単純に婚約破棄したかっただけなのに、生まれた時から外堀埋められてたって話する?

甘寧

文字の大きさ
5 / 16

第5話

しおりを挟む
おば様はズカズカと入って来て、おじ様の胸ぐらを掴んだ。

「おい!!アリアちゃんが難癖つられたらしぃな!?どないなっとんねん!!」
「──あ、あれ?なんで、リーナがここにいるんだい?」

おじ様はまさかの人物の登場に狼狽えていた。

「そないな事はどぉでもええねん!!己ら騎士団は何しとんねんって聞いとるんや!!」

あぁ~……この有無を言わせない感じ、この人は確かにヴェルナーのお母様だわと実感出来た。

でも確かに、何故この人がここにいるんだろう。と不思議に思いお母様の方を見ると、視線に気づいたお母様がニヤッと含みのある笑顔を向けてきた。

その瞬間「あ、この人だ」と直感した。
お父様も気づいたようで溜息を吐いていた。

「……エレン。君かい?カタリーナに密告したのは……?」
「あら、あなた。人聞きが悪いですわよ?ウチの可愛いアリアちゃんが醜聞の目で見られたのですよ?それ相応の覚悟をしてもらわないと……」

お母様、怖い怖い怖い!!!
顔は笑ってるのに目がまったく笑ってない!!人一人ぐらい殺せそうなんだけど!?

「そうやで、ウチに嫁いで来る可愛いお嫁はんになんちゅーことしてくれてんねん。舐め腐りおって。──ごめんなぁうちの教育が足りんひんかったばっかりにアリアちゃんに辛い思いさせてもうたなぁ」

おば様に抱きつかれ、私はその豊満な胸に顔を埋める形となった。
その姿を見たおじ様が「アリアいいなぁ。リーナ、私も……」何て聞こえたが、すぐに「黙れカス!!」と言う言葉が聞こえてきた。

……不憫なおじ様……

「──で?犯人の目星は付いてるんやろうな?」
「それが手がかりが張り紙だけで、目撃者もいない。お手上げ状態なんだよ」
「くっそ役に立たんなぁ~」
「そう言うな……そこで、アリアに心当たりがないか聞きに来た所なんだよ」
「私!?」

おば様の胸の中から驚いて顔を出した。
この場にいるみんなの視線が一気に私に集まった。

「どうだいアリア?正直に話してくれるかい?」
「そうやで。庇う必要は無いねんよ?」
「小さな事でもいいんだよ?」
「アリアちゃん。お母様に話してごらんなさい」

4人に責められ「えっと……」と冷や汗をかきながらタジタジになる。
そもそも心当たりがあり過ぎて困ってるんだけど……とは言えない。

何も言えずに困っていると、ドアがノックされる音が聞こえた。

「──失礼しま……げっ!!」
「おやおやおや、ようやっとお出ましやのぉ~……こんっのボンクラ息子が!!!!!」

入って来たのは今回の事件の根源でもあるヴェルナーその人だった。
ヴェルナーは執務室に一歩足を踏み入れる瞬間、おば様の顔を確認して蛙を潰したような声を出して逃げようとしたが、逃げる間もなくおば様に捕まりあっという間に羽交い締めにされた。

「ちょっ!!なんで、オカンがおんねん!!」
「オカンちゃうわ!!やろが!!このボケ!!」

羽交い締めにしながらヴェルナーの頭をグリグリしている。
ヴェルナーが「いたたたっ!!痛いっちゅーねん!!」って文句を言っているがおば様は執拗に頭を攻撃している。

「リーナ、その辺にしなさい。話が進まない」
「──っち!!」

さすがにおじ様が止めに入った。
おば様は納得できないようで舌打ちをしていたが、ようやく開放されたヴェルナーは頭を撫でながらしゃがみ込んだ。

「──で?ヴェルナー。そちらの収穫は?」
「まったく駄目や。相手は用意周到やね」

お手上げと言わんとばかりに両手を上げておじ様に報告していた。

「元はと言えば己が悪いんやろうが!!アリアちゃんと言う可愛い婚約者がおりながら女はべらかしおって!!」

おば様がゴンッと一発ヴェルナーの頭を殴りつけた。

「いったいなぁ~……そんなん言うたってしゃーないやろ!?あっちから寄ってくるんや!!」
「なに開き直ってんねん!!このボケ!!ほんに親が親なら子も子やな!!」

おば様とヴェルナーの攻防をポカンと見ている私に少し昔の話をしてくれた。

「このアホの父親も若い頃は女をはべらかしとってな。うちはそないな男、はなからごめんやから逃げるようにこの国出たんよ。それなのにこの男は何処までもついて来おってな。しかも行く先々で女をたらしこみおって」

「はぁぁ~……」と昔を思い出しながら盛大な溜息を吐いた。

「うちもな、アリアちゃんみたいに目の敵にされてしょっちゅう嫌がらせ受けたんよ。中にはうちに襲いかかるよに仕向けた奴もいるぐらいや」

その言葉にサァと血の気が引いた。
もしかしたら私もそんな事があるかもしれないと思ったからだ。

「まっ、そんな奴は使いもんにならんよぉにしてやったわ」

「あはははは」って豪快に笑うおば様を見て、お父様とおじ様は顔を青ざめ、お母様は「あらあら」と微笑んでいた。
流石に私はそこまでは出来ない……

「でもな、最終的にはこの人に守られたんよ」

おば様は優しくおじ様の方を見て微笑んだ。
その顔は何とも優しい顔をしていた。

「まぁ、借りを作りたくないってのもあって、渋々結婚したんよ。渋々やで!!」

おば様は頬を赤らめながら言っていた。
そんなおば様の肩をおじ様が優しく抱き寄せ、見つめ合う姿はとても素敵な夫婦だった。
おば様の顔は嫌そうにしているが、おじ様の手を振りほどこうとうはしない。
いつもは勝気なおば様の意外な一面が見れて嬉しくて、とても可愛らしかった。

「まあ、これで終わりとは言いきれんからな。アリアには護衛を付けることにした」
「え!?」
「入れ」

おじ様の言葉で執務室のドアが開き一人の騎士が入って来た。

「失礼します。……アリア、久しぶりです」

それは、ヴェルナーの弟でもあるリュディガーだった。


しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ旦那さまに溺愛されてるけど思い出せない

斧名田マニマニ
恋愛
待って待って、どういうこと。 襲い掛かってきた超絶美形が、これから僕たち新婚初夜だよとかいうけれど、全く覚えてない……! この人本当に旦那さま? って疑ってたら、なんか病みはじめちゃった……!

【完結】離婚を切り出したら私に不干渉だったはずの夫が激甘に豹変しました

雨宮羽那
恋愛
 結婚して5年。リディアは悩んでいた。  夫のレナードが仕事で忙しく、夫婦らしいことが何一つないことに。  ある日「私、離婚しようと思うの」と義妹に相談すると、とある薬を渡される。  どうやらそれは、『ちょーっとだけ本音がでちゃう薬』のよう。  そうしてやってきた離婚の話を告げる場で、リディアはつい好奇心に負けて、夫へ薬を飲ませてしまう。  すると、あら不思議。  いつもは浮ついた言葉なんて口にしない夫が、とんでもなく甘い言葉を口にしはじめたのだ。 「どうか離婚だなんて言わないでください。私のスイートハニーは君だけなんです」 (誰ですかあなた) ◇◇◇◇ ※全3話。 ※コメディ重視のお話です。深く考えちゃダメです!少しでも笑っていただけますと幸いです(*_ _))*゜

じゃない方の私が何故かヤンデレ騎士団長に囚われたのですが

カレイ
恋愛
 天使な妹。それに纏わりつく金魚のフンがこの私。  両親も妹にしか関心がなく兄からも無視される毎日だけれど、私は別に自分を慕ってくれる妹がいればそれで良かった。  でもある時、私に嫉妬する兄や婚約者に嵌められて、婚約破棄された上、実家を追い出されてしまう。しかしそのことを聞きつけた騎士団長が何故か私の前に現れた。 「ずっと好きでした、もう我慢しません!あぁ、貴方の匂いだけで私は……」  そうして、何故か最強騎士団長に囚われました。

前世で私を嫌っていた番の彼が何故か迫って来ます!

ハルン
恋愛
私には前世の記憶がある。 前世では犬の獣人だった私。 私の番は幼馴染の人間だった。自身の番が愛おしくて仕方なかった。しかし、人間の彼には獣人の番への感情が理解出来ず嫌われていた。それでも諦めずに彼に好きだと告げる日々。 そんな時、とある出来事で命を落とした私。 彼に会えなくなるのは悲しいがこれでもう彼に迷惑をかけなくて済む…。そう思いながら私の人生は幕を閉じた……筈だった。

恋心を封印したら、なぜか幼馴染みがヤンデレになりました?

夕立悠理
恋愛
 ずっと、幼馴染みのマカリのことが好きだったヴィオラ。  けれど、マカリはちっとも振り向いてくれない。  このまま勝手に好きで居続けるのも迷惑だろうと、ヴィオラは育った町をでる。  なんとか、王都での仕事も見つけ、新しい生活は順風満帆──かと思いきや。  なんと、王都だけは死んでもいかないといっていたマカリが、ヴィオラを追ってきて……。

毒味役の私がうっかり皇帝陛下の『呪い』を解いてしまった結果、異常な執着(物理)で迫られています

白桃
恋愛
「触れるな」――それが冷酷と噂される皇帝レオルの絶対の掟。 呪いにより誰にも触れられない孤独な彼に仕える毒味役のアリアは、ある日うっかりその呪いを解いてしまう。 初めて人の温もりを知った皇帝は、アリアに異常な執着を見せ始める。 「私のそばから離れるな」――物理的な距離感ゼロの溺愛(?)に戸惑うアリア。しかし、孤独な皇帝の心に触れるうち、二人の関係は思わぬ方向へ…? 呪いが繋いだ、凸凹主従(?)ラブファンタジー!

冗談のつもりでいたら本気だったらしい

下菊みこと
恋愛
やばいタイプのヤンデレに捕まってしまったお話。 めちゃくちゃご都合主義のSS。 小説家になろう様でも投稿しています。

愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。 そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。 相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。 トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。 あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。 ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。 そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが… 追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。 今更ですが、閲覧の際はご注意ください。

処理中です...