けた。
「俺がイヴァルの女王を妃に迎えると言った時に、弟のリアムが大反対したのだ。俺には他国の姫を妃に迎えればいい、イヴァルの女王は自分の唯一の妻にする、だとさ」
「…リアム…王子が?」
「貴様はリアムに会ったことがあるのだろう?あいつは、俺とイヴァルの女王とは結婚の約束もしていると言ってたぞ。あまりにもしつこかったから、絶対にあいつから女王を奪い取ってやろうと決めたんだが…ははっ!こんな面白いことになるとは」
「なにが…です?」
「イヴァル帝国を手に入れるために貴様を妃に迎えようとしたが、バケモノの妃などいらぬ。俺は貴様を諦めた。だがリアムは、どうするのだろうな。貴様のその姿を見て、どんな反応をするのかと考えたら楽しくてたまらぬ!」
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リアムは僕の痣のことを知ってる。だけどお互いに記憶をなくし、長い間会っていない。もしも心変わりしていたら?改めて痣を見て、嫌悪の表情をされたら?
悪い妄想が頭の中にうずまいて、鼻の奥がツンと痛くなった。
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