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43.私の勘は
しおりを挟む「お仲間危ないようだし、なおさら俺についたほうがよくないか?」
「却下」
切捨てるように拒否を込めて言ったものの頭の中では混乱していた。
落ち着けと自分で自分に言い聞かせる。
仕事と同じだ。何が1番優先か。
いえ、同じだけど違う。
仕事は謝れば済む。勿論損害も出る場合もあるけれど。
この世界では一歩でも読み間違えば、命取りだ。
しかも自分だけでなく周りを巻き込めば更に惨事を招く。
どうする? 迷っているとラジと目が合った。
彼は、リューさんのネックレスを見た時は顔色を変えたけれど、今は欠片もみせない。
私が決めていいのだろうか。そう問う視線を投げ返せば、微かに、でも確実に彼は頷いた。
「じゃあんたら今から敵…」
「協力もしないけど、邪魔もしないわよ。いえ場合によっては少しそちらに傾いてもいい」
メルベ様に最後までしゃべらせず被せて話をする。主導権は握らせてもらおうじゃないの。
たとえ此処がアウェイだとしてもね。
「あー、予想以上にガッカリだな。アンタ、状況わかってるのか?」
「そちらこそ、どうなのかしら?」
私は服の袖を捲り腕輪を見せつけるように晒した。神器同士が当たり軽い涼しげな音が鳴る。
「複数の神器を持つ者がこの地の国の次期王になる人物を支持してもいい」
「それじゃあ」
「ただし、私が支持するのは、あなた、メルベ様でもなければ、そこのお茶を淹れてくれた君でもない」
これが殺気というのか。
メルベ様だという青年の気配が変化した。
でも不思議な事に恐怖はない。
それよりも、やっぱりかと残念な気持ちで一杯になりため息が漏れてしまう。
「ねぇ。最初に戻るけど、貴方は誰?」
「何が言いたい?」
もう馬鹿馬鹿しくなってきた。
「あのね、一刻も早く助けたい人がいるの。もう、いいわ。時間がもったいないので最後にする」
散々食べておいてなんだけど、この場で言葉遊びをしてる場合じゃないのよね。
リューさんが本当にピンチなら助けないと。
メルベ様に最後の質問。
「本当の貴方達は、もっと幼いでしょう? 」
私は、この世界にきて自分の勘を大事にしている。
この勘というのは決して運任せという意味ではない。長年の経験を含めたもの。
そもそも、この青年の見た目と話し方に違和感を感じていた。外見よりも中身が幼すぎるのよね。
「何を根拠に」
「メルベ様、貴方が次期王なら私は貴方を支持しない」
『珍しい。私の膜が破られました』
突然、頭の内側から響いた言葉はどうやら光だったらしい。
と同時に青年、メルベ様の隣に人が立っていた。
なんの前触れもなく、本当に突然。
「なら、私ならどうかしら?」
艶っぽい声とは裏腹に圧倒的な存在感。
ただ立っているだけなのに威圧されているように感じ、腕に鳥肌がたつ。
「──貴方が本物のメルベ様ですね」
私の言葉に彼女は微笑んだだけ。けれど、充分だ。青年の偽メルベ様とは格が違う。
私は、初めてひれ伏してもいいかもと思った。
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