離した手の温もり

橘 凛子

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衝突

ep.103

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『……そうしようかな』
「明日、俺も手伝いいくよ。休みだし」
『じゃあこれ飲んだら帰るね』
「…ん。
送るよ」
『ありがとう…いつも』
「一緒にいたいだけだから気にしないの」

食後のティータイムを楽しんでいたが、のんびりはしていられない。

帰って荷造りをしなくては。

菜乃と彗くんにも連絡しよう。

何日か手伝えないか、と。

『私、着替えてくるね』
「俺も」

蒼ちゃんが淹れてくれた紅茶を飲み終えた私は部屋着のまま外出するわけにはいかないので、着替えるためにバスルームへ足を運んだ。

そこに着替えが置いてある。

彼は私とは別に寝室で着替えてくるよう。

別に蒼ちゃんは着替える必要はないとは思うのだが。

ダル着で出かけることが出来ないのだろう。

「行ける?」
『うん』

お互いラフな外出着に着替えた私達はマンションをでた。

蒼ちゃんの車に乗り込んで私のマンションまで軽いドライブをする。

「明日、昼頃に美愛んとこ行くけど昼飯いる?」
『あー…欲しいかも』
「適当に買っていくよ。欲しいのあったら連絡して」
『…ん、ありがと』

蒼ちゃんの提案は素直に有り難かった。

リモートワークとはいえ、明日は仕事で忙しい。

昼食を作っている余裕はないだろう。

なので彼がお昼を持参してきてくれるのは単純に嬉しい。

素直に甘えることにした。

「火曜日、家具買いに行く予定だったけど…どうする?」
『ん?どうするって…?』
「行ってる余裕ある?」
『あー…でも買いに行かなきゃだよね』

本音を言えば、火曜日は一日荷造りをしていたい。

だが、家具家電も揃えなければ蒼ちゃんのマンションで快適に暮らすことは難しいだろう。

ハードなスケジュールにはなるが、午前に買い物を済ませれば時間は確保できるかもしれない。

「まぁ…ね」
『早めに行けば午前中には買い物、終わるかな?』
「細々したもの除けば終わると思うよ。家具と家電だけなら」
『じゃあ、そうしようよ』

基本的に家具屋さんメインの買い物になるだろう。

家電量販店で買うものといえば、テレビくらい。

他のものは全て揃っている。

「じゃ、また明日」
『あ…』

話しているうちに車はマンションに着いていた。

夜だから道が空いていたのだろう。

話に夢中で気がつかなかった。

「あんまこん詰め過ぎないようにね」
『……気をつける』
「うん。よろしく」

蒼ちゃんは私の頭を撫でながら言った。

なんでわかるのだろう。

私の思考が読まれている。

敵わないな。

私はシートベルトを外して彼を見上げる。

名残惜しげに蒼ちゃんはこちらを見つめていた。

手持ち無沙汰な指先は私の肩にかかる毛先を弄んでいる。

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