気がつけば異世界

蝋梅

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70.それぞれ決まりました

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 そういえば、すっかり言い忘れていた。

「付け足しがあるわ。速やかに帰宅か私に寝返るを選択した場合、一年間は護ってあげる」

至れり尽くせりじゃない?

「アンタ気味わりぃ」

 小さい声だったが、この静けさの中ではよく聞き取れた。

 君、考えて言葉を発しなさいよ。

 縛られている若い子を睨み付ければ、生意気にも見返してきた。

「「救世主、護るってどういう事ですか?」」

 男女の双子はそれぞれ首を傾げて質問してきた。敵ながらも可愛いじゃないのと、その邪気のなさそうな仕草にぐっとくる。

 ちなみに私はそっちの趣味はない。

「そのまんまよ。本人、ついでに大事な駆け引きに使われそうな人にも拐われない、また攻撃されないようにしておくから。だから、その間に身のふりを考えて欲しいわけ」

 お金を貯めて国外に逃げるなり、いや返り討ちとか? とりあえずなんとかして欲しい。

 そう提案をしてみたのに皆さん無言。

「反応薄いなぁ。一年が短いっていうの? ただ完璧な加護っていうのかしら、それが限界らしいのよ。その代わり、人数は数十人は可能よ。あ、ハイ、そこの君」

 風紀委員もどきから手が上がったので指名してみたけど。私、この子達に命を狙われてるのよね?

 自分が引率の先生のように感じる。いや、個性がありすぎて君達のリーダーにはなりたくない。

「救世主は、何故そこまでしてくれるのでしょうか?」
「だよな。やっぱ胸くそ悪い」
「「確かに不思議だねぇ~」」

 彼らは仲間ではないはずなのに不思議と間のタイミングはピッタリだ。

「理由は一つしかないわよ。死なれると後味が非常に悪い」

「「「はぁ?」」」

シンクロが素晴らしい。

「私、自分が可愛いの。前回、害になる者をこの国から弾き出す事にしたんだけど、その時は先を考えてなくてね。大雑把過ぎたわ」

 条件を事細かにすればよかった。だから学習したら次は活かす。

「残りの方々を見つけるホイホイ作戦をし、また失敗しないようにしたいのよ。あ、ラジとリアンヌさん起きてもいいですよ。寝たふりも飽きますよね」

 テーブルに顔をお上品に伏せている二人に声をかければ、ラジは苦い顔でリアンヌさんは苦笑をしている。

「話、聞いてましたよね? なので明日にしようとは思いますが、もしかしたら戦ってもらえますか?」

あ、そうだ。

「侵入者の方々でやり合ってもいいのか」

 私の発言により周囲の温度が下がった。

 長い無言に我慢できなくなってきて、もう全員お帰り頂くかと立ち上がれば。

「救世主様、なかなかな方ですね」

風紀委員が感心している。

「此方が疲れない方法じゃない?」

 でも、息が止まるまでだと後味悪いか。悩ましいわね。


「俺は残る」
「えー、君が?」

 侵入者に向かないであろう若い男を嫌そうに見れば相手も同じような顔。

「「僕(私)達は、帰らせてもらいまーす」」
「帰っちゃうの?」

 むしろ君達双子はいて欲しいかも。

「なんだよ! 俺とえらい違いじゃないか!ああ、救世主は幼児が好きなのか…」

はい、アウトー!


「火っ仕事あげる! この子、燃やしていいわよ!」

『別にいいけど。そいつ嫌がってるぞ?』

「な、冗談に決まってるだろ!」

 いや、君、半分は本気で聞いてきたでしょ。次はないぞ。そして火は、荒いお願いはきいてくれると心でメモをした。





* * *



 結局、縛られている若い子は、残る事になった。

「俺は、三を選ぶ」

 同じく縛られている渋い口数の少ないおじさんが選択したのは戦うだ。

「誰が良いの?」
「あいつだ」

顎で選んだのは、ラジ。


うん、面白そう。

「ラジ、勝手に決めたけど、いい?」
「ああ。断ったらユラが相手をするつもりだろう?」

あら、読まれてたか。


「じゃあ、明日ラジと思う存分やりあって。残りは食事終わった人から防御かけた順に帰宅してもらうから。とりあえず皆を起こすわ」

 立ち上がり中央に移動し手を一回だけ叩き一声。

「解除!!」

 各々が起き出し不思議そうにしている中、消えそうな陰に声をかけた。

「ナウル君、今日から明日まで、ノアを側においてもらうから」

 また飲み始めた人達の喧騒で彼の返事は聞こえなかった。

 
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