勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり

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第4章 少しずつ変わって行く世界

第31話 対話と得た物 その1

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 なつみと霞はその晩。一緒のベッドで話し合い、なつみは壮二にきちんと告白して話をするときめた。そして霞は一翔を教育すると宣言をする。



 そして俺は、みんなの寝静まった夜中の2時。
 フレイヤと一緒に、なぜか鵜戸の神社裏へ来ていた。
 2時になったのは偶然だ。
 酒飲んで風呂へ入ってグダグダしていたらこの時間になっただけ、昼間は鵜戸家の人に見つかったら鬱陶しそうだしな。

 社の裏には縦横5mはあるだろうか?大きな穴が奥へと続いており、入り口には太さ15cmほどの角材で隙間部分が縦横30cmほどの格子が組まれ、幾箇所かに札が張られてしめ縄が張られていた。

〈ふーん。自然洞窟を誰かが広げた感じだが、鏨(たがね)にしては突いた傷跡が長いな〉
 すでに格子の奥へと入り込んだ一司は、洞窟の壁面を観察する。
 フレイヤと並んで、奥へと向かう。


 爺が起きだして
「何者かが結界へと入った」
 そう言って、刀をつかむと走っていく。
「ぬっ。体が軽い。こんなにも、急激に変わるものなのか」

 駆けつけるが、格子の前にも洞の中にも誰も見えない。
「おかしいな? 確かに結界からの警告が来たのだが。どこにも破った跡がないな。面妖な。ぬっ、丑三。人ならざる者の仕業か」

 そのとき、木の葉を揺らす風が吹き抜ける。
「おおっ、戻ろう」
 その時どこかで、猫の鳴き声がわずかにしたが、気が付かなかったようだ。


 少し前。奥へと入っていくと自然洞窟だが、穴の大きさが変わらない。多少の歪みや鍾乳石。崩落による堆積があるが、これは長年の積み重なりのせいか?

〈海蝕でこんなになるのかね?〉
〈誰かが掘ったものが、数千年で壊れた感じにゃ〉
〈それに比べ、新しい削られた跡があるな。爪痕か。伝承もあながち間違ってなくて本当に湧いてくるようだな。うん? 行き過ぎたか〉
 少し戻ると、うっすらと空間に歪みがある。

〈ここだな〉
〈これは、ポイントじゃなく、本当の歪みのようにゃ〉
 そう言って、空間をゆがめ。フレイヤはぴょんと入っていった。

 じっと見ていて、俺も中に入ろうかと思ったとき、時間にして2~3分程度だろう。
 また、ぴょんと出てきた。
〈中はドゥアトじゃなく、ほかの神の管理する世界にゃ。オーガとかが居るから、こっちへたまに出てきたのかもね〉
〈潰しておくか〉
 空間魔法で干渉して、歪みを消す。

〈問題はどうしてこんな所へ、歪みができたかだ。もっと奥へと行こうか〉
「にゃ」

 しばらく奥へと進むが…… 深いな。

 もう、5~6kmは歩いている。

〈うん? 今なんだか干渉したよな〉
 そう言って隣を見ると、フレイヤがその場でくるくる回り始めて、数回まわると壁に向かって歩いて行く。

〈ここで、行き止まりにゃ〉
 そう言って戻って来る。
〈何してんだ?〉
〈なにって? 行き止まりだったにゃ〉
〈そりゃ壁だからな〉
〈壁にゃ。他には、何もなさそうだにゃ〉
 と言って、さっさと帰ろうとし始める。

 うん? よく見ると、器用に目がグルグルしているな。
 額にデコピンをしてみる。
 まだぐるぐるしているから抱え上げて抱っこをする。
 珍しくじっとしているので、そのまま奥へと進んでいく。


 うん? また干渉だ。
 中へ入ると、20mほどの丸い部屋の中心に、3mほどの光の玉が浮いている。
「何だこりゃ?」
 警戒しながら、触れてみると景色が変わる。

 池か川かは分からんが、水辺に立っていた。
 向かい側には、ちょっとした島があり建物が建っている。
 朱塗りの橋が架かっているので、歩き始めて橋へ足を掛けた瞬間。
「こら」
 という、穏やかだが威圧の込められた言葉が聞こえる。

「うん?」
 後ろを見てみると、優男が立っていた。
「お前はまだそっちへは入れん。それに、よその神を抱えてどういうつもりだ?」
 目線を下ろすと、褐色肌をして髪の長い20歳くらいだろう。なぜか、一糸まとわぬ美人さんをなぜか抱っこしている。
 ぽっと、顔を赤くして。
「にゃあ、おろして一司」
 と言ってくる。
「ああ」
 誰だよと言っても、フレイヤしかいないよな。

「とりあえず着といてくれ」
 と言って、服を渡す。しげしげとみて嫌そうにしながらも、着込んでいく。

「もう良いか? 帝釈天。記憶と力を転生するときに封じているようだから、少し手助けをしてやると、菩薩さまからの託だ」
「誰だお前?」
 ごん!
 頭を殴られた。動きがみえねえ。
「本当に、すべてを封じたのか。仕方のない奴だな。ほれ」
 光る玉をこちらへ、渡してくる。

 受け取ろうと、手を伸ばすと額へ飛んできた。
 きいーん。と硬質な音が鳴り、頭と体から何かがはじけた。

 又かよ。
 頭があああぁ…… 一司の体から、光を纏った力が噴き出す。
「おおっ」
 抑えろ。ここでならましだが、下界でその力だと肉体が耐えられない。
 何を簡単そうに。

 できないんだよ。
 偉そうにしやがって…… なに様……あっ、孔雀様? げっ。明王じゃん。

 こっちの世界には、階位がある。
 明王は俺の上。
 修業を積む訓練生(天部)の教官にあたる。
 さらに上には菩薩や如来が居る。

 修行のために自分に施した封印が、思いのほか強すぎたのか、一切の記憶と力が抑え込まれていたようだ。さっきの球は、菩薩様の思し召し(おぼしめし)か。
 いいけどまた、体が再構築される。

「にゃ? また、目や鼻から血が出ている。ところでここ何処にゃ?」
 スカートで胡坐を組んで座り込み、両手のこぶしを顎に当てて、小首をかしげる。
 その姿は、かわいいが、目や鼻から血が出て苦しんでいる人間にいま聞くなぁ。

「にゃ?」
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