勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり

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第3章 本格的侵攻開始   か?

第4話 今年最後の救出大作戦 その3

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「社長、やっと捕まえた」
 神地さんが息を切らせて走って来た。

「おお来たのか」
「来たのかじゃありませんよ。ぴょんぴょん。ぴょんぴょんと移動されると、こっちは歩きと電車ですから。追いつけませんよ」
 一翔までぶちぶち言ってくる。
 まあこっちはゲートだからな。
 
「おお、そりゃ悪い。ちょうどよかった。残りの救助者。なぜか全員19階でばらけているから手分けして捕まえてくれ。集合場所は20階への階段の所へ集合。ただ敵はミノタウロスとオーガ、オークがごちゃ混ぜ状態だ。20階に上がると、トロールが居るからな気をつけろ。よし入れ」
 ゲートを開き、みんなを突入させる。
「じゃあちょっと、行ってきます」
 一応挨拶をして、最後に潜る。

「おおう。みんな消えちまった」
「良いわね、あれー。ダンジョンて、行き帰りがだるいのよね」
 さっきダンジョンから連れ出した女の子が、ゲートの消えたところを見ている。
「おい。お前たちは、こっちで事情聴取だ」
 するとチャラそうな兄ちゃんが、機嫌が悪そうに答える。
「任意だろう?」
「違う。前回のダンジョンの再構成で、ずいぶん人が亡くなったからな。ダンジョンの再構成が起こったら、いったん速やかに出る事と、規定が変わったのを通知しただろう」
 警官が印刷物を見せながら、説明する。
「そんなの見てない」
 言われた本人たちは、嫌そうに答える。
「ダンジョンに潜る人間は、毎日チェックすることになっている。年明けから、免許制になるから見落とすと入れなくなるぞ」
 4人をそう言ってにらむ警官。
「まじかよ」
「こっちだ」
「へーい」


 潜った瞬間に、ミノタウロスがボコられていた。一翔と芳雄は、だいぶ安定して周りを見られている様だ。
 神地さんは、目の前のみ集中だな。
「神地さん。敵が複数だから周りをよく見てね。視界を広く保って」
「はい。ですが、硬くて」
〈うーんフェン。あのミノ、半分凍らせて〉
〈はい〉

「きゃあ」
「驚かなくていい。フェンのお仕事だ。神地さん魔法は?」
「ちょっとした物なら。水を出したり、火を起こしたりはできます」
「じゃあ。それを飛ばして、相手にぶつかる所まで、イメージをして撃ってみて」
「行きます。えい!」
 火は出たが、ばふっとぶつかって消えた。
「もっと収束して。温度を上げる。ガスバーナの火で、砲弾を作る感じ」

「行きます。えい」
 ばすっっといって、ぶつかった。

「もっと大きく」
「えい!」
「もっと、厨二な感じで」
「はい。えっ?」
「地獄の業火で、かの敵を焼き尽くせ。的な感じ?」
 俺がそう説明するが、思い浮かばない様だ。

 首をひねりながら、
「えー。やってみます。焼き尽くせ」
 ぼふ。と消えてしまう。
「うーん、あれはなんだっけ? はっ、ベノン」
 ぼふ。

「魔法発動の詠唱が、居るんじゃないか。恥ずかしいくらい、気合が入ったやつ」
「えー。一司さんたち、普段使っていませんよね」
「そりゃあ。俺たちは慣れているもの。初心者はやっぱり、イメージを固めるためにいるんじゃないか? 血の盟約に従いとか」
 そう言ってみるが、怪訝そうな眼だな。
「絶対に嘘ですよね。はっ、炎灼熱地獄」
 ぼふ。

「だめか、練習が必要だな」
 そう気だるげに、一司さんが言った瞬間。
 ミノタウロスがバラバラになった。
 体が熱くなる。

 丁度、隣でボコられていた、ミノタウロスも消えた。
「お前たち。二人でもきついんだな」
「すごく、硬いんですよ」
 珍しく芳雄がぼやく。

「仕方が無いな。おーい。聞こえるかぁー。助けに来たぞー」
 基本的にはご法度だが、大声を上げて、要救助者に救助を知らせることにした。
「何ですか、突然?」
 横にいた、芳雄が耳を抑えたが、もう遅いだろう。すでに叫び終わった。
「要救助者って10人なんだけどな。なんだか、ばらばらにいるんだよ」

「……けて……ちだ……」
「あっちだな。行ってみるか」
「はい」

 場所は大体わかっているが、行くと前の通路が狭く、オーガが挟まっていた……
「相手がミノなら、とっくに殺されていたな。スタン。神地さんとどめ」
「はい」
 ぼかすか殴って、とどめを刺す。

「おーい大丈夫か?」
「ああ。何とか」

「役所からの依頼を受けて。救助に来た、特別指定外来種対策会社神崎です」
「10人が19階でバラバラとかって、どうしたんだ?」
「20階で、クリスマスイブにレイドをしながら、再ポップまで宴会をしていたんだ」
「男が10人。クリスマスイブに? ダンジョンの20階で、レイドアンドパーティをしていたと。それで?」
「笑うなよ。それで再構成が起こって、いきなり目の前で黒い霧が吹きあがったと思ったら、それがいきなりトロールになったんだよ。せっかくだからひゃっはーとか言ってレイド戦だ。だなんて言ってしばらく攻撃したんだけれど、攻撃が全然効かなくて。そしたら今度は、21階の階段の方から、どんどんミノタウロス出てきて、そいつにも攻撃が効かなくて。各自で逃げ出したんだけれど。途中で仲間とはぐれた。出ようと思っても、出口にオーガが居るし出られなくって」
 つい笑みがこぼれてしまったようだ。
「わかりました。まあ、ついてきて。お近くはこっちか」

 助けに来たという神崎さんは、すたすたと歩いて行く。
 まるでどこに誰が居るのか分かっているようだ。
 やがてオーガが2匹先を争い、取っ組み合いをしている所にたどり着いた。
 何かを神崎さんがつぶやくと、糸が切れたようにオーガが2匹が倒れる。

 奥へ向かって、
「おーい、生きているか?」
 と神崎さんが叫ぶ。
「おっおお。助けか、ありがとう」
 と言って、チームの連れが出てきた。
「おお。無事だったのか」
 そう言って思わず抱き合う。

 さっきのオーガは、どう見ても若い高校生? と女の子がとどめを刺している。こいつら強いな。

「やっぱり手間がかかる。2手に分かれよう」
 俺がそういうが、
「ミノが居ると、厳しいですよ」
 一翔がぼやく。

「大丈夫だろう。うーんとミノは3匹だな。2匹はこっちだから、俺たちがこっちへ行く。フレイヤは芳雄達と行ってくれ。あんた達は20階への階段の所に留まって居るか、手伝ってくれるか。どっちがいい?」
 そう聞かれてちょっと悩んだようだが、
「仲間を探すのだろう。手伝うよ。なあ?」
 そう言って連れに話を振る。
「おう良いぜ。ずっと隅っこにいたから、体力はある」
 ほう。いい根性だ。
「そうか。じゃあ頼む。行こう」
「はい」

 そこからは、二手に分かれて、救助する事になった。
 仲間の救出のために手を貸すことになった彼ら。
 彼らは、非常識を目撃する。
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