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#32 前夜(R18)
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三度目の口づけはこれまでと違い、ただ触れ合うだけではなかった。唇の間から舌を差し込まれて中に入ってくる。舌先が触れ合うと気持ちよくて力が抜けそうになり、アルフレッドの服を掴んだ。
「……は、あ」
息づぎの合間に声が漏れてしまう。背中を支えている手にぐっと引き寄せられ体が密着する。どこもかしこもくっ付いているような状態に少し恥ずかしくなってくる。どれほどキスをしていたのか分からなくなるほど長い時間、唇を合わせていた。
夜はまだ長い。
「上、行きますか?」
この問いが何を意味しているのか分からないほど、俺は初心ではない。
「……うん」
こいつになら何をされてもいい、と思った。
手を引かれて階段を上がっていく。さすがに二階は荒らされていなかった。二階には部屋が二つあって、そのうちの一つに入って行った。もう一つは母親の部屋なのだろう。中は綺麗に片づけられていて物もあまり多くない。
ベッドに腰かけてアルフレッドを見上げると赤い月明りに照らされた彼はいつものように微笑んでいて、こんな状況なのに笑っていられる強さに胸が締め付けられる。
「いつから行くんだ?」
「明日からです」
父さんが帰ってきた状況とかを考えると明日なのは頷けた。父さんも今できることを全て終えたからようやく帰ってこれたのだ。ケイシーから話を聞かされてすぐにここへ来なければ、アルフレッドに会うことはできなかった。
明日には死にに山を登らなければならないと言うのに、こんな暗く荒らされた部屋に一人きりは心細かっただろう。何もできない自分が悔しくて、情けなかった。
行かないでほしい。もういっそ、このまま二人でどこかに逃げてしまってもいい。
けれどアルフレッドは決してそんな楽な道を選んではくれない。誰かを犠牲にしなければ得られない幸せなど、幸せとは言わない。
だから口が裂けても一緒に逃げようなんて、俺が言ってはいけなかった。
「……ヴィンセント様」
どうしようもないこの感情が表情に出てしまっていたのか、アルフレッドが笑いながら俺の頬を撫でる。
「ヴィンスでいい。俺もお前のこと、アルって呼ぶから」
「いいんですか?」
「いいよ。言葉遣いだって畏まらなくていい」
こうして話していたら余計なことまで言ってしまいそうになる。次は俺からアルフレッドを抱きしめて唇を重ねた。
舌を絡ませながらベッドに押し倒される。服の中に手が入ってきて胸を撫でられるとこいつも男なんだな、なんて今更なことを考えてしまう。すっと手と唇が離れて目を開けると、俺の上に乗っているアルフレッドは体を起こして服を脱いだ。
しっかりと鍛えられた逞しい体。着やせするタイプなのか予想以上に筋肉がついている。これまで俺は女の子しか好きになったことがなかったのに、この体を見て興奮してしまうなんて想定外だった。目に毒だ。
「ヴィンス」
早速、愛称で呼ばれて顔を上げる。
「その、これから何をするか……」
「ちょ、ちょっと待て。さすがに俺だってあの質問がどういう意味なのかは分かって答えている。恥ずかしいから改まって聞かないでくれ」
何も分からずに答えているわけではない。恥ずかしくなって目を逸らすと「そ、そっか」とアルフレッドも呟くように答えた。顔が熱い。薄暗くて助かった。
こんなこと勢いで進めてしまっていいのだ。そちらのほうが俺も助かる。体を起こしてシャツのボタンを外す。意識したらだんだん恥ずかしくなってきて手が震えて上手く動かせない。それにアルフレッドもジッと俺の方を見ているから余計だ。
ようやく全てのボタンが外し終わってアルフレッドと向き合う。仕切り直すように再び唇を重ねた。
ちゅ、ちゅ、と軽く唇を合わせると、アルフレッドの唇は顎から喉へと移動していく。くすぐったいのか気持ちいいのか分からない。体を捩らせるとズボンを圧迫するそれがアルフレッドの太ももに当たった。
「興奮してくれてるんだ?」
そう言ってアルフレッドの手がそこに触れる。
「嬉しい」
ぐに、と揉みしだかれると腰から頭へ電撃が走る。
「んんっ……!」
じわりと先端から何かがしみ出して下着を濡らす。甘い声が漏れ出てきたので手の甲で口元を押さえる。俺の反応を見たアルフレッドがズボンと下着を一緒にずらすと、血が巡ったそれは勢いよく飛び出してきた。
「俺のも、触ってほしいんだけど、いいかな……?」
恥ずかしそうにそう尋ねてきたアルフレッドに俺は頷いて体を起こす。アルフレッドが全てを脱いだので、俺も合わせるようにズボンと下着を脱ぎ捨てる。全裸で向き合うのは恥ずかしすぎて視線のやり場がない。そっと頬に手を添えられ、反射的に俺が顔を上げるとキスされる。緊張を解すように頬から耳へと指が移動し、耳たぶを撫でられた。
強張った体の力が抜けると、アルフレッドの手が俺の股間に触れる。触ってほしいと言われていたのを思い出し、俺も恐る恐る手を伸ばす。硬く熱いそれは俺で興奮しているのがよく分かって嬉しいのか恥ずかしいのか複雑な気分だ。
舌を絡ませていると手の動きが早くなる。俺も同じように動かしてみるが、自分の方にも意識が向いてしまい疎かになってしまう。
「っ、ぁあ……、んん、ある……、っ」
「イきそ?」
「ん、で、そっ……」
俺が達しそうなのは動かしているアルフレッドもよく分かるのか、手の動きが早くなる。
「は、ぁ……、もうっ……!」
目の前が真っ白になって、体が硬直する。びくびくと震えながら白濁を吐き出し、アルフレッドの手を汚した。
「……は、あ」
息づぎの合間に声が漏れてしまう。背中を支えている手にぐっと引き寄せられ体が密着する。どこもかしこもくっ付いているような状態に少し恥ずかしくなってくる。どれほどキスをしていたのか分からなくなるほど長い時間、唇を合わせていた。
夜はまだ長い。
「上、行きますか?」
この問いが何を意味しているのか分からないほど、俺は初心ではない。
「……うん」
こいつになら何をされてもいい、と思った。
手を引かれて階段を上がっていく。さすがに二階は荒らされていなかった。二階には部屋が二つあって、そのうちの一つに入って行った。もう一つは母親の部屋なのだろう。中は綺麗に片づけられていて物もあまり多くない。
ベッドに腰かけてアルフレッドを見上げると赤い月明りに照らされた彼はいつものように微笑んでいて、こんな状況なのに笑っていられる強さに胸が締め付けられる。
「いつから行くんだ?」
「明日からです」
父さんが帰ってきた状況とかを考えると明日なのは頷けた。父さんも今できることを全て終えたからようやく帰ってこれたのだ。ケイシーから話を聞かされてすぐにここへ来なければ、アルフレッドに会うことはできなかった。
明日には死にに山を登らなければならないと言うのに、こんな暗く荒らされた部屋に一人きりは心細かっただろう。何もできない自分が悔しくて、情けなかった。
行かないでほしい。もういっそ、このまま二人でどこかに逃げてしまってもいい。
けれどアルフレッドは決してそんな楽な道を選んではくれない。誰かを犠牲にしなければ得られない幸せなど、幸せとは言わない。
だから口が裂けても一緒に逃げようなんて、俺が言ってはいけなかった。
「……ヴィンセント様」
どうしようもないこの感情が表情に出てしまっていたのか、アルフレッドが笑いながら俺の頬を撫でる。
「ヴィンスでいい。俺もお前のこと、アルって呼ぶから」
「いいんですか?」
「いいよ。言葉遣いだって畏まらなくていい」
こうして話していたら余計なことまで言ってしまいそうになる。次は俺からアルフレッドを抱きしめて唇を重ねた。
舌を絡ませながらベッドに押し倒される。服の中に手が入ってきて胸を撫でられるとこいつも男なんだな、なんて今更なことを考えてしまう。すっと手と唇が離れて目を開けると、俺の上に乗っているアルフレッドは体を起こして服を脱いだ。
しっかりと鍛えられた逞しい体。着やせするタイプなのか予想以上に筋肉がついている。これまで俺は女の子しか好きになったことがなかったのに、この体を見て興奮してしまうなんて想定外だった。目に毒だ。
「ヴィンス」
早速、愛称で呼ばれて顔を上げる。
「その、これから何をするか……」
「ちょ、ちょっと待て。さすがに俺だってあの質問がどういう意味なのかは分かって答えている。恥ずかしいから改まって聞かないでくれ」
何も分からずに答えているわけではない。恥ずかしくなって目を逸らすと「そ、そっか」とアルフレッドも呟くように答えた。顔が熱い。薄暗くて助かった。
こんなこと勢いで進めてしまっていいのだ。そちらのほうが俺も助かる。体を起こしてシャツのボタンを外す。意識したらだんだん恥ずかしくなってきて手が震えて上手く動かせない。それにアルフレッドもジッと俺の方を見ているから余計だ。
ようやく全てのボタンが外し終わってアルフレッドと向き合う。仕切り直すように再び唇を重ねた。
ちゅ、ちゅ、と軽く唇を合わせると、アルフレッドの唇は顎から喉へと移動していく。くすぐったいのか気持ちいいのか分からない。体を捩らせるとズボンを圧迫するそれがアルフレッドの太ももに当たった。
「興奮してくれてるんだ?」
そう言ってアルフレッドの手がそこに触れる。
「嬉しい」
ぐに、と揉みしだかれると腰から頭へ電撃が走る。
「んんっ……!」
じわりと先端から何かがしみ出して下着を濡らす。甘い声が漏れ出てきたので手の甲で口元を押さえる。俺の反応を見たアルフレッドがズボンと下着を一緒にずらすと、血が巡ったそれは勢いよく飛び出してきた。
「俺のも、触ってほしいんだけど、いいかな……?」
恥ずかしそうにそう尋ねてきたアルフレッドに俺は頷いて体を起こす。アルフレッドが全てを脱いだので、俺も合わせるようにズボンと下着を脱ぎ捨てる。全裸で向き合うのは恥ずかしすぎて視線のやり場がない。そっと頬に手を添えられ、反射的に俺が顔を上げるとキスされる。緊張を解すように頬から耳へと指が移動し、耳たぶを撫でられた。
強張った体の力が抜けると、アルフレッドの手が俺の股間に触れる。触ってほしいと言われていたのを思い出し、俺も恐る恐る手を伸ばす。硬く熱いそれは俺で興奮しているのがよく分かって嬉しいのか恥ずかしいのか複雑な気分だ。
舌を絡ませていると手の動きが早くなる。俺も同じように動かしてみるが、自分の方にも意識が向いてしまい疎かになってしまう。
「っ、ぁあ……、んん、ある……、っ」
「イきそ?」
「ん、で、そっ……」
俺が達しそうなのは動かしているアルフレッドもよく分かるのか、手の動きが早くなる。
「は、ぁ……、もうっ……!」
目の前が真っ白になって、体が硬直する。びくびくと震えながら白濁を吐き出し、アルフレッドの手を汚した。
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