勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり

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第4章 少しずつ変わって行く世界

第2話 本日、所により騒動が降って来るでしょう その2 

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 その後は、まあ大騒ぎになった。
 パトカーに救急車。
 一応、みんな生きていたようだ。

「あー神崎くん。何があったか、聞いても良いかね」
 総理まで、自ら出てきやがった。
「こっちは被害者ですからね。よくある集団ヒステリーじゃないですか? 暖かくなったし」
 俺の言った言葉を聞き、何故か頭を抱えている総理。

「おや? 頭痛ですか。熱中症じゃないですか?」
「いや、気にしないでくれ。ちょっと落ち着いたら、必ず連絡を入れるから。こっち側にいてくれよ」

 ……? ダンジョンのことがバレているのか? まあ無視っておこう。
「じゃあ、一旦帰るか」
 そう言って美月と、ゲートを潜る。



 家へ帰り、リビングへ向かう。
 そこでは、ソファーに座る壮二に対して、川瀬さんが、正面から壮二の顔を挟み、両手をソファーの背についている。
 壁ドンソファーバージョンだな。

 川瀬さんは、お尻をふりふりしながら、壮二とにらめっこ状態。
 壮二は、川瀬さんに至近距離から見られるのに照れて、顔を背ける。
 壮二が向いた側へ回り込み川瀬さんが見直す。
 また、顔を背ける壮二。
 壮二の顔が、いい加減真っ赤だな。

 気が付いていない二人に声をかける。
「なんだ、いじめか?」
 声をかけると、すごい勢いでびっくりする川瀬さん。

「はははっ、ちょっと可愛いもので、にらめっこを」
 そう言いながら、壮二の頭を撫でる。
「本当…… 好きだったよ、坊や」
 と、どこかで聞いた台詞を言い残して、部屋を出ていくなつみ。

「なんだ、壮二。お前一翔を、殺ったのか?」
 ブンブンと、顔を振る壮二。
 だが顔が、真っ赤だ。


 かわいい、でも素直になれなくて。
 いじめちゃう。
 嫌われたらどうしよう……。

 一翔にはあんなに簡単に好きって言えたのに。
 年上なのに、こんな、好きすら普通に言えないなんて……。
 いじめると、嫌われるのがわかっているのに……。
 ううぅ。

 なつみはさっきの様子と違い、苦悶しながら廊下をトボトボと歩いていく。


 川瀬なつみ16歳。身長157cm 。
 中学校から陸上をやっていたが、中学3年の受験勉強時に体重と胸が育ち、高校で記録が伸び悩む。
 そこで安易に短距離から中長距離に変更しようかと悩んでいた、そんな折。
 ダンジョンでモンスターを倒すと、記録が伸びると話を聞く。

 練習が休みの間に、同じく記録が伸び悩んでいた、伊織霞を含む友人達とダンジョンへと潜るようになる。

 たまの休みに潜る程度だったため、レベルアップ自体も知れたもの。幾度かのダンジョン再構築で前回よりも強力なモンスターに会い、思わぬところで危機に陥っていた。

 そんな所を、救助される。
 
 陸上のおかげか日焼けした肌と、スラッとして引き締まった痩身。
 肩にかからない程度に切りそろえた髪。
 二重だがパッチリした目。
 はっきり言ってかなり可愛い系の顔である。
 あまり会っていないが、玲己とキャラがかぶっている。

 同時に助けられた、伊織霞は顔と性格がもう少しきつめ。
 胸も合わせて、ビシッと痩身。

 救助されたシチュエーションの助けもあったのか、自分たちが困って待ち望んだ助け。すっと差し伸べられる手。
 その手をつかんだ瞬間。男子に免疫がなかった為と、いい加減、彼氏が欲しかった焦りから、なつみ視線で美形度300%増しになっていた一翔に、ころっといってしまう。
 本人の中では、いま疑問が出ていて苦悶中。


 さて。一司は、二人の事をしばらく考えていたが、
「まあいいか、何とかなるだろう」
 そうつぶやきながら、まだ眼の前で、赤い顔をしてぽーっとしている、壮二を見る。

 ダイニングの片隅に移動すると、おもむろにグラスを出す。
 サーバーでビールをついで一気に煽る。
 それを見た、美月が焦る。
「ちょっと、連絡来るんでしょう。いいの?」
 と美月に言われるが、一司はピンと来ない。
「あん、何が?」

 その返事を聞き、額に手をあて、
「総理が、連絡するって言っていたじゃない」
 呆れたように言ってくる美月だが、何で焦っているんだ? としか思わない一司。

「で? なんで、そんなに焦っているんだ?」
「今飲んだの、ビールでしょう」
 そう指摘されて、じっと手に持つグラスを見る。
「おおっ、なんで」
 やっと気がついて焦るが、もう飲んだ。今更一緒だ。
 移動はゲートだ。

 そう思い直して、もう一杯注ぎなおす。
 それを見て、美月は諦めた。
 自分もグラスを出して、チェリー・シロップとレモンを少量加えて、炭酸とジンでステアする。

 そうして、まったりしていると連絡が入る。

「はい、神崎です」
「今病院から、官邸に来たから来てくれ」
「はーい」
 ブチッと通話を切り、ビールグラスとつまみを持ち、美月を抱えてゲートに潜る。

 総理官邸の応接室。
 突然、空間が歪み黒い渦ができる。
 そこから現れたのは、右手にビールグラスを持ち、イカの1日干しの足を口から大量に生やした一司の姿。
 SPが1歩下がり銃を抜く。

 すかさず、自分の周りにシールドを張ると。一司は慌てず。
 もぎゅもぎゅと、イカの足が食われて口の中へと消えて行く。

 その画は、欧米人にはきつかったのか、すごく嫌そうな顔をしている。
 ぐっと、手に持ったビールで流し込む。
「おまたせしました」

「ああ忙しい所、済まなかったね」
 その様子を傍観していた、総理が言ってくる。
「それで、このふざけた連中は、一体何ですか? すぐに、人へ銃を向けてくるのですが。日本人としては、大変遺憾です」
 
「あー」
 立っている連中の後ろから、声が聞こえて、通訳さんが伝えてくる。
「私は、アメリカ大統領をしている、ジェンセン・アレクスというものだ」
 と、おっさんが一歩前に出てくる。

 それに対して、右手を差し出して。
「はーい、あいむ、かずし、かんざき」
 と言って握手をする。

 すると、もう一人いるようで
「私はアメリカ合衆国大統領首席補佐官 ジャレッド・バタツギだ」
 と言って、また手を出してくる。
「はーい」
 と言って握手する。
 仕事で知り合ったアメリカ人は、こんな感じだった。
 適当だが良いだろう。
 当然、俺のあとで美月とも、握手していたし。

「それで、ご要件は?」
「ああ、まずはうちのSPが申し訳ないことをした」
 そう言ってきたので、ニコッと笑いながら、
「お互い様だが、気をつけないと死ぬぞ」
 と忠告してみる。あくまでもにっこりと笑いながら。

 その様子を見て総理が引きつっているが、こっちは、撃たれそうになったんだ。

「ああっ、承知した」
 と言ってきた。思ったよりより大人だな。

 通訳さんに何かを耳打ちして、スマホをこちらに出してくる。
 なんだくれるのか?
「それで要件だが、通信アプリのフレンド登録をお願いしに来た」
 くれないのか。フレンド登録?
「はあ?」
 そう言うと、見たことのないアプリを指さし、横から通訳さんが、
「さあ、指定アプリはこれだ。DLしてくれ」
 と言ってきた。ストアで指定された文字列を検索すると、見たことがないアプリがヒットした。
 周りに星が飛んでいる鷲のアイコンだ。
 さっき見たのと同じようだ。

 ダウンロードをして起動をすると日本語対応。
『近くに友人がいます。追加するなら、レッツダンス』とコメントが表示される。
 見ると、大統領も補佐官も踊っていた。仕方が無いから2人に合わせて、ツイストを踊る。

 すると、友人が追加されていた。
 これ、今はなきフリフリだよな。
 本人が踊る必要があるのか?

「よし、入れたな。では、君の携帯を人質…… ジョークだ。その物騒な電気の塊を消してくれと言っています」
 馬鹿な大統領のお陰で、通訳さんも必死だな。
 周りに居る者たち皆。
 髪の毛が逆だっている。
 大統領は手を上げているが。
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