勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり

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第1章 始まりと魔法世界への準備

第7話 少し変わった日常

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 朝、知らない天井を見上げながら目を覚ます……。

 横にやつが寝ているが、俺は昨日ここには来ていない。
 すべては夢…… にしてはくれないよな……。

 なぜか服が脱がされていたので、探しながら着込む。そして静かに家を出ていく。

 一度家に帰るとシャワーを浴びて、フレイヤに魔石を与えながら癒される。
 会社からのメールをチェックし、淹れたコーヒーをゆっくりと飲む……。 急ぎの仕事は無いようだから、今日はまた野良ダンジョンを探そう。
 明日にはドッグタグができるはずだから、貰いに行くついでに、魔石を売って来ることにしよう。

 まあ、予定はそんな……。
「ぴんぽーん……」
 誰だ? こんな朝早くに…… まだ、うん? もう10時か。

「おはよう、起こしてくれれば良かったのに」
 玄関のドアを開けると、ああ…… 今朝、隣で寝ていた知らないやつが、にこやかに立っていた。

「間違えていますよ」
 開けたドアを閉めようとしたが、靴が差し込まれた。
「彼女に対して、ふざけなくても…… うふっ」
 あくまでもにこやかな顔を崩さず、足を差し込んでいる。

「誰が、彼女だ」
 そう言って、足を蹴りだそうとするが、
「昨日、やり直すって言ったじゃん」
 と言いながら、入り込んできた。

「昨日の状態でよくそんなことが言えるな。俺のやさしさに付け込んだ松沼美月さん」
 両耳を抑えて、私何も聞こえないをしながら、
「えー覚えてない、それにやり逃げはだめだよ」
 とほざいて来る。

「あれは、襲われたのは俺の方だろう。初めてだったのに」
 と泣きまねをしてみる。
「私も初めてよ。痛かったし、まだ挟まっている感じがするの、すごいね」
 あれは、お前が強引に乗ってきて、反応してしまった俺の物に一気に座ったんじゃないか。痛いなんか文句言われても、俺にはどうしようもない。
 
 そう考えていると、後ろ手に鍵を閉めて、上がり込んでくる。

 入り込んで、部屋を見回すと、
「ふーん、結構整理しているのね」
 とかほざいて来る。

「ああ工業系は、その辺は2分されるんだ。今日は病院とか行かなくていいのか?」
「心配してくれるの? 朝起きて遅刻確定だから休みにしちゃった。一司くんは会社は大丈夫なの?」
 ちょっとジト目で言葉を返す。
「うちは、出社しなくていいんだ。PCがあれば仕事ができる」

「へぇー、奥さんが専業主婦なら一日中イチャイチャできるね」
 つい、後ずさりしながら。
「会社はいかなくていいけど、モンスター退治もやっているから。今からも出かけるし」
「えーせっかく休んだのに。じゃあついて行く。その前に朝ご飯を作る」

 ああ、昨日の朝に戻りたい。

 野良ダンジョンに、惹かれただけなのに……。

 仕方がないから、ソファーでごろごろしていると。
「できたよ、テーブル拭いてね」
 畜生。こいつ普通にしていりゃ可愛いのに、余計につらい。


 作ってくれた飯…… 普通にうまいな。 家に材料はなかったから買ってきてくれたのか…… はっいかん、だまされちゃだめだ。だまされちゃだめだ。だまされちゃだめだ。

 現実逃避にスマホを見る。知らない間に大手マップにダンジョンが登録されている。近隣のダンジョンは結構あるな。
 情報としてモンスターも登録されているのか。昨日つぶしたような、アリとかはさすがに載っていない。基本は人間が入れるような大きさの物か。

 それに、出現モンスターもホブゴブリン位までで、それより大きい奴はいない。ひょっとして何かの意思があり、チュートリアル中なのか? それなら今のうちに鍛えておかないと、強いモンスターが出始めると人類はやばいんじゃないか?

 まあネット上にクランを作ろうとか書き込みがあるけど、入会金10万とか真面目なのか金の回収かどっちかな? ただの養分になるのは嫌だし、この辺もまだ様子見だな。
 俺は地道に、小ダンジョンを攻略していこう。

 選ぶ場所は、普通のダンジョン間の不自然なむら? 隙間と言った方がいいか、そこを狙ってみよう。

 考えをまとめ、立ち上がる。
「出かけるの?」
「ああ場所は大体決めた」
「じゃあ用意しよ」
 と言って持っていたザックから、着替えを取り出して、脱ぎ始める。

 なんで着替えを持っているんだ? なんで目の前で着替える……。 ワンピースからジーンズとトレーナーに着替えて、よしっとガッツポーズをしている。
「美女の生着替えどうだった?」
「なあ松沼」
「美月。昔みたいに、はい言って」

「どっちでもいいけど、美月、なんで着替えがあるんだ?」
「へっ?お泊りセットに決まっているじゃん」
「……おう、そうか」

「さあ出発! ……うん? 出ないの?」
「出るよ……」
 玄関に鍵をかけ、出発する。
 ぼそっとカギ良いなあ、と聞こえたが無視する。

 マップを確認すると、公園? いや神社か……。
「わあ、紅葉している。綺麗ね」
「ああそうだな」

「なんだか、気のない感じね?」
「今、ダンジョンの気配を探しているから、ちょっと黙っていてくれ……あったこっちだ」

 参道の脇を進み、神社の為か結構大きめの木が生えている。その基、根の間に昨日見たような40~50cmほどの穴がある。穴のふちに手をかけ、ダンジョンにアクセスする。

 うん、ここもアリだな? コロニーのサイズも同じ感じだ。何か規則性でもあるのかな? まあいい、退治するには一応許可を取りに行くか。

 すくっと立ち上がり、社務所に向かう。
 社務所にぼーっとしている、お姉さんが座って居たので声をかける。
「すみません、境内でダンジョンを見つけたのですが、退治をしていいですか?」
「ダンジョンですか?」
「ええ、モンスターはアリのようですけど」

 お姉さんは、小首をかしげて思案をした後、
「ちょっと宮司さん呼んできますので、少しお待ちください」
 と言って奥に向かって行った。
「はい」

 待っている間に、美月はおみくじを引いているようだが、そんなに何回も引くものじゃないだろう?
「あ~ん、良縁が努力必要とか。恋愛が勢いだけとか。待ち人見逃すことなかれ。変なのばっかり」
 何だろう背筋に冷や汗が出るような内容だ。俺、神様に何かしたっけ?

「お待たせしました、私宮司の宮下です」
 作務衣を着た、おっさんが出て来る。

「ああすいません、先ほどこちらの境内にダンジョンがあるのを見つけてしまって。まだモンスターは出てきたことがないんですよね」
「ええ見たことありません。ちなみにどんなモンスターか、わかりますでしょうか?」
「穴の大きさが40~50cmで、あの穴のサイズならたぶんアリです」

 少し考えこみ、なぜかカメラを取り出す宮司。
「40~50cmですか、大きいですね。場所を教えてくださいます?」
「ええ、いいですよ。こちらです」

 さっきの穴に案内した。宮司さんは穴に到着すると、いきなり石を穴に放り込んだ……。

「ちょっと、何するんですか?」
「いや実際いるかどうかの確認をしようと思いまして。……まずかったですかねえ」
「多分、まずいです」

 すると、やっぱり時間を置かず、触覚が2本ダンジョンの外に出てきた。
「ひっ」
 宮司さんと、美月が同時に叫ぶ。

 やれやれと思いながら、
「ひっ、じゃないですよ」
 おもむろに、30cmくらいの頭を、無敵の金属バットで殴った。

「あごの部分で15cm以上あります。かまれると腕位ちぎられますから、下がってください。それと退治していいですね」

 宮司さんは、コクコクうなずいている。
「よし」
 鍋の蓋を取り出し、穴に蓋をする。片手で亜空間収納から殺虫剤を取り出し火をつけて隙間から放り込む。 まだガンガンに下から上がってきているのが分かる。
 女王は移動しないな……。 すごい力で突き上げられるが、\18800円もしたステンレス製、破られはせんぞ。アルミとは違うのだよ、アルミとは……。

 途中で幾度か、体ごと持ち上げられそうになったが、体重をかけて我慢する。
 30分ほどで静かになったので確認すると、すべての生命反応が消えていた。
 蓋を開き、煙を排気する。

 おバカな宮司さんが覗き込んでくる。
「もう、大丈夫なんですか?」
「もう大丈夫ですが、いきなり何かを放り込むなんて。見たでしょさっきのアリを?」
「あんなのが200~300この中にいたんです。 這い出して来たら、悲惨な状況になるのは想像できるでしょう?」
「いやー、見たことがなかったし……。 つい」
 ついじゃねえよ。近藤〇奈みたいな突っ込みを心の中で入れる。

 だがおバカ宮司は空気なんか読まない。
「さっきのは殺虫剤ですか?」
 まずそうだから、くぎを刺す。
「そうですけど、広めないでください。下手に放り込むと出てくるんで。あんな全長1mもありそうなアリと、200~300匹相手に戦えるなら別ですけど。どんどん出てくると周りにいる人にも迷惑を掛けますよ」

 人の忠告は聞き流す。この手の奴は度し難い。
「あれ、さっきの盾?はどこに行ったんですか?」
「内緒です」
 単なる興味にしては変な奴だと、思いながら受け答えをして。

「あと、この穴は危なくないように埋めておきますから。良いですか?」
「あー、はいはい、お願いします」
 言質を取ったので、埋める。

 それを確認するとやっと、宮司は帰っていった。
 ダンジョンを操作して、表面だけ閉じたダンジョンから、クリスタルや魔石を取り出す。一応中を確認して完全に潰して終了した。

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