勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり

文字の大きさ
52 / 167
第2章 魔法の使える世界

第35話 初めての県外遠征 第三夜

しおりを挟む
 無事2日。(実質一日)で仕事は終わったので、この土日は遊ぶことにした。

 昨日、美月たちはどこへ行ったのか聞くと、近くの湖でボートに乗ったり、風穴に潜ったらしい。中学生の2人は、さすがにダンジョンに入っていないので、それっぽい体験として風穴に行ったとのこと。
 ほかには少し遠いがクマのぬいぐるみを見に行ったらしい。

「じゃあ今日は、遊園地でも行くか?」

 子供たちをメインで考え、つい遊園地と言ったその一言を、後に俺は後悔した。
 えっなに? 最近の遊園地って絶叫系しかないの? それも変な名前のくせにとんでもない。
 幾度か無意識に魔法を撃ち込みそうになったし、何度か俺の口からなぞの物体が出てきていたらしい。
 その時には周りで、一司さん帰ってきて、川を渡っちゃダメと叫び声が響いたようだ。


 まあ、高校生や中学生。大人約一名。フリーパス当日券を購入して渡すとすんごい勢いで走っていった。まあ、俺以外だな。絶叫系? ……ふっ不得意、なんだよ。

 恐ろしいことに、絶叫優先券なるものを、美月がスマホで購入していたことを俺は知っている。

 もう記憶の奥底に沈めていたが、奴は俺と違い、大好物なのだよ。
 絶叫系が…… 白米大盛り3杯はいけるそうだ…… 恐ろしい話だ。

 高校3年の闇の半年の間に、一度だけ美月に付き合い絶叫系8時間耐久レースに参加した。ひたすら絶叫系の繰り返し。あれで余計に嫌いになった。奴と乗るとコーヒーカップすら凶器だ。

 あれはカップルが、うふふ、きゃははと楽しみ。そして、ふざけ合い。いちゃつく物で、ゆっくり回って乗るものだと思っていた。
 決して、遠心力で首が外に向かって持っていかれるような、危険な乗り物ではないはずだ。

 そんな奴にも弱点はある。ミラーハウスに放り込めば、奴は出てこれなくなる。

 ここでも絶叫系に誘いに来きたときは、ミラーハウスに逃げ込めば回避できるはずだ。場所はすでに確認済だ。

 てあれ? あの時死にかかったのって、ここだよな……。
 記憶の底に沈めすぎて自分でまた訪れるとは……。

 記憶がよみがえり、恐怖がやってくる。

 無音の足音と共に。

 腕ごと抱えられ、拉致られた。
 次に気が付いた時には、カタカタと恐怖をあおる音が聞こえる。
 ふと見ると地上76mあっ。これぇぇ…… 一気に落下して一気にループへ……。  
 ぶんぶんされて、またこっちへぶんぶん。とにかくぶんぶんくるくる。2分ほどで俺は死んだ。
 体は再構築までされ。強化されているはずなのに。
 深層に刻まれた恐怖には勝てないのか。

「楽しかったね。やっぱり一人よりは、彼氏と二人。次はあれね」
 ダンジョンへ通い、力を付けた美月。
 半分意識を失った俺でも、容赦がない。
 そういえば、靴とか財布がなくなっている。
 消えゆく意識の中で、なぜか嬉しそうに真魚が、俺の靴を持っていた。
 美月め、なんと言う奴だ。子供に荷物を持たせて自分が楽しむなんて……。

 またホールドされた。発進後すぐに加速を始める。
 ああこれもきっと変な名前のやつだ。説明では暗っ……ルー……プがきつい……。

 また、聞こえてくる……。
「つ・ぎ・は・ね・えぇ……」

 
 またホールドされた。くらいよぉーおおおぉぉ…… あああぁぁぁ…… これは偉そうな名前の…… そして始まる、くるんくるんぶんぶん……。

「えーと、次はね」
「美月おねえちゃん。一司おにいちゃん。涙とよだれと鼻水出して、すごいことになっているし。気を失っているよね」
「えっ。あっ、ほんとだ。困ったわね。まだ乗りたいのに」
「そこのベンチで、お兄ちゃんを私が見ておくから、乗ってきたら?」
 真魚はきっと天使のようなほほえみを浮かべて、美月を諭してくれているのだろう。

「むー。一人でか…… 仕方が無い。目を覚ましたら連絡して。また連れに来るから」
「お兄ちゃん死んじゃうよ?」
「一司なら大丈夫。前の時も生きていたから。じゃあね」
 そう言い残して、ずどどどとと美月が走っていく音が聞こえる。

「お兄ちゃん大丈夫?」
「ああ、真魚…… ありがとう。君は命の恩人だ」
「でも、色んな所から、色々と出てるのは本当だから、ちょっとタオルを濡らして来る」

 少しして、頭が持ち上げられ、顔を拭かれているのが分かる。ああ気持ちいい。うん? ひょっとして、膝枕してくれているのか悪いな…… 真魚……。


 すると可愛くない声が聞こえて来る。
「おおっ、彼女かわいいじゃん。彼氏はぶったおれたのか? ひ弱だな。そんなひ弱な奴はほっといて、俺らと遊ぼうぜ。こっちは3人だから、遊園地だけじゃなく朝までコースになっちゃうけどな」

 何が楽しいのか、ひゃははと笑い声が聞こえる。

 変な人たちが、何か言っているけれど、気にしちゃいけない。
 そう思いながら真魚は、一司の顔を拭く。
「無視するんじゃねえよ」
「人がやさしく言っている間に来いよ。おらぁ」


 一司お兄ちゃんを看病していると、変な人たちが周りに来た。
 でも、お兄ちゃんが居るから平気。
 なんだか色々言って、男の人が私に手を掛けようとした瞬間? 少し周りの気温が下がった。

 騒がしかった人たちの動きが止まり、なんだか震えている?
 どうしたのかしら? 震えがひどくなり、よく見ると顔色が蒼くなって息もまともにできていないみたい。口をパクパクしている。お魚みたい。

「あの大丈夫ですか?」
 と私が聞いた瞬間、全員倒れた。

「ふん、雑魚が」
 お兄ちゃんがボソッと言った。

 お兄ちゃんが何かしたんだ。
 でもこのまま置いといて大丈夫なのかな?


 そこへ、ずどどと美月さんがやって来た。
「起きたわね。さっき感じた殺気は、一司に間違いない」

「いやぁぁぁ……」
 美月さん、周りに倒れている人たちは放って置いて、一司兄ちゃんを連れて行っちゃった。うーん。インフォメーションセンターに、倒れている人が居ると伝えておこう。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい

空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。 孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。 竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。 火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜? いやいや、ないでしょ……。 【お知らせ】2018/2/27 完結しました。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。 父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。 そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。 彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。 その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。 「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」 そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。 これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

処理中です...