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#22 皇帝誕生祭
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皇帝誕生祭の初日、皇女は体調不良で欠席した。数多くいる皇族の中で欠席したのは彼女だけだった。
それについては色々と噂が飛び交っていて、勉学に励んで本当に体調を崩しているだの、俺が誕生祭に出席するから休んだだの、一番有力なのがヒロイン(男)にエスコートを断られたから体裁を保てなくなって休んだ、だった。
ケイシー曰く「アルフレッド様をお誘いしたのは本当ですよ」とのこと。どうやらヒロイン(男)は誕生祭のエスコートをするよう頼まれたときに、なぜ自分なのか、自分が顔を出せば俺の顔に泥を塗ることになること、最終的には皇女の評価が落ちてしまう、と、理論的にお断りしたらしい。ここまで言われても彼女はなお問題ないと食い下がったようだったが、ヒロイン(男)が首を縦に振ることはなかった。
皇女相手によくもまあそこまで言えたな、と思いつつも、俺のことまで考えてくれてたのは少し嬉しい。体のいい言い訳かもしれないが、まあ、アイツはそんなことに俺を利用しないだろうな、と思えるぐらいには信頼関係が築けていた。
悔しいことだがケイシーの言う通り、ヒロイン(男)と仲良くしておいて損はない。余計な勘繰りをしなくていいのは貴族社会においてメリットだ。
まあ、そんなこんなで、ヒロイン(男)との約束の日。俺は朝から庶民風のスタイルだが、どこか良いところの坊ちゃん感の抜けない格好をさせられていた。
「旦那様にはいろいろぼかして話をしておりますので、明日の朝まで帰らなくても大丈夫ですよ」
「夜には帰る」
そんな不良学生でもあるまいし、わざわざオールで遊ぶなんてこと貴族令息としてできない。どこか残念そうな顔をするケイシーだが、俺が帰ってきてほしくないんだろうか。一日世話をしなくていい、と思うと、残念がる気持ちは分からなくもない。
「市場の前まで馬車でお送りいたします。分かっていると思いますが、あまり遠出はなさらないようにお願いしますよ」
「分かっている。どうせすぐ帰る」
「どうでしょうねえ」
にやにやと笑うケイシーの目論見はよく分からず、俺は首を傾げながら馬車に乗り込んだ。皇都の中央へ行くのは、ヒロイン(男)を見に行った日以来だ。
入り口で馬車から降りて待ち合わせ場所の公園へと向かう。入口からだったらヒロイン(男)の家のほうが近いのだが、市場の中心にある彼の家はとても目立つようで家から出れなくなる可能性があるから、公園で、とのことだった。
国立学校では皇女のこともあって彼に近づく生徒は少なかったけれど、騎士学校や家の付近では友人も多いらしい。国立学校への転入なんてことがなければ、成績も優秀なのだしエリート街道まっしぐらだっただろう。学園長も彼ならもっと高みを目指せると思っての推薦だったが、それが見事に裏目に出た。
誰も皇女が彼に惹かれるなんて想像もしていなかったはずだ。
誕生祭で騒がしい市場の中心部を通り過ぎて皇都でも一番大きい公園に到着した。このくそ寒い中、予想以上に人が出歩いている。そのほとんどはカップルだが。親子連れもちょろっといるけれど、圧倒的にカップル。同性同士が遊んでいる様子はほとんどなかった。
どうしてこんなところを待ち合わせ場所にしたのか。ゴンと教会から鐘の音が聞こえる。約束の時間を過ぎても、ヒロイン(男)はやってこなかった。
俺をこんなところで一人にするんじゃない。
それについては色々と噂が飛び交っていて、勉学に励んで本当に体調を崩しているだの、俺が誕生祭に出席するから休んだだの、一番有力なのがヒロイン(男)にエスコートを断られたから体裁を保てなくなって休んだ、だった。
ケイシー曰く「アルフレッド様をお誘いしたのは本当ですよ」とのこと。どうやらヒロイン(男)は誕生祭のエスコートをするよう頼まれたときに、なぜ自分なのか、自分が顔を出せば俺の顔に泥を塗ることになること、最終的には皇女の評価が落ちてしまう、と、理論的にお断りしたらしい。ここまで言われても彼女はなお問題ないと食い下がったようだったが、ヒロイン(男)が首を縦に振ることはなかった。
皇女相手によくもまあそこまで言えたな、と思いつつも、俺のことまで考えてくれてたのは少し嬉しい。体のいい言い訳かもしれないが、まあ、アイツはそんなことに俺を利用しないだろうな、と思えるぐらいには信頼関係が築けていた。
悔しいことだがケイシーの言う通り、ヒロイン(男)と仲良くしておいて損はない。余計な勘繰りをしなくていいのは貴族社会においてメリットだ。
まあ、そんなこんなで、ヒロイン(男)との約束の日。俺は朝から庶民風のスタイルだが、どこか良いところの坊ちゃん感の抜けない格好をさせられていた。
「旦那様にはいろいろぼかして話をしておりますので、明日の朝まで帰らなくても大丈夫ですよ」
「夜には帰る」
そんな不良学生でもあるまいし、わざわざオールで遊ぶなんてこと貴族令息としてできない。どこか残念そうな顔をするケイシーだが、俺が帰ってきてほしくないんだろうか。一日世話をしなくていい、と思うと、残念がる気持ちは分からなくもない。
「市場の前まで馬車でお送りいたします。分かっていると思いますが、あまり遠出はなさらないようにお願いしますよ」
「分かっている。どうせすぐ帰る」
「どうでしょうねえ」
にやにやと笑うケイシーの目論見はよく分からず、俺は首を傾げながら馬車に乗り込んだ。皇都の中央へ行くのは、ヒロイン(男)を見に行った日以来だ。
入り口で馬車から降りて待ち合わせ場所の公園へと向かう。入口からだったらヒロイン(男)の家のほうが近いのだが、市場の中心にある彼の家はとても目立つようで家から出れなくなる可能性があるから、公園で、とのことだった。
国立学校では皇女のこともあって彼に近づく生徒は少なかったけれど、騎士学校や家の付近では友人も多いらしい。国立学校への転入なんてことがなければ、成績も優秀なのだしエリート街道まっしぐらだっただろう。学園長も彼ならもっと高みを目指せると思っての推薦だったが、それが見事に裏目に出た。
誰も皇女が彼に惹かれるなんて想像もしていなかったはずだ。
誕生祭で騒がしい市場の中心部を通り過ぎて皇都でも一番大きい公園に到着した。このくそ寒い中、予想以上に人が出歩いている。そのほとんどはカップルだが。親子連れもちょろっといるけれど、圧倒的にカップル。同性同士が遊んでいる様子はほとんどなかった。
どうしてこんなところを待ち合わせ場所にしたのか。ゴンと教会から鐘の音が聞こえる。約束の時間を過ぎても、ヒロイン(男)はやってこなかった。
俺をこんなところで一人にするんじゃない。
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