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侍女兼便利屋
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私は今、足を負傷してしまい、侍女の仕事と便利屋をお休みしている状態です。
働かなければお給金が頂けません。お給金がなければ借金が減りません。借金が減らなければ、私の老後が危ぶまれます。
──こうしては居られません。何か、仕事を頂きましょう。
足をズリながら、侍女頭のテレザ様の所へ行こうと、廊下をゆっくり歩いて行きます。
足が使えないというのは、本当に不便ですね。
「……マリー?……貴方、何処に行こうとしているの?」
丁度良くテレザ様に遭遇致しました。
今日の私はツイていますね。
「テレザ様、何か仕事を頂きたいのですが?」
「……貴方、足を怪我しているのよ?仕事が出来ると思っているの?」
呆れたようにテレザ様が仰いますが、此方としても死活問題なんです。
「……貴方は城にいると休まりそうにないから、一旦ご両親の元にお戻りなさい」
なんと!?仕事を頂けないどころか、クビ勧告ですか!?
それは困ります!!
「そんな顔しないの。足が治るまでと言ったでしょ?……貴方をクビにしたら殿下に何を言われるか……」
何を仰っているのでしょうか?
何故私のクビに殿下が出てくるのでしょう?
「両親の元に帰るのはちょっと……。部屋から出ないので、城にいてはいけませんか?」
「ダメよ!!そう言っても貴方は絶対部屋から出るわ!!侍女頭命令よ、ご両親の元にお帰りなさい!!」
私は信用されてませんね。
こうして、私はしばし両親の元へと帰ることになりました。
◇◇◇
「──ただいま戻りました」
「マリアンネ!!待っていたぞ!!」
「まあ、マリー。この間見た時より綺麗になったわね」
町外れの小さな一軒家。これが今の実家です。
そして、目の前のガチムチ野郎が私の父ルドルフ・オスヴェルダです。
その隣でにこやかにイノシシの首を落としているのが私の母クレア・オスヴェルダです。
「……母様も相変わらず、獣を捌くのが上手いですね」
「あら、ヤダ!!マリー、私達はもう貴族じゃないのよ?ママって呼んでちょうだい」
「そうだぞ!!俺の事はパパと呼ぶように!!」
──ああ、面倒臭い親ですね。これだから帰りたくなかったんです。
「……それより、私の荷物は何処に置いておけばいいんでしょう?」
下手に反論するより、無視を貫きどうした方がいいんです。
いつものように、話を逸らせます。
「ああ、マリーの部屋を作っておいたぞ」
父様が満面の笑みで、荷物を持ってくれ部屋まで案内してくれました。
早速部屋を開けると……
──何と言うことでしょう。
「どうだ!?素晴らしい部屋だろ?」
「……………」
あまりの内装に言葉を失いました。
壁には大きな鹿の頭が飾ってあり、反対側の壁には剣や銃、装備類。
部屋の隅には大きなハンマーが二本飾られており、その横には熊の剥製が……。
そして、その内装に不釣り合いの可愛らしいレースをあしらったベッドが置いてありました。
──これは、何処から物申せばいいのでしょうか……
「あなた、マリーの様子はどう?」
「ああ、素晴らし過ぎて言葉が出ないようだぞ」
いえ、情報量が多すぎて戸惑っているだけです。
……それ以前に、この装備類はどうやって手に入れたんです?
「……すみません。この装備類はどうしました?確か、屋敷にあったものは殆ど差し押さえられたはずですですが?」
すると、父様と母様がモジモジ落ち着きを無くし始めました。
これは、もしかして……
「……父様、正直に仰ってください。今ならまだ、顔面に一発で許してあげます」
「ええ!?マリアンネ、パパに拳をあげるのかい!?そんな子に育てた覚えは無いぞ!!」
「そ、そうよマリー!!顔は目立つから溝落ちにしてちょうだい!!」
「ママ!?」
仕方ありません。顔はやめて溝落ちにしましょう。
「い、いやな。ここは町外れで物騒だろう?マリアンネは女の子だからな、もし強姦が侵入しても大丈夫な様にだな……」
「ならほど。理由は分かりましたが、買う為のお金はどうしました?」
さらに、父様と母様が落ち着きをなくしております。
「あ、あのね、これは必要経費だったのよ。仕方なかったの!!」
「そ、そうだぞ!!子供を思えば借金の一つや二つ──あっ……」
そうですか、また借金を増やしてくれたんですね。
……まったく、私がどんな思いで仕事をしてると思っているんですか?
「ちょ、ちょっと待てマリアンネ!!話せば分かる!!」
ジリジリと父様に距離を詰め、溝落ち目掛けて拳を打ち込みました。
「う゛っ!!!……マリアンネ、確実に溝落ちを狙う、その拳……素晴らしい……」
父様はそのまま床に倒れ込みました。
──本当に勘弁してください。
父様、母様購入品……剣、銃、装備品の数々約200万ピール
借金返済まで残り5億8千180万7100ピール
働かなければお給金が頂けません。お給金がなければ借金が減りません。借金が減らなければ、私の老後が危ぶまれます。
──こうしては居られません。何か、仕事を頂きましょう。
足をズリながら、侍女頭のテレザ様の所へ行こうと、廊下をゆっくり歩いて行きます。
足が使えないというのは、本当に不便ですね。
「……マリー?……貴方、何処に行こうとしているの?」
丁度良くテレザ様に遭遇致しました。
今日の私はツイていますね。
「テレザ様、何か仕事を頂きたいのですが?」
「……貴方、足を怪我しているのよ?仕事が出来ると思っているの?」
呆れたようにテレザ様が仰いますが、此方としても死活問題なんです。
「……貴方は城にいると休まりそうにないから、一旦ご両親の元にお戻りなさい」
なんと!?仕事を頂けないどころか、クビ勧告ですか!?
それは困ります!!
「そんな顔しないの。足が治るまでと言ったでしょ?……貴方をクビにしたら殿下に何を言われるか……」
何を仰っているのでしょうか?
何故私のクビに殿下が出てくるのでしょう?
「両親の元に帰るのはちょっと……。部屋から出ないので、城にいてはいけませんか?」
「ダメよ!!そう言っても貴方は絶対部屋から出るわ!!侍女頭命令よ、ご両親の元にお帰りなさい!!」
私は信用されてませんね。
こうして、私はしばし両親の元へと帰ることになりました。
◇◇◇
「──ただいま戻りました」
「マリアンネ!!待っていたぞ!!」
「まあ、マリー。この間見た時より綺麗になったわね」
町外れの小さな一軒家。これが今の実家です。
そして、目の前のガチムチ野郎が私の父ルドルフ・オスヴェルダです。
その隣でにこやかにイノシシの首を落としているのが私の母クレア・オスヴェルダです。
「……母様も相変わらず、獣を捌くのが上手いですね」
「あら、ヤダ!!マリー、私達はもう貴族じゃないのよ?ママって呼んでちょうだい」
「そうだぞ!!俺の事はパパと呼ぶように!!」
──ああ、面倒臭い親ですね。これだから帰りたくなかったんです。
「……それより、私の荷物は何処に置いておけばいいんでしょう?」
下手に反論するより、無視を貫きどうした方がいいんです。
いつものように、話を逸らせます。
「ああ、マリーの部屋を作っておいたぞ」
父様が満面の笑みで、荷物を持ってくれ部屋まで案内してくれました。
早速部屋を開けると……
──何と言うことでしょう。
「どうだ!?素晴らしい部屋だろ?」
「……………」
あまりの内装に言葉を失いました。
壁には大きな鹿の頭が飾ってあり、反対側の壁には剣や銃、装備類。
部屋の隅には大きなハンマーが二本飾られており、その横には熊の剥製が……。
そして、その内装に不釣り合いの可愛らしいレースをあしらったベッドが置いてありました。
──これは、何処から物申せばいいのでしょうか……
「あなた、マリーの様子はどう?」
「ああ、素晴らし過ぎて言葉が出ないようだぞ」
いえ、情報量が多すぎて戸惑っているだけです。
……それ以前に、この装備類はどうやって手に入れたんです?
「……すみません。この装備類はどうしました?確か、屋敷にあったものは殆ど差し押さえられたはずですですが?」
すると、父様と母様がモジモジ落ち着きを無くし始めました。
これは、もしかして……
「……父様、正直に仰ってください。今ならまだ、顔面に一発で許してあげます」
「ええ!?マリアンネ、パパに拳をあげるのかい!?そんな子に育てた覚えは無いぞ!!」
「そ、そうよマリー!!顔は目立つから溝落ちにしてちょうだい!!」
「ママ!?」
仕方ありません。顔はやめて溝落ちにしましょう。
「い、いやな。ここは町外れで物騒だろう?マリアンネは女の子だからな、もし強姦が侵入しても大丈夫な様にだな……」
「ならほど。理由は分かりましたが、買う為のお金はどうしました?」
さらに、父様と母様が落ち着きをなくしております。
「あ、あのね、これは必要経費だったのよ。仕方なかったの!!」
「そ、そうだぞ!!子供を思えば借金の一つや二つ──あっ……」
そうですか、また借金を増やしてくれたんですね。
……まったく、私がどんな思いで仕事をしてると思っているんですか?
「ちょ、ちょっと待てマリアンネ!!話せば分かる!!」
ジリジリと父様に距離を詰め、溝落ち目掛けて拳を打ち込みました。
「う゛っ!!!……マリアンネ、確実に溝落ちを狙う、その拳……素晴らしい……」
父様はそのまま床に倒れ込みました。
──本当に勘弁してください。
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