勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり

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第3章 本格的侵攻開始   か?

第5話 今年最後の救出大作戦 その4

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 芳雄チーム。
 仲間を助けに行くのに、ついて行くことになった。
 しかし、先頭は猫だし、こいつらもガキっぽい。
 ただ、迷いもなく進んで行く。途中で、オーガが現れたが、すぐに消滅をした。
「はっ。なんだ、今の?」
 と俺が聞いたが、誰も返事をしてくれない……。

 ぐっ、無視られた。どうせ俺はモブだからしようがない。
 悲しみ、落ち込みながらも、ついて行く。
 さっきから、移動スピードが落ちていない。
 オークやオーガが結構出てきているが、出てくると、すぐに消滅をする。
 ……何を見てるんだおれ。


 一司チーム。
 犬がいるせいか、全くよどみなく進んでいく。
 探査犬か良いな。
 それに、俺の横にいる女の子もかわいい。

 その時、前方でモンスターの声がした。
 横の子に向いていた意識を、前方に向けたが、オーガは突然バラバラになった。
「はっ? なんだ、今の?」
 誰も返事をしてくれない。

 ……すると、前方でミノタウロスがダンジョンの壁を崩している。
 自分が抜けれるサイズに崩そうと、必死のようだ。
「スタン。あとヨロ」

 そう言って、一司は奥へと入っていく。
「おーい。大丈夫か? 助けに来たぞ」
「ああっ、ありがとう。もうだめかと思った」
 仲間? 同志を見つけて、気が付いたのだろう。
「おお、無事だったか」
「お前も、大丈夫だったのか」
 そんな光景が行われるが、無慈悲に一司は言う。
「さあ。次へ行こう」

 そう言って、神崎さんは駆けだしてしまった。
 女の子は、何か納得ができないのか、首をひねりながら、ミノタウロスにとどめを刺した。
 また、さっきと同じ光景だ。目の前に現れたモンスターは、一瞬でバラバラになっている。

「なあ。あれ、なんだ?」
 さっき救出された同志に、聞かれるが答えられるわけがない。
「わからないんだ。さっきから、ずっとこの状態で」

「あそこだな、スタン」
 目の前で、通路の前でイキりかえっていたオーガが、いきなりひっくり返った。
「おーい、無事か?」
 オーガが立ち塞がっていた、通路の奥へと声をかける。
「おーありがとう。もうだめかと思ったよ」
 そんな返事が聞こえた後、周りが一瞬明るくなる。

「ひゃあ」
なぜか、魔法を使った本人が驚いている。
「神地さん気を付けてね」
 一司が声をかける。
「はっ、ひゃい」

「次だ」
 また走りだす。
 次々と同志を見つけていく。
 俺たちは、ただついて行くだが、もう息が上がってだめだ。

「すいません。神崎さんギブアップです。ついて行けません」
「それなら、フェン。階段に案内してあげて」
「わふ」

 犬が振り返りながら、こちらを見る。
 ついて来いと、言っている様なのでついて行く。
 ゆっくり歩いているが、時々ふと、犬が前に急ぐ。
 すると、出て来たモンスターが凍り付き、細かな結晶となり崩れていく。

 同志が呟く。
「さっきと違う。この氷は、この犬がやっているのか?」
「信じたくないけれど、そうじゃないかな」
「だとしたら、俺この犬に負ける自信があるぞ」
 そんなことを言われたが、俺も同じだ。
「奇遇だな。俺もだ」
 周り全員が、頷く。

 やがて階段前へと、たどり着く。
「ついたぁ、誰か水持ってない」
「ああ。俺もう一本ある」
「分けてくれ」

 落ち着いて気が抜けたのか、みんなが騒ぎ出す。
 普通なら、諫(いさ)めないといけないが、今は大丈夫だろう。
 時たま、犬が走っていく。あれはモンスターを狩っているのだろう。
 守られている安心感がすごい。
 撫でようとすると、冷たい目を返して逃げるけれどね。


「一司さん。やっと二人っきりになりましたね。うふ。さっき、私に何をしたんですか?」
「俺が作った魔法の共有だ。ただ魔力の込め方によって、強さが変わるだけ。あとはテンプレ通りに発射される」
「こんな便利なものがあるなら、早くくれてもよかったのに」
「さっき言っただろう。テンプレだと。魔法の訓練には、ならないんだよ。あくまでも魔法は自分のイメージが大事だ。そっちは自分で訓練しろよ。じゃないと共有を取り消すぞ」
「はーい」

「スタン」
「生きているか?」
「ありがとうございます」
 生存者を見つけて、救出をする。
「よしわかった。よし階段へ戻ろう」


 芳雄チーム。
「ねえフレイヤさん。少しこっちに、回してくれません」
〈やかましい、さっさと済ますぞ。お前たちに任せると、時間ばかり掛かって仕方がが無い。私は、トロールの魔石が欲しいのにゃ〉
「そうですか」

 こいつ、どう見ても猫と会話している? 危ない奴か?
 なぜかがっくりとして、あきらめたように奥へと声をかける。
「分りました。おーい大丈夫ですか?」
 奥から返事が聞こえた。仲間は無事なようだ。
「ありがとう、助かったよ」
「救助に来た。特別指定外来種対策会社です」

 そう言ったと思ったら、突然立ったまま動きが止まる。
「あっはい。ほかの方も探しに行きます。えっ、あともう残り一人?」
 芳雄がそう言った答えに、一翔が突っ込む。
「社長。ばかっ速だな」
「残り一人どっちが近い感じでしょう? そうですか、じゃあ行きましょう」

 こいつらの会話。何かがおかしい。もしかして無線機? は階層を超えると使えないし。もしかして念話か? どう見ても、無線機を持っているようには見えない。
 聞いてみるか?

「すいません。もしかして念話しています?」
「ええ、便利ですよね。最近はダンジョン外でも使えるようになったし」
「えっあっ。そうですよね。便利ですよね」
 そう言って、愛想笑いを返す。
 芳雄は忘れていた。ダンジョンマスター特典だということを。

〈おい、急ぐにゃ〉
「はい、すいません」
 念話するのに、声に出してしまう芳雄。
「少し急ぎますね」
 周りのみんなに伝える。
「ああわかった」
「えっ」
 一人、話が分かっていなかったようだ、
「まだ一人、助けていないらしい」
 仲間に説明されて納得してくれた。
「ああ分かった」

 そうして探索に戻るが、
「なあ、あれ、おかしくないか」
 目の前で繰り返される、モンスターの消滅。
「そんな事はわかっている。言うな」
 首を振りながら、言ってはいけない雰囲気が発せられる。
「あっああ。わかった」

 最後の一人が居るポイントにたどり着き声をかける。
「おーい。大丈夫ですか?」
「助かった。もうだめかと思ったよ」
 奥から返事が聞こえて、這い出して来る。

「見つけました。無事です。じゃあ今から戻ります。ただ、フレイヤさんが…… すいません」
〈トロールが、欲しいにゃ〉
 その念話が聞こえたのだろう。一司から指示が来る。
〈わかった、こっちに戻って。俺は表へ救助者を送るから、その後でいいな〉
〈はいにゃ。すぐ帰るにゃ〉
 フレイヤも納得したようだ。

 フレイヤは我慢ができず、一司の居る階段をめがけてダッシュする。
 呆然と見送る、芳雄と一翔。それに救助者たち。
「あーと、行っちゃいましたね」
「追いかけよう……」
 そう言って走り出す。
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