勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり

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第2章 魔法の使える世界

第21話 日常が変わった日

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 私は真魚。
 最近お兄ちゃんが、少しおかしい。
 
 学校をやめてから、ダンジョンでお金を稼ぐと言い出したのは、知っているけれど、うまくいっていないみたい。
 それでも、何かをしようとしているのは分かるけれど、とうとう2日も帰ってこなかった。

 父親は、どこかで手に入れてきたお酒を飲みながら、どこかでくたばったかと笑っている。

 私たちは、もう3日も何も食べていない。最近は、お兄ちゃんが何かを買って来てくれた物を少しずつ弟と分けて食べていた。
 お父さんが前に言っていた。お金が欲しけりゃ自分で稼げ、お前は女なんだから誰かを相手にして金を稼げばいい。と言っていた。その言葉がぐるぐると、頭の中で繰り返される。

 その言葉が、どう言うことをするのか、なんとなくは分かっている。お兄ちゃんが帰ってこなければ、弟の為にもそうでもしないとだめかなと思ってる。でも、お兄ちゃんが、ひょっこりとスーパーの半額シールが張られたお弁当を持って、帰って来てくれた。

 お兄ちゃんの話では、エリア外なのに、なぜか2つ名持ちや狼が現れたため、壮絶な戦いになった。
 けれど、何とか半額弁当を手に入れることができたと言って、満足そうだった。

 お兄ちゃんはこの2日間。入ったダンジョンで、なぜか出口が見つけられずに、ずっと迷っていたらしい。


 それからすぐに、家へ変な人と弁護士さんが来た。
 お父さんは引きつっていたけれど、さすがにおとなしく話をしていた。変な人は会社の社長さんで、お兄ちゃんを雇うと言う社長さんに、お父さんはひたすら給料はいくらだと聞いていた。
 
 その数日後、帰って来たお父さんと、なぜか怪しさ満点の行動をしていたお兄ちゃんが、何かを言われて殴られた? なぜか、お兄ちゃんを殴ったお父さんが、手をおさえて痛がっている。

「ははっ、世話にならなくて良いように出ていくよ」
「ふざけんじゃねえ、早く医者を呼びやがれ」

 そんなことを言い合うお兄ちゃんとお父さん。ぼーっとそれを見ていたせいで、お父さんと目が合っちゃった。殴られる。
 とっさに頭を押さえて、小さくなる。

 「ぐわぁ」

 声がしてそっちを見ると、お兄ちゃんが、こっちに伸ばされたお父さんの手首を持っている。けれど、見るとお父さんの手首が、お兄ちゃんにつかまれて潰れてる?

 お父さんはうめいているけれど、お兄ちゃんが取り出したもの。あの板はスマホ!?
 そして何か電話をしている。

 一体何をしたの? いつの間にそんな高級品を手に入れたの? どんな悪いことをしたのよ。いつも、私が学校で「持っていないの?」「貧乏なこいつが持っているわけがないじゃん」 とクラスでばかにされている原因の一つ。それを、お兄ちゃんが持っている。お兄ちゃん。死刑にでもなるような悪い事をしたのでは? ぐるぐると考えている私の頭に、首にロープを掛けられて、ぶら下がっているお兄ちゃんが見える。


 電話先は警察だったようだ。すぐに、警察と救急車がやってきた。お巡りさんに私たちも少し話を聞かれて、お兄ちゃんはお巡りさんに連れていかれちゃった。
 死刑になっちゃうのかしら? これから先ご飯どうしよう。

 夜になって、これからどうなるんだろうと考えていたら、玄関で話し声が聞こえて
「おおい今帰ったぞ」とお兄ちゃんの声がした。
 刑務所に行かなくてよかったんだ。安心して2人で玄関へ迎えに行くと、この前見た社長さんと警察官が立っていた。私たちも逮捕されると思い、私は弟と一緒に部屋の奥に逃げた。

 でもお兄ちゃんから、この部屋を出て、社長さんの家にお世話になることになった、と説明された。
 言われるままに、学校の荷物と着替えとかをまとめる。大したものは無いのですぐに終わった。

「さあ、行こうか」と伸ばされた社長さんの手を取ったときから、私と弟の日常は大きく変わった。色々とおかしなことは起こるけれど、当然、最高の日々へと……。


 お巡りさんや、社長さんと、この時間でも開いている駅前のお店で、最近は持っていなかった自分用の歯ブラシとかシャンプーとかを買ってもらった。

 社長さんのお家に着くと、お巡りさんは「がんばって」と言って帰って行った。

 中に入ると、家より部屋が少なく狭かったけれど…… なぜか、内緒だと言われて窓の奥に部屋があった。
 私たちの部屋も、見ている前で部屋が作られた。魔法なんですって。すごい。

 お風呂もすごく広くて、兄弟皆で一緒に入って、シャンプーやリンスとトリートメント?を使ってみた。壮二はひたすら、すげーって言っていた。

 その後、駅前のお店で買ってもらったパジャマを着てでて来ると、テーブルの上に御馳走がたくさん乗っていた。社長さんが「食え」と言ってくれてみんなで食べた。

 こんなごちそうは、居なくなったお母さんが居たとき以来。5年ぶり? なぜか涙が出てきて、横を見るとお兄ちゃんも壮二も泣いていた。

 ご飯を食べた後、ダンジョン側に作られた、初めてもらった自分専用の部屋ですこし緊張したけれど、こんなに体を伸ばして寝るのはいつ以来だろう。それとこの部屋、温度が一定で命令すれば温度が変わる。不思議。これも人に言ってはいけない事なんだと思う。一気に幸せになったけれど、だけど人に言えないことも一気に増えちゃった。

 初めて一人で布団に入って考える。社長さんたち本当に人間なのかしら。フレイヤって言う猫ちゃんは、完全にこちらの言葉を理解しているし、本当に猫なのかしら……。


 次の日に、目を覚ましたとき。見慣れない天井で少しびっくりしたけれど、すぐに思い出す。言われていた通り、顔を洗いに洗面所に向かう。えへへ、自分の歯ブラシ。

 こちら側から、マンションに出ると、美月さんが
「おはよう、よく眠れた?」
 と聞いてくれた。
「おはようございます。寝られました」
「じゃあご飯をたべて、テーブルが狭いから起きた人から順番ね」
 と言って、ごはんとお味噌汁を持ってきてくれた。

 テーブルの上には、卵焼きや何か干物の焼いたのとか、おひたしとかいろいろ並んでいた。すごい。

 少しすると社長さんが起きてきた。
「おはよ。おお早いな」
「おはようございます」
 社長さんはなぜか髪の毛とかも真っ白い、よく見ると目が少し赤い。本当に人間?

 見つめてしまったせいか
「どうした?」
 と聞かれて、ドキッとしちゃった。
「あげないわよ」
 とぼそっと、美月さんの方から聞こえた。

 その後。弁護士さん? が来て一緒に学校に行き、保護何とかの説明と後日転校することなども説明して、帰りに必要な物は買えと、おおきなショッピングセンターで買い物をした。服や下着も買ってもらった。

 お昼は、ショッピングセンターの中にあるお店で、とんかつ定食を食べたの。すっごくおいしかった。
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