勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり

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第1章 始まりと魔法世界への準備

第9話 ダンジョンではじめてのあれこれ

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「一司くんって、おかしいよね……」

 はっ? なんだこいつ。
「なんだ、開口一番。……いやなら別れよう」
 俺がそう言うと、言われてあたふたしている。
「ちょ、そうじゃなくて。こんな迷路型のダンジョンでも迷わないし。なんとなくモンスターの居る所も分かっているじゃない」
 ほーう、気が付いたのか。まあこいつ頭は良いしな。

「ネットとかで調べても、そんなことができるなんて全然情報がないし。ひょっとして何か特殊な能力でも持っているのかなぁーと?」
「そんな情報集めて、どこかに売るつもりか?」
 と、ジトってみる。

「ぶー。……また機嫌が悪くなってる。あれは単純にフレイヤとお揃いにしようかと思って買っただけだもん」

 美月の思考。一司の機嫌が悪い。フレイヤを笑みを浮かべて撫でている。なら、猫の格好をすれば喜んでくれる? 検索してグッズ購入。一司に引かれる。どうして?

「変態は黙っていてくれないか」
 届いた通販の箱。美月が嬉しそうに取り出す物は、どれもやばそうなものだった。

「耳はカチューシャだったけど、尻尾はまさか……」
「黙れと言っている」
「あれブルブルもするんだよ」
「やっぱり、分かっていて買ったな? 他にも大量に不健全なおもちゃを買っていたみたいだし、俺が変態に思われる」
 なぜか家に届いた。

「ちょっとどんな感じか気にならない?」
「ならない」
「けち」

「そんなことより、曲がり角右からホブゴブリンかな? 来るぞ」
「はーい。……よいしょ」
「ゴン!」

 消えていく、ホブゴブリン。

「ねぇ、やっぱり。種類までわかるんだよ…… おかしいよ。まさか魔法なの?」
「魔法?」

 ダンジョンができて一時期話題になった。
「最近ダンジョンの中でなら使えるって書き込みがあって……。 元からモンスターは火とか使ってきたじゃない」

 俺は思い返す。
「ああ、あのしょぼい奴な。でも石礫は結構面白かった。向こうのやつを打ち返すとむきになって撃ってくるんだ、延長12回くらいまでは行ったんじゃないか?」
「モンスターと遊んでいたの?」
 かわいそうな目で、こっちを見てくるな。

「……暇だったんだよ。つぎ、マタコイラ? 2匹また右側」
「はーい。……て。……いやぁ~。怖いから倒して」
「りょ」

 取り出す、俺の金属バット。
「ゴン、バキ」
 消えていく、モンスター。

 目が点の美月。
「なにあれ?」
「だから、マタコイラ。ゾンビな犬」
「げー、なんだか体が溶けていたわよ」

 戯言は無視する。
「次の曲がり角は、左曲がってすぐに右」
「左行ってすぐ右って帰ってくるじゃん」
「馬鹿言ってないで進め」

 グダグダ言っている、美月の尻を蹴り飛ばす。
「あん」
「……蹴られて喜ぶな」
「ぶー」

 順調に進み、やってきました最下層。
「これが最後かな、20階なんて最初のダンジョン以来だな」
「あれってなんていうモンスター?」
「かの有名なオーク」
「あんまり豚さんぽく無いね」

「諸説あるからな」
「えっ」

 無敵のバットを構える。
「ひとあて行ってみるか」
 小走りに距離を詰め、歩数を合わせてオークの前に進み、右上段から頭にバットを打ち込む……。
 消えていくオークを見ながら。
「今のオーク……ぼーっとして、何がしたかったんだ?」
 と俺が言うと、パクパクしていた美月が口を開く。

「違うよ、一司くんのスピードに、反応できなかったんだと思う。さっきのスピードって本気?」
「いやまだ軽くかな? 本気だと」
 2歩進み1歩踏み込みながら、袈裟懸けにバットを振り下ろす……、
「パン」
 と破裂音と衝撃が来る。

「あん? 音速超えた?」
 金属バットの表面を触るとそんなには熱くないので、音速くらいだろう。
 ただ、踏み込んだ靴の底が剥げた……。

「なんてこったい」
 亜空間収納から別の靴を出し履き替える。 濡れたりすることがあるので予備はいくつか持っている。

 振り返ると、美月の目が点になっていた。
「うん? どうした……」
「さっきの一司くんの動きは、私も見えなかった。少しぶれたと思ったら、パンて音が鳴ってズンて来た」
 まだ、あたふたしている。

「よくわからんが、よくわかった。 たぶん俺は巣ごと駆除していたから、ステータスが高いんだろう。ステータスプレートが欲しいな」

 うん? 創造者(クリエイター)が反応している。
「どうしたの?」
「ちょっと黙っていて」

 意識を集中すると使い方が頭に流れ込んでくる。……名前の通り好きなものを好きなように作れるし改造もできる。ただ魔素が必要だということだな? 魔素は、このダンジョン深部で70%くらい。いま地球の大気中でまだ5%ちょっとでモンスターを構成しているのも魔素か。
 ということは魔素濃度が濃くなれば、俺は神になれるという事か……。

 試しにステータスプレートを作ってみるか? あっそうか…… ステータスプレートを作ろうと思っても基準値がないとだめじゃん。

 そういえば、あれからいくつもダンジョンをつぶしているが、あの時のようなクリスタルは現れない。なぜあの時俺の前に現れたのか…… たまたまか?

 分からんことはほっといて、ちょっと火魔法を作ってみよう。
「クリエイト」
 プロセスプレートが目の前に現れ、魔素をどうするかと発現キーワード〈ファイヤーアロー〉をセット。魔素を火に変換。周りの酸素を消費し燃焼を続けながら、使用者の意図した方向に移動を開始。強さと速度は最初に指定する魔素量により設定。〈コンパイル〉実行形式で保存。

 なんか、作成インターフェイスも、俺の知識と意識に引きずられてカスタム化されているのかな。
 これ自体も要調査だな。

 制御クリスタルの、埋まっている壁に向かい手を上げて、
「ファイヤーアロー」
 ボッっと音がして、火の棒が壁に向かって撃ち出された。

 ドンと音がして着弾する。
 残念ながら壁には穴は開かなかったが、威力はありそうだ。

「うわぁ。今の魔法?」
「ああそうだ」
「試していい」
「ああ」
「ファイヤーアロー」
 カッコよく、手を前に向けて固まっている、美月。

「…… 出ない」
 美月が変な顔してぼやく……。

「あれ? ちょっと待って」
 う~んと、コマンドの共有かな? 対象者は……。
「ちょっと手をつないで」
「うん」
 対象者:松沼美月 ああ出たな、共有実行。

「これでどうだ」
「えーと、ファイヤーアロー」
 ドンと音が鳴って打ち出した。
「おお使えるな」

 早急に、研究用のダンジョンが1つ必要だな。
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