異世界から本物の聖女が来たからと、追い出された聖女は自由に生きたい! (完結)

深月カナメ

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二十三

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村の前まで来たロンはそう言って、スラの手を繋ぎ、何処かに行ってしまった。

「ブラン、ヒーラギちゃん、スラとその辺を散歩してくる」
「ニュ、ニュ」

「ロンさん、いってらっしゃい」
「気を付けて」

残ったブランと私。

「ヒーラギ、行こうか」
「うん」

少し歩いて村の離れの平家建ての前で足を止めた。
木造平屋建ての家の外には、何かの干し肉と野菜、薬草がぶら下がっていた。  

「ブラン、もしかして、これって魔物のお肉?」
「そうだよ、それはウルスの肉で、干した方が旨味が凝縮して美味いんだ」

「じゃ、あのお野菜は?」

「あれは大根だ」
「大根?」

緑色の葉っぱがついていて、真っ白く太くて長い野菜。

「知らないのか? 大根て、人間の国で食べられているだろう?」

「……え、私は見たことも、食べたことがないわ」

「じゃ、後で大根のスープを作るよ」
「ほんと、私もお手伝いする……ブラン、アレは?」

初め見るものが多くて、ブランの袖を掴んで。
コレは? アレは? と散々ブランに聞いて回った。

「ヒーラギ、終わった?」

「ええ、初めての物ばかりで面白い。ブランのウチの中にも、面白い物がたくさんありそう」

「おい、期待するなよ。何にもないから」
「わかった、ブラン扉をあけて」

「どうぞ、ヒーラギ」

と、玄関を開けてくれた。

ブランの家の中はいたってシンプルで、小さなキッチンとベッド、窓側に一人掛けの椅子と本の山。

後はお風呂とトイレ、調合器具と本などが散らばった部屋が奥にあった。洗濯物は窓にかかったまま、服は脱ぎっぱなしで薬草はでっぱし。男の人の部屋はこんな感じなんだ。

――匂いも、どことなく薬草の匂いがする。

「ヒーラギ、あんまりジロジロ見るな、匂いを嗅ぐな」

「え、ダメだった? あ、このアンヘル草とコッチ薬草はポーションの材料ね……このアンヘル草、すごくコンディションがいいわ」

乾燥の仕方が上手いわ。これなら上級、ううん最上級のポーションが出来る、こっちの紫色の薬草はなに? 見たことがないキノコと木の実があるわ。

「ブラン、これらも薬になるの?」
「ああ、紫の草はダート草と言って腹痛の塗り薬になる、このマダラキノコとアークの木の実は風邪薬だな。ヒーラギは薬草に興味あるのか?」

コクンと頷いた。

「私も現地でアンヘル草と薬草を採取して、ポーションを作っていたから……これでも薬草の勉強はしたんだからね……自分でたけど」

「そうか……でも凄いな、その場で薬草を採取してポーションを作っていたのか。さすがヒーラギだな」

ポンと頭の上にブランの手が乗り、優しく撫でてくれた。……撫でられるのって気持ちいい、初めて褒めてもらった。

それにブランの手は大きくて温かくて、心がほんわかする。

「ブラン、ありがとう……嬉しい」
「うわぁ、ヒーラギ?」

泣き顔を見せたくなくて、そばのブランに抱きついた。それは大間違いだったらしくて、……ブンブン、ブンブン、ブランのモフモフな尻尾が激しく揺れた。

「は、離れろヒーラギ……俺は忠告しただろう、我慢していると……」

「ブラン、どうしたの?」

涙目、上目遣いで、とどめの一発を繰り出したのか、いきなりブランに唇を奪われた。
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