勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり

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第4章 少しずつ変わって行く世界

第35話 修羅の国から混沌へ

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〔いきなりですか?〕
 俺は聞き返した。
〔目を合わせては駄目です〕
 なんだかその話を聞いて……おらワクワクしちゃうぞ。

 いや、しちゃったんだもの仕方が無い。
 すぐに、カンガルーが居ないか気配を探る。
 周りに点在しているが、山側に固まっているところがあるな。
 残忍だ、後回しだな。

 エージェントスミスも、うんうんと頷いている。何かあったのか?

 一応、仕事について確認をしておく。
〔今回は、野良のモンスターを駆除で良いのですよね?〕
〔そうです。わが国には、島もありますので忘れずに。ミスター神崎〕
 エージェントスミスが、取ってつけたような説明をしてきた。

〔さてっ、それじゃあやろうか。サーチして…… おう? 見たことがあるモンスターが居るな。大きくはないがサンドワーム? 地下5m位か面倒だな。砂漠の作戦第2段だな。攻撃を2回に分けよう〕
 魔法で雨を降らせて、這い出して来た奴に空間断。

 後は、普通の野良ゴブリンやオーク達だから風で良いな。
 周辺に、余波で風が巻き起こる。


〔どうしました? 問題でもありましたか?〕
〔いや砂漠に、サンドワームと言うモンスターが居るのを見つけまして〕
〔サンドワームですか?〕
 通訳のウィルソンさんが、地図を持ってきて
〔どの辺りですか?〕
 この辺りです。とグレートオーストラリア海から少し内陸に入った部分を指し示すと、
〔グレートビクトリア砂漠ですね。あの辺りならまあ良いかな?〕
 そう言って、ウィルソンさんが返して来るが、
〔ダンジョンが、近くにあるから調査した方が良いですよ〕
 と、忠告をしておく。

 そんなことを言っていると、さっきの突風で興奮したのか、森の方からオラオラなカンガルーが一匹出て来た。
 さっき固まっていた集団だな。

 ウィルソンさんとエージェントスミスが、
〔〔ひぃ〕〕
 と、どこかの下っ端戦闘員のような声をあげて下がる。

〔目を合わさず、ゆっくりと下がってください〕
 と言われたが、ワクワクしているおらは下がらない。

 150cmを超えるサイズ。
〔あれは、オオカンガルーです。気を付けてください〕
 と、ウィルソンさんが説明してくれる。

 カンガルーは、こちらを睨んでくる。
 負けじとこちらも睨む。

 奴は、すすすと、近づいて来ると、尻尾を使い伸びあがるようなパンチを打って来る。
 俺は、そのパンチを受け止め。
〔良いパンチだ〕
 と余裕をかましていると、尻尾を支点にドロップキックもどきがやって来た。
 少し下がって躱し、着地したところで距離を詰める。

 戦っていると、周辺に見物のカンガルーが増えて来る。
 すると、こそっと、ウィルソンさんが、
〔本来カンガルーは、同じレベルの相手としか喧嘩をしなかったんですが、モンスターを倒した個体が狂暴化しています。下手をすると、あれ全部が襲ってきますから、なんとかしてください〕
 泣きそうになりながら、言って来た。

〔どうれ。うりゃ〕
 軽くジャブを出すと、顎を引いて避けられたので、追撃で右ストレートを上がった顎をめがけて撃ち込みに行く。すると目の端に蹴りが放たれたのが見えた。
〔ちっ、体の伸び切った所に、蹴りはまずいな〕
 少し踏み込み、前へ出る。
 それにより相手の蹴りを殺す。
 そのまま手打ちになったが、右ストレートが顎に入る。

 当然しっぽだけで支えていたカンガルーは、ひっくり返り、驚いた様子でぶったね、親にもぶたれたことが無いのに。という顔で、ぼーぜんとしている。

 その瞬間、周りの野次馬カンガルーが一歩を踏み出して来たので、周りに威圧をかける。
 すると、すべてのカンガルーの動きが止まり〔やべええぇ〕と言う感じで散らばって行った。
 ふと見ると、さっきのカンガルーもいつの間にか居なくなっていた。

〔いなくなりましたね〕
 と笑うと、
〔あんた一体?〕
 とボソッと言われたが、
〔思ったより、強くなくて拍子抜けだ〕
 とだけ返した。

〔さあ、これで良いかな?〕
〔ちょっと確認する〕
 と言って、エージェントスミスがあたふたし始める。

〔連絡は取れた。駆除の確認は取れたよ。アンダーソン君〕
 連絡用イヤホンから手を放し、エージェントスミスが顔をこちらに向けて無表情で言ってくる。
〔はあ? 俺は神崎だ。アンダーソンはアンタだろう〕
 無表情が崩れて、再びあたふたし始めるエージェントスミス。
〔ああいや、失敬。神崎君〕

 こいつ某映画のマニアだな。
 そう俺は確信しながら、ゲートをくぐり家に帰った。

「あっ大統領に、完了の連絡を入れるのを忘れた」
 謎アプリを起動して、メッセージを送っておく。

 一仕事終わったので、ビールを飲んでいると、学校に行っているはずの川瀬なつみちゃんがゾンビの様に徘徊していた。
「どうしたんだ? 学校はどうした」
「あ゛ー。かんざきしゃん」
 本当にゾンビかよ。

 泣きそうな顔をしながら、
「気分が乗らなくて、帰ってきました」
 と言って来た。喋れるのか。
「ビール、おいしいですか?」
「うまいよ」
 俺がそう言うと、ふっと手が出て、グラスを奪おうとする。

 だが甘い。
 君とはレベルが違うのだよ。
「まだ高校生だろう。駄目だ」
「けち」
 向かい側に座り、テーブルの上に伸びる。
「どうしたんだ?」
「一翔と別れて、壮二君一本勝負中だったのに、トンビに攫われた」
「あー。そりゃすまん」
「一歩違いだったのよ。昨夜告っておけば、きっと間に合ったのに……」
 そう言って、テーブルと椅子をがたがた揺らす。

 駄々っ子か?
「おいやめろ。ビールが。グラスが倒れる」
 ピタッと止まる。

 テーブルの上に乗せた手を、こっちにわさわさと伸ばしてきながら、
「一司さん。一司さんて、定員多いですよね。慰めてください」
 顔を上げて、そんな事を聞いてくる。
「定員てなんだよ」
「美月さんと玲己さん。二人とも相手をしてるでしょう」
「そりゃそうだが、お前はまだ高校生だ。周りに男なんぞ腐るほどいるだろう。八重歯をキラッとかさせる奴を捕まえろ」
「そんな奴は、性格が悪いと決まっているんです。雑魚キャラか敵キャラの王道です。普段目立たないとか、いじめられキャラが力を持つとか、開放するのが良いんですよ」
 そう言いながら、テーブルの下へずるずると消えて行った。
 フレイヤみたいなやつだな。テーブルの下を覗き込むと、すでに顔があった。

「うわっ」
 と言ってのけぞると、画面から出て来る女の人の様に這い上がって来た。
 俺の体を。

 目が座っていて、結構真面目に怖い。
 人の膝の上に跨ると、胸元にすりすりしながら、
「慰めてぇ~」
 と言ってくる。

 抱っこしたまま、俺はにへっと笑顔を作り
「はいはい。なつみは頑張れる。強い子だよ」
 と適当に流しながら、頭をなでる。
「適当な、良い奴拾って来れば。鍛えてやるから、がんばれ~」
 なんて言っていると、玲己が来るよね。

「お前。大学は?」
「いや授業の合間に、ご飯を食べようかと思って帰って来たんだけど。うーん。なつみちゃんか。増やすの?」

 増やすのって、なんだよ。
「いや、壮二に振られたから慰めてだと」
「ふーん。まあ良いんじゃないの?」
「何がだ?」
「3人目じゃないの?」
「馬鹿野郎。こいつ高校生だぞ」

 そう言った瞬間、玲己の雰囲気が変わる。
「大丈夫じゃよ。もう少しで、そんな事気にもならなくなるさ」
「うん? お前、誰だ?」
「ひどいわ、玲己よ」

 ……俺は黙って、神気をあててみる。
「ぐわぁ。ちょっとやめて、いつの間に力を取り戻した」
「昨夜」
「おまえ、竜神か?」
「いかにも。器として弱かったが、お前が調整してくれて快適になったぞ」
「やめろ。お前オスだろうが?」
「いやそんなものは無い。睦事も気持ちいいのをはじめて知ったぞ」
 そう言われると、なんだか気持ちが悪い。

 どうしてやろうと考えていると、
「魂レベルで融合したからの、分離はお釈迦様でも無理だろう。あきらめろ。お前を愛する一人の女だよ」
 そんな事を言って、ぽっとほほを赤く染める。

 一瞬で気持ちがなえる。
「なんだよこの状況」
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