気がつけば異世界

蝋梅

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102.マート君、話に乗らない?

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「なんだ、そのヒョクカって」

 マート君の頭上にハテナマークが沢山浮かんでいる。

「緑のリョクよ。ようは植物を増やしたくないかって事。植物が生息できれば激変とまでもいかないまでも生活は楽じゃない?輸入、ではなく他国からの仕入れる負担も減る。あわよくば、逆に売る事も可能だし。ただ流石に直ぐは無理だけど」

 やれやれと、マートくんは肩をすくめた。馬鹿にしているような態度にムッとするも話を聞くことにする。

 人の話はムカついてもとりあえず耳を傾けてみるというのは大事だ。

 まぁ、相手にもよるけどね。

「夢物語だな。まず、余分な水はない。雨季はあるが、ほんの一時期のみだ。飲水だけでもきびしいのが現状だ」

 私も知識としては、水不足は把握している。

「そこで水を確保しましょうよっていう提案なの。勿論、それだけではないんだけど」
 
 私に利点がないのはなしでしだ。

「──何を考えているんだ?」

 私の笑みで察したらしいマート君と不審がる背後のナーバスさんは警戒マックスである。私は、元の世界では、納税もちゃんとしている善良市民だというのに失礼よね。

「地中に道を作れる乗り物、貸して?」
「なんの事だ?」
「またまた~。しらばっくれるなんていけないなぁ。あるでしょ? 転移盤より時間はかかるけど、安心安全に地中を掘り進む、名前はザッカルだっけ?」

面白い。

 猫なら毛を逆立てている感じだ。それも数匹が。

「ユラ、分かるように説明してくれ」

 ラジの言葉を無視して影に徹している男に声をかけた。

「モーさんはご存知?」

 実は、もう一人連れてきているのだが、その人物は、ラジと戦い中に私に魔力を吸い取られ気を失った、例の狼風のモーさんである。

「モゥブンだ。アンタが言っているのは、ザッガヴィールの事か? 地の国が所有していると言われている古代遺産と言われるくらい古い乗り物で動力は王族の血のみ。硬い地盤を砕き地中を難なく進む代物だそうだが。現存しているかは不明だ」

おー、素晴らしい。

 流れる水のように話す彼に思わずパチパチと拍手をしてしまう私。

「という事ですが。合ってます?私は、それを借りて光の国に行きたいの。見返りとして、ちょっと説得しないとだけど、マート君に種をあげる予定よ」
「何の種だよ」

 おっ、食いついてきた。

「水の木よ。ようは、水を確保するにあたり水脈を見つけるのが一つ、それだけでは不安もあるから、水が成る木。正確には水の実があれば安心でしょ?」

 そこで何故子ワニかというと。

「その水の木の育て方と他にも数点知りたい事があるのよねぇ。さぁ、どうする? あ、着いたわよ」

 一度しか見つからなかった木の扉が、眼の前にある。その取っ手を掴み最後に振り向きければ、私の手と一緒に掴んだ手の持ち主は。

「いいぜ。その話、乗ってやるよ」
「殿下!お待ち下さい!」

そうこなくっちゃ。

 彼はナーバスさんの声を無視し、私の手ごと扉を引いた。

 ちなみに真剣な横顔にカッコよく見えたのは内緒である。だが、私がニヤリとしたのも一瞬だった。

「はぁ。今回は武器攻撃もなく扉を開けてくれたから見直したと思っていたんだけど。撤回しようかしら」

 扉の中は、私の職場だった。

「ゆら、俺より先に休憩か?」

 ご丁寧に再びの元カレつきである。

「やっぱり、戻ったら食料にするか」

 ヤツは、私を苛立たせる天才には間違いない。

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