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200年前、エンデは『聖女』などと呼ばれて持て囃されていた。
そして死後その字は教会によって正式なものへと姿を変える。
神のもたらした心優しき奇跡の乙女、真実の意味での『聖女』として。
だがそんなものは幻想である、と侯爵令嬢ティアーヌは知っている。
エンデはただの魔女で、国を救ったのはただの成り行きと言うところが大きい。
神の声など聞いたことも無いし、惰性で求められた仕事をしていただけなのだ。
そんな罰当たりな真実を確信しているのは、ティアーヌがそのエンデの生まれ変わりだからである。
そのことを知っている者は、ワーズではほとんどいない。
エンデのかつての使い魔である、現『聖地』の番人の他には。
「おかえりなさい。ご主人様っ!」
「ただいま。カリョー」
『聖地』――かつての自宅に到着したティアーヌは、番人のカリョーと熱い抱擁を交わす。
照れくさいが、こうしないとこの番人はすぐにいじけるのである。
子供ほどの背丈のカリョーの頭を撫でながら、ティアーヌは子供をあやす母のような笑みを浮かべた。
「さっそくで悪いけど、少し物置の方見ても構わないかしら」
「掃除はしてありますが、ご入用の者があれば取ってきますよ?」
「……何が『ご入用』かを今から決めるのよ」
うんざりとした顔に変わったティアーヌに、カリョーはぱちくりと瞬きを送った。
小さな背丈に、腰まで届く陽炎のような髪。
手足も華奢で、まるでどこかの深窓のご令嬢のようである。
そう言うと本人が嫌がるので、服はきっちりとした執事服を着せている。
そんな可愛らしい姿のカリョーは、もちろん人間ではない。
使い魔であり、200年の時を過ごしている以上は相応の存在である。
「んしょ。奥の方はこれで全部でーす」
物置の積み上げられた木箱を片手でひょいと持ち上げ、カリョーは柔らかな声をティアーヌに届けた。
カリョーは妖怪変化、東方から来たという力ある精霊の一種である。
カリョウビンガと呼ばれるその鳥は、楽に秀で聞く者を天上へ導く声を持つ。
これを聞くとティアーヌも、ここのところ荒んでいた内面が癒される心持ちだった。
「ええと、コレとアレと……。丁度良い塩梅のものはこの程度ですかねえ」
カリョーはティアーヌからの注文を受けて厳選した魔道具を床に並べた。
――水精マナの量に応じて永久に水を生み出す宝玉。
――魔力を糧として動くからくりの設計図。
――傷と病を治す減らない軟膏。
いずれもエンデだった時代にティアーヌが手慰みに作った研究成果である。
世の魔術師よろしく、エンデも魔族が現れる前は探求の日々に溺れていたものだった。
「こんな所よねえ。あんまり大げさなの持ち出してもしょうがないし」
「今生のお父上への『贈り物』でしたか? 誕生日でも無いのに、必要無いと思いますけど……」
このような『聖女』の遺産を持ち出そうとしているのは、全て父である侯爵が原因である。
しかしそう事のあらましを聞いたカリョーは首を捻るばかりだった。
「お父上が『聖地』に興味を示されたから、ですか? 考えすぎでは?」
「甘いわね。お父様は政治にはシビアなの。利用できるものなら何でも利用するし、ご納得頂ける物を持ち帰らないと、絶対零度の視線が家で待ってるんだから」
「ええー、そうですかね? 結構根は単純ですよ、あの子」
200年『聖地』を番人を務めるカリョーは、当然その土地の所有者である侯爵家とも面識がある。
カリョーにとっては現侯爵も、小さい頃から会っていた子供の一人に過ぎない。
だが侯爵の幼少期を聞かされても、ティアーヌは怪訝な顔をするだけだった。
「どこの生き物のことよ、それ……」
「侯爵家の原生生物ですけど」
「あの父上にそんな人間味があるわけないでしょ。失礼な事言わないで頂戴」
「ええー……」
そんな無駄話は早々に切り上げ、ティアーヌは持ち帰る遺産の精査に戻った。
これよりも高度な魔道具もあるが、あまり大げさなものを持ち出してまた厄介なことになっても困るだろう。
そこそこに役立って、見栄えも良く、世を乱さないものの方が良い。
飢饉が起きている時勢を考えれば、農業用水に出来る水の宝玉などが具合が良い。
農地を広げられるし、水源地に放り込めば干ばつ知らずだ。
これが良い、というよりは消去法だった。
からくりの設計図は、これが世に出回れば一番得をするのは鉱山関係者だろう。
動力源となるからくりを、水車のような水くみ装置に繋げれば壁面から染み出す雨水の排水量を上げられる。
つまりは鉱山を更に掘り進めることが可能になり、鉱山の寿命が延びることになる。
だがワーズに鉱山は少ないし、何より地味だ。
次に減らない薬だが、実の所これが一番無い。
塗るだけで病気もケガも治るが、ただでさえ飢饉で食料が足りていないのに食い扶持をふやしても仕方がない。
暴動の種を増やすだけである。
酷なようだが、死ぬ運命にある人はそれに殉じて貰った方が多くの人が救われるのが現状だ。
「決めたわ。これ」
「地味じゃないですかー。設計図は無いとして、『聖女』の見栄えを考えれば薬一択ですよ」
しかしカリョーがこれに異を唱えた。
ぷくり、と頬を膨らませて可愛らしいことこの上ない。
そうティアーヌが指摘した日にはひと月ほど拗ねるのだが。
「『聖女』の治癒の魔術を連想させるなら、ってこと? でもそれで助かった人を養う余裕が物理的に無いのよね」
「良いじゃないですか。侯爵家を通じて王家に献上しましょう。あの王太子あたりが食いつきますよ」
「いや、ますますダメじゃないのそれ……」
きっと何も考えず、『聖女』の思し召しと言って貧民たちに使うに違いない。
それだけに留まらず、舞踏会でティアーヌが使って見せた治癒の魔術も、この薬のお陰だとうそぶくかもしれない。
「そうなったら最悪内乱よ?」
一時の間命を繋いだだけの貧者が食料を求めて暴動を起こすかもしれない。
または今度こそ王家と侯爵家で争いを起こすかもしれない。
『聖女』の遺産を奉じてまでそんな泥を撥ねられたら、父である侯爵もさすがに引けないだろう。
ティアーヌはそう言って窘めるが、カリョーが返したのは満面の笑顔だった。
「素晴らしい! それなら今度こそ遠慮しなくて良いですよね?」
「え……?」
「暴動だったらざまぁ見ろ。喧嘩を売ったら殴り返せます。ボクも参戦しますがよろしいですよね、ね?」
ちっとも笑ってない笑顔で、カリョーはそんなことを言った。
天上の安らぎを齎す声を出す口も、今は怒りの気炎を吐き出している。
ちゃんとこの子もバケモノなんだな、とティアーヌは現実逃避をしながら首を振った。
「やめてよ。成り行きでも200年前に必死で立て直した国なんだからさ」
さすがに無意味に人死にが出るのはティアーヌも避けたかった。
自業自得のヴァレールはまだしも、巻き込まれる民たちは堪ったものではないだろう。
「ええー!」
「今の私だってこの国の貴族の一人なんだし」
「やだやだやだぁ! 王子燃やしたいよー! 燃やす前に水掛けて、苦しむ時間増やしてやるんだい!」
「なんて物騒な……」
そうしてカリョーが駄々を捏ねること数分。
ティアーヌはげんなり疲れると共に、すぐにここに来たことを安堵した。
(こりゃ爆発寸前だったなあ……)
もしカリョーを放っておいたら、王都まで堂々ヴァレールを討ちに行っていただろう。
その後の苦労を考えれば、今この場で爆弾の火消しをする方がはるかに容易い。
「若い時は誰だって間違いはあるでしょ。この程度で騒がないの」
もう終わった話なんだから。
そう言って窘めていると、カリョーは不意にティアーヌの胸元から顔を上げた。
「ご主人様、侵入者です」
その真剣な眼差しに、嫌な予感が隠せないティアーヌだった。
そして死後その字は教会によって正式なものへと姿を変える。
神のもたらした心優しき奇跡の乙女、真実の意味での『聖女』として。
だがそんなものは幻想である、と侯爵令嬢ティアーヌは知っている。
エンデはただの魔女で、国を救ったのはただの成り行きと言うところが大きい。
神の声など聞いたことも無いし、惰性で求められた仕事をしていただけなのだ。
そんな罰当たりな真実を確信しているのは、ティアーヌがそのエンデの生まれ変わりだからである。
そのことを知っている者は、ワーズではほとんどいない。
エンデのかつての使い魔である、現『聖地』の番人の他には。
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「ただいま。カリョー」
『聖地』――かつての自宅に到着したティアーヌは、番人のカリョーと熱い抱擁を交わす。
照れくさいが、こうしないとこの番人はすぐにいじけるのである。
子供ほどの背丈のカリョーの頭を撫でながら、ティアーヌは子供をあやす母のような笑みを浮かべた。
「さっそくで悪いけど、少し物置の方見ても構わないかしら」
「掃除はしてありますが、ご入用の者があれば取ってきますよ?」
「……何が『ご入用』かを今から決めるのよ」
うんざりとした顔に変わったティアーヌに、カリョーはぱちくりと瞬きを送った。
小さな背丈に、腰まで届く陽炎のような髪。
手足も華奢で、まるでどこかの深窓のご令嬢のようである。
そう言うと本人が嫌がるので、服はきっちりとした執事服を着せている。
そんな可愛らしい姿のカリョーは、もちろん人間ではない。
使い魔であり、200年の時を過ごしている以上は相応の存在である。
「んしょ。奥の方はこれで全部でーす」
物置の積み上げられた木箱を片手でひょいと持ち上げ、カリョーは柔らかな声をティアーヌに届けた。
カリョーは妖怪変化、東方から来たという力ある精霊の一種である。
カリョウビンガと呼ばれるその鳥は、楽に秀で聞く者を天上へ導く声を持つ。
これを聞くとティアーヌも、ここのところ荒んでいた内面が癒される心持ちだった。
「ええと、コレとアレと……。丁度良い塩梅のものはこの程度ですかねえ」
カリョーはティアーヌからの注文を受けて厳選した魔道具を床に並べた。
――水精マナの量に応じて永久に水を生み出す宝玉。
――魔力を糧として動くからくりの設計図。
――傷と病を治す減らない軟膏。
いずれもエンデだった時代にティアーヌが手慰みに作った研究成果である。
世の魔術師よろしく、エンデも魔族が現れる前は探求の日々に溺れていたものだった。
「こんな所よねえ。あんまり大げさなの持ち出してもしょうがないし」
「今生のお父上への『贈り物』でしたか? 誕生日でも無いのに、必要無いと思いますけど……」
このような『聖女』の遺産を持ち出そうとしているのは、全て父である侯爵が原因である。
しかしそう事のあらましを聞いたカリョーは首を捻るばかりだった。
「お父上が『聖地』に興味を示されたから、ですか? 考えすぎでは?」
「甘いわね。お父様は政治にはシビアなの。利用できるものなら何でも利用するし、ご納得頂ける物を持ち帰らないと、絶対零度の視線が家で待ってるんだから」
「ええー、そうですかね? 結構根は単純ですよ、あの子」
200年『聖地』を番人を務めるカリョーは、当然その土地の所有者である侯爵家とも面識がある。
カリョーにとっては現侯爵も、小さい頃から会っていた子供の一人に過ぎない。
だが侯爵の幼少期を聞かされても、ティアーヌは怪訝な顔をするだけだった。
「どこの生き物のことよ、それ……」
「侯爵家の原生生物ですけど」
「あの父上にそんな人間味があるわけないでしょ。失礼な事言わないで頂戴」
「ええー……」
そんな無駄話は早々に切り上げ、ティアーヌは持ち帰る遺産の精査に戻った。
これよりも高度な魔道具もあるが、あまり大げさなものを持ち出してまた厄介なことになっても困るだろう。
そこそこに役立って、見栄えも良く、世を乱さないものの方が良い。
飢饉が起きている時勢を考えれば、農業用水に出来る水の宝玉などが具合が良い。
農地を広げられるし、水源地に放り込めば干ばつ知らずだ。
これが良い、というよりは消去法だった。
からくりの設計図は、これが世に出回れば一番得をするのは鉱山関係者だろう。
動力源となるからくりを、水車のような水くみ装置に繋げれば壁面から染み出す雨水の排水量を上げられる。
つまりは鉱山を更に掘り進めることが可能になり、鉱山の寿命が延びることになる。
だがワーズに鉱山は少ないし、何より地味だ。
次に減らない薬だが、実の所これが一番無い。
塗るだけで病気もケガも治るが、ただでさえ飢饉で食料が足りていないのに食い扶持をふやしても仕方がない。
暴動の種を増やすだけである。
酷なようだが、死ぬ運命にある人はそれに殉じて貰った方が多くの人が救われるのが現状だ。
「決めたわ。これ」
「地味じゃないですかー。設計図は無いとして、『聖女』の見栄えを考えれば薬一択ですよ」
しかしカリョーがこれに異を唱えた。
ぷくり、と頬を膨らませて可愛らしいことこの上ない。
そうティアーヌが指摘した日にはひと月ほど拗ねるのだが。
「『聖女』の治癒の魔術を連想させるなら、ってこと? でもそれで助かった人を養う余裕が物理的に無いのよね」
「良いじゃないですか。侯爵家を通じて王家に献上しましょう。あの王太子あたりが食いつきますよ」
「いや、ますますダメじゃないのそれ……」
きっと何も考えず、『聖女』の思し召しと言って貧民たちに使うに違いない。
それだけに留まらず、舞踏会でティアーヌが使って見せた治癒の魔術も、この薬のお陰だとうそぶくかもしれない。
「そうなったら最悪内乱よ?」
一時の間命を繋いだだけの貧者が食料を求めて暴動を起こすかもしれない。
または今度こそ王家と侯爵家で争いを起こすかもしれない。
『聖女』の遺産を奉じてまでそんな泥を撥ねられたら、父である侯爵もさすがに引けないだろう。
ティアーヌはそう言って窘めるが、カリョーが返したのは満面の笑顔だった。
「素晴らしい! それなら今度こそ遠慮しなくて良いですよね?」
「え……?」
「暴動だったらざまぁ見ろ。喧嘩を売ったら殴り返せます。ボクも参戦しますがよろしいですよね、ね?」
ちっとも笑ってない笑顔で、カリョーはそんなことを言った。
天上の安らぎを齎す声を出す口も、今は怒りの気炎を吐き出している。
ちゃんとこの子もバケモノなんだな、とティアーヌは現実逃避をしながら首を振った。
「やめてよ。成り行きでも200年前に必死で立て直した国なんだからさ」
さすがに無意味に人死にが出るのはティアーヌも避けたかった。
自業自得のヴァレールはまだしも、巻き込まれる民たちは堪ったものではないだろう。
「ええー!」
「今の私だってこの国の貴族の一人なんだし」
「やだやだやだぁ! 王子燃やしたいよー! 燃やす前に水掛けて、苦しむ時間増やしてやるんだい!」
「なんて物騒な……」
そうしてカリョーが駄々を捏ねること数分。
ティアーヌはげんなり疲れると共に、すぐにここに来たことを安堵した。
(こりゃ爆発寸前だったなあ……)
もしカリョーを放っておいたら、王都まで堂々ヴァレールを討ちに行っていただろう。
その後の苦労を考えれば、今この場で爆弾の火消しをする方がはるかに容易い。
「若い時は誰だって間違いはあるでしょ。この程度で騒がないの」
もう終わった話なんだから。
そう言って窘めていると、カリョーは不意にティアーヌの胸元から顔を上げた。
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