勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり

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第2章 魔法の使える世界

第40話 おかしな普通、私は……

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 1階の奥側に、フードコートや専門店が集中しているエリアがある。

 こういう所って移動していく最中に目移りをして、ついほかの店に入りがちだけれど……。


 彼らは違う…… そう違うのだ。

 わき目もふらず、ザッザッザッと一糸乱れぬ二列縦隊で、目的の場所へと突き進む。
 そして、その中に組み込まれて最初はびっくりしたけれど、何だろうこの安心感。

 お店に到着して、8人掛けの大テーブル、無煙ロースターは2個テーブルに埋まっている。
「まず最初に、お飲み物の注文を承ります」
 ビールやチューハイが注文されて、その後はソフトドリンクが注文される。
「神地さんは、何を飲むの?」
「それじゃあ、ウメサワーを」
「はい承知しました。お決まりになったら、テーブルのボタンをお願いします。ごゆっくりー」

「最初はファミリー用の盛り合わせが3つと、白飯人数分かな? 後は各自注文だな」
「海鮮盛とサラダも欲しい」
「よし呼んで、注文しよう」

 ワイワイと、口々に注文をしていく。白ご飯各自大盛1つはノルマなんですね。
 と思ったら、口に出ていたらしく。
「ガキどもは最初にご飯を食わさないと、とんでもないんだよ。特に高校生組が。こいつら連れて行くと、廻るすしで2万を楽勝で超えたからな」
「へーやっぱり。男子ってよく食べるんですね」

 でも隊Aのメンバーは、けんじ君以外あんまり食べなかったような?
 神地は知らなかったが、良識ある男子は割り勘の飲み会時には、家で軽く食ってさらにウコンを飲んで来るからであった。大学生は飲み中心だから、先に食べておかないと悪酔いするしね。掛け声なしのサイレント一気も未だにあるし。


「飲み物来たか? じゃあ、初の遠征成功と、遠征で拾った神地さんの入社祝いだ。かんぱーい」

「「「「「ようこそ、神地さん」」」」」
「ありがとうございます。でも拾ったはひどくないですか?」
「あれ? 拾いもんて、誉め言葉じゃないの?」
「それ絶対、後付けですよね」
 思わず、ジト目で見てしまった。
「わるい。わるい。まあうちはそんな感じで、かしこまらず気楽にやって」

「はい」
 仕事柄なのか、私たちより絶対ノリが学生っぽい。

「ちゃんと火は通せよ」
 見ると、すでに隙間がないくらい、肉が網に乗っている。

 一司さんと美月さん側は普通に焼いている。壮二くんと真魚ちゃんに焼いてあげているからか。うん? 炎が網の上で無重力ダンスをしている? 魔法かな、二人とも楽しそう。

 結局、高校生グループで、もう3枚ファミリー用の盛り合わせが消費された。
 すごいわ。それでデザートもしっかり食べているし。おなかを壊さないのかしら、焼肉の後にあんなにアイスクリームを食べて。

 会計を済ませて、外へ出る。

「一翔。帰りは大丈夫か?」
「ええ、親が迎えに来てくれるはず。さっき終わったと流したんで…… あっ、あの車がそうです。それじゃあ、ごちそうさまでした」
「ああっ、お疲れ」
 一翔は、かわいい感じの軽自動車へ乗り込んでいった。

「じゃあ帰ろうか」
 そう言ってぞろぞろ、歩きはじめる。

 一方、一翔。
「一翔。今日も会社の社長のおごりなの?」
「げっ、ねえちゃん」
「げって、なによ?」
「安全運転で、お願いします」
「いつも安全でしょう?」

「この前、逆走したじゃん」
「そんなこと…… たまにしかないわよ」
 中央分離帯に、緑地帯があると手前で曲がろうとする姉ちゃん。
 車が止まっていれば判断できるらしいが。

「安全運転で、お願いします」
「おごりかぁ、いいなあ。一司さまがゆかちゃん。いつもお世話になっているからって、誘ってくれないかしら?」
 やっぱりねえちゃん社長の事知っているよな。一司さまって社長の事だろうし。ねえちゃんの前では会社の詳細はしゃべらないでおこう。その方が平和な気がする。



「ただいまぁ。歩いて帰ると、丁度いい具合で腹ごなしになるな。ガキども順に風呂へ行け」
「はーい」
「あーと、お客さんは狭いが、改装したての風呂を使ってもらおうか。ちょっと待っていて」

 一司さんが、浴室の方へ行き、美月さんが、
「お茶でも入れるわ」
 と誘ってくれた。

 さっきの買い物を渡され、勢いで買わされた下着をのぞき込んでいると。
「参った、配管の接続をミスって風呂場に水しか出ねえ。断熱材をまいたのは確実に温水側につないだのに。不思議だ」

「仕方が無い、認証をしよう。社員だしいいか」

〈おーい、風呂が開いたら教えてくれ〉
〈…………〉

「しまった向こうは、別空間だから通じないのだった。見てくるか」

 なんだかぶつぶつ言いながら、一司さんがまたどこかへ歩いて行く。

 30分くらいして帰ってくると、
「もう少ししたら、風呂が空くから。そうだな、美月一緒に行って使い方教えてやってくれ」
「向こう側?」
「そう、こっちは配管を間違えて、お湯が使えなかった」
「あらまあ」
「いいんだよ。直すから」

「水関係の配管はまとめてあって、アクセスもすぐ分かるようにしている。昔実家の床下で水道の給水管が破裂して大騒ぎしたのを覚えていたから、配管の経路図も書いてあるし、専用の給水配管ダクトを取り回してあるからな」
「へー」

「水道管の破裂って場所が分からないと、10万以上かかるんだぞ。特にコンクリート下に埋設していると最悪だ」
「そうなんだ」

 などと言っていると、
「お風呂空いたよ」
 と真魚の声がした。
「ありがとう」

「さあ、後になって申し訳ないが案内しよう。こっちに来てくれ」

 夕方に、真魚ちゃんがぶつかって来た壁に向かう。そうよね。出入口って言っていたものね。

「これで、壁に手をついてくれ。うん普通に」
 言われた通り、ペタッと手をつく。
「ああそれでいい、じゃあ美月たのんだ」
「はーい、たのまれた。行こうたまきちゃん」
「えっえっ、壁カベがぁ」

 壁に入っちゃった。ここって、リビングみたいだけれど、
「こっちよ」
「はい」
 ドアを開けて入ると、広めの脱衣所があって、美月さんは服をポイポイとかごに入れていく。
「ナイロンタオルならそこのタンス、ブラシなら浴室のをとりあえず使って」
「はい」

 もそもそ服を脱いで、中に入ると大きなお風呂があった。
「ここは?」
「お風呂」
「いやそれは分かるんですけれど、こんな大きな。それにさっきから思っていたんですが、空気の感じが」
「ああ、一司の創ったダンジョンだから、魔物は出ないわよ。安心して」
「ダンジョンですか。一司さんが創った。そうですか」

〈フェン魔石を返せ、それは私のだ〉
〈早い者勝ちだ〉
「フレイヤ、フェンやかましいわよ。念話が漏れているわよ」
〈すまない、しかしこいつが私の魔石を盗みおって〉
「後であげるから」
〈本当じゃな〉
「本当」

「今のって念話ですか?」
「そうよ、フレイヤとフェンちゃんが魔石の取り合いをしていたみたいね」
「あの2匹? て犬と猫じゃなかったんですね」
「ああうん、秘密よ」
「ははっ」

 この人たち本当に人間だろうか? 一司さんもどっちだろうな? って自分で言っていたし。ダンジョン創っているし…… きゅう。私は意識を手放した。
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