勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり

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第3章 本格的侵攻開始   か?

第22話 一司のちょっとしたお茶目

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 静かだったのは一瞬で、マスコミ各社はすぐにリブートした。

「すいません、その根拠を」
「そのソースはよ」
「侵略来たー」
「その犬と猫は何ですか?」

 といろんな声が聞こえてきた。総理がさすがに困った様で、
「あー神崎君。暴露するなら、あらかじめに、伝えておいてくれないと困るな」
 と言ってきた。
「やだなあ、ちょっとした、おちゃめな仕返しじゃないですか」
 と、顔は正面を向いたまま、こそっと返事を返す。

 その間にも、口々に質問が飛んでくる。
「やかましい、静かにしろ」
 と告げながら会場に威圧をかける。
 うん静かになった。

 一言だけ告げる。
「侵略の根拠は、神に直接聞いたからだ」

 一人から、手が上がる。

「なんだ、言ってみろ」
「○○新聞の時田です。先ほど神に会ったとおっしゃいましたが、どこでどんな神にお会いになったのでしょうか?」

 さらに、威圧を少し増す。
「なんだ。会いたいのか? 合わせてやろうか? 会ったのは深層ダンジョンの底でセクメトという死を司る神だ。ただ、機嫌を損ねると、容赦なく死を賜るがな。どうする? 会いたいなら皆連れて行くぞ」

〈おいフレイヤ、笑うな。猫だから、表情は分からんだろうが、揺れているぞ〉
〈それとも素直に、川でゴブリンに追いかけられていたと暴露するか?〉
〈フェンちょっと、部屋の温度を下げろ〉

 また調子に乗ったフェンにより、一気に気温が下がる。吐く息が白くなり、カメラのレンズとかも凍り始める。
 周りもさすがに気が付き、ざわめき始める。

 それに合わせて、調子に乗る一司。
「ありゃあ、噂をしたから来ちゃったかなぁ? 昔から噂をすれば幽霊が集まるなんて言う話があるが…… これは…… 来ちゃったなあぁ」
 稲〇淳二さん風に語ってみる。

 ざわめきが、大きくなっていく。
 徐々に、威圧を強めていく。

「よかったなあ、マスコミ諸君。どうも、向こうから来たようだ…… 死を司るセクメトに会えるぞ」
 俺の言葉に従い、フェンがさらに気温を下げる。威圧に殺気をちょい足し。
「どうだぁ? この背中に来る…… ぞくぞくとした死の気配…… 君たちにも感じるだろうぅ?」

 誰かが、「ひぃ」と声を上げた瞬間。皆が会場から逃げ出した。
 ドアから出ると、廊下はエアコンが効いて暖かい。そのことで会場の異常さを再認識して、もう止まる事もなく駆け出していく。

「フェン、もういいぞ」
 部屋の温度が、多少ましになる。
 さすがに吊られているのはしんどいのか、フレイヤもじたばたし始めたので下ろした。

 総理が近づいて来る。
「さすがに、やりすぎじゃないかね」
「いい演出でしょう。それに嘘は言っていない。こいつは猫の形をしていますが、死を司るセクメトなのは本当です」

 それを聞いて、ちょっと押し黙る総理だが、
「本当か?」
「本当です。言っていませんでしたか?」
「その犬が、フェンリルというのは見たし聞いた」
「じゃあ警察にしか言ってなかったか。この数日で、カミングアウトしまくったので、訳が分からなくなっちゃって」

「まあそれにしても、派手にやったね」
「ああ自分たちが、攻撃されないと思うと好き勝手言えますけど、何処にでも死が来るとなるとどうでしょう? これで来ていた人間が事故なんかで死ぬと、いや死ななくてもケガしただけで動かなくなるんじゃないですかね。噂も広がるでしょうし。これで意外と自由に法案作れますよ」

 と言って、2匹に中型の魔石をあげる。だから立って食うな…… 総理の目が落ちそうだぞ。

「今度から、ダンジョン総括管理局の発表は、黒ミサと銘打ちましょうか」
「怪しい奴らばかり、集まりそうだからやめてくれ」
「地球が侵略されているのも本当ですから、もう少し危機感を持ってレベル上げをして欲しいのですがね」

「それなら、Bクラスの雑誌にリークしよう。信じるかどうかは、不明だがね」
「大丈夫です。すぐにダンジョン性の地震が来て、再構築が起こりますから。噂と紐づければ信じるしかありません」

「しかし、カメラも何もかも置いて行ったから、部屋が片づけられんな」
「悪魔は去ったと館内放送したら、戻って来るんじゃないですか? 部屋の隅に盛り塩でもしておけば?」
「塩が、効くのかね?」
「当然、効きません」
「そうだよね。そう思ったよ」
 そういって総理は、とぼとぼと、部屋を出て行った……。


 その日のニュースでは、ダンジョン総括管理局が発足したことと、主な業務内容が配布された資料通り発表された。なぜか、顔まで出したのに管理官の事など一切書かれていなかった。


 ある新聞社。
「おい、時田。今日取材に行ったダンジョン総括管理局。突っ込みどころはあったか?」
 その瞬間、名指しされた時田はびくっとして挙動不審な行動をとる。
 机の下に潜り込み、しゃがみこんだ状態で、顔だけを出して周りを警戒する。
「おっおい、どうしたんだ、時田」

 ただひたすら、いやいやをする時田君。
 やがて何かを思い出し、カバンから一冊の資料をつかむと、キャップである藤崎に無言で投げてよこした。
「おい、時田投げるなよ。それになんでしゃべらないんだ?」
 ただ、首を振る時田君。

 変な奴だと思いながら、藤崎は資料を見はじめ、つい声に出して読んでしまった。
 その瞬間、
「声に出すなぁ」
 と時田君が叫ぶ。

「おっ、おい、どうした?」
「声に出しちゃダメなんだ。……噂をすれば、奴が来るんだよ。ダメなんだ……」

 時田の状態が気になり、他社だが知り合いの記者に連絡を入れて、今日のダンジョン総括管理局の記者会見で、何があったのかを聞こうとした。
 だがどの記者も知らないか、だんまりで電話を切られた。

 すぐ後に、都市伝説系雑誌にある記事が掲載された。

 死の神はあなたを見ている。
 噂をすれば彼はやって来る。
 気温が下がり始めたら、もうあなたの命は終わり……。

 記事の作者が書いている内容によると、体験者すべてが口を閉ざしていて、詳細は不明。

 それでも何とか、自身の命を懸け独自取材を敢行した。
 その結果。分かった事は、
 秘密をしゃべれば、死がやって来る。
 その時、現象として急に気温が下がる。
 背中に寒気が走り、足が立たなくなる。
 絶対に、秘密を言葉にしてはいけない。
 言えば必ずあなたの元へ、死神が死を引き連れてやって来る。
 と言うことが、繰り返し書かれていた。


 総理は雑誌の記者に、ダンジョンの危険性と、レベル上げの重要さを書いてくれと依頼したのに、そのことには一切触れられず。

 確かにあの時、伝説となっている記者会見で何が起こったのかを聞かれて、つい言ってしまったが、そちらのことばかり書かれてしまうとは、予想をしていなかったようだ。
 
 総理の思惑から外れ、死の使いがやって来ると言う、都市伝説が作られ掲載されてしまった。
 記者に連絡して苦情を言うと、最後に締めくくりとして、『死から逃れるにはダンジョンに行ってレベルを上げよう。そうすれば逃げられるかもしれない。』と一応書かれていた。

 意外なほど、売れたそうだ。
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