勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり

文字の大きさ
147 / 167
第4章 少しずつ変わって行く世界

第42話 灼熱の国

しおりを挟む
 その日の日本は、そろそろ梅雨入りしようかと、空が企みだす少し前。
 よくある良い感じの天気だった。
 朝から、家の皆はインドへ行くため、ウキウキしている。


 だが彼らは知らない。6月のインドにおいて、普通の日本人は暮らせない世界だと。

 ただ浮かれていた。
 そう、インドはすでに雨季。日中は40度を超える。

 ガイドブックにも、『観光は、この時期を避けた方がいいでしょう』と明記されている。

 そんなところへ、全員集合して行こうというのだ……。

 なぜか、最近。午前中は寝ている美月も「懐かしいわね」と言って参加となった。
 フェンとフレイヤも、ついて行くとノリノリだ。
〈今回ダンジョン探査は無いぞ〉
〈気にするにゃ〉


 11時50分になり、ゲートをくぐる。
 ゲートをくぐった瞬間に、もわっと感じる湿気。
 9時AMなのに、すでに30度近い気温。
 ここはインドの中央。ナーグプルの外れにある自然公園。
 蚊が怖いので、全員体の周りに薄いシールドを装備中。開発した専用の虫よけ魔道具である。
「まずは、ちょっとお仕事だ」
 一司はそう言って、ぽつんと立つ2人へと向かう。
 立っている二人は、一般的な褐色人種。

「Mr.神崎?」
「ああ」
「大人数なので、驚きました」
 男の一人が言ってくる。
「割り増しにはならないから、安心してくれ」

「私は、通訳のクリシュナ・ラム・クマリです。彼が、協会のエージェントでシヴ・グル・シングです」
〔観光もしたいから、さっさとマップをくれ。国内の野良モンスターの殲滅でいいんだよな?〕
 そう言うと、2人が驚く。
〔はい。私たちも、そう聞いています〕
 言葉が分かるじゃないか。なんで通訳が必要だと連絡が来たんだ? クリシュナは悩む。
〔じゃあ始めようか〕
 意識を広げて、マッピングする。
 この位の湿気なら、大丈夫だろう。

「ガーン」
 という音とともに、インド国内に雷の雨が降る。
〔確認してくれ〕
 なんだ今の? 世界が白くなった。
〔はっはひ。確認します〕

 エージェントが、あたふたしている。シヴってシヴァ神だよな。普通にそんな名前が居るのか。

〔神崎様は、この国へ来るのは初めてですか?〕
 復活したクリシュナが、問いかけてきた。
〔ああ、初めてだ〕
〔この後観光するとのことですが、少し注意を。店の開店は提示された定時より1時間程度遅く開くと言う事と、閉まるのは時間通り。道を聞いても、教えることを優先するため、合っているとは限りません。それに食事は…… 日本人の方だと、おなかを痛くすることが多いようです。ホテル併設の店で、食事する方がいいでしょう〕

〔そうなのか? 店の開店が遅いというのは?〕
〔私たちは、国際的組織に属していますから、9時と言われて少し早めに来ていましたが、一般の人なら、大体…… 今、家を出るくらいか、下手をすると今起きるくらいでしょう〕
〔わかった。基本が、ルーズなんだな〕

〔Mr.神崎。確認が取れました。いやあ素晴らしい〕
 シヴが大興奮だ。
〔それはよかった。この時間に、開いている店を教えてくれ〕
〔〔ちょっと、待ってください〕〕
 おう、二人の声がそろったな。

〔食事? どこがいい?〕
〔この時間なら、朝食時間だが、ホテルは宿泊客優先じゃないのか?〕
〔かといって、普通の店はやばいだろう〕
〔そうだ、グルメガイドサイトの上位の店なら、国際的要人が飛び込みと言っても、対応できるのじゃないか?〕
〔ちょっと、連絡してみよう〕

 シヴがあたふたしながら、サイトで見かけた店に連絡するようだ。
〔世界ダンジョン対策協会。シヴ・グル・シングと言うものだ。アメリカ大統領の友人一行が来ていて、案内をしたいのだが、対応できるか? ちょっと待ってくれ。神崎メニューは何がいい?〕
〔できれば、ランチメニューがいいな。日本は昼だったんだよ〕
〔分かりました。 ああすまない。ランチメニューで12人分だ。……わかった、よろしく頼む〕
 そう言って電話を切ると、
〔対応できるそうだ。1時間ほしいとは言われたが〕
 通訳のクリシュナと、ごちゃごちゃ言っているな。

〔じゃあ、バスを回して来る。ゆっくり来てくれ〕
 そう言い残して、シヴが走っていく。

 その様子を見て、なんとなく察した。
〔なんだか、無理を言ったな。悪かった〕
〔いいえ、対応できるようです。バスを回しますので、こちらへどうぞ〕
 一司は手招きをして、みんなを呼ぶ。
 だが、すでに暑さにやられてきているようだ。

 ぞろぞろと、駐車場へ向かって歩きはじめる。
 バスに乗り、走り始めるとエアコンが効いてきた為。みんな少し復活したようだ。
 日本だと、まだ作っている最中だろうと思えるような道を進むと、住宅地とビルが見え始めた。
〔インドのほかの都市は、もっと近代的ですよ。ここは、中心だと言っても地方なので、こんな感じですが、ムンバイやデリーは高層ビルがどんどん建っています〕
窓の外を眺めていると、クリシュナが教えてくれる。

〔気温を考えると、緑が多いほうがいいのじゃないか? コンクリートで固めると、人間が住めなくなりそうだ〕

〔そうですね、ムンバイとデリーはプラス5度で、この時期40度近いですね〕
〔それで、人間大丈夫なのか?〕

〔インドは13億人を超えて、増えています〕
 そう言って、びしっと親指を立てるクリシュナ。

 インドは気温も、人間もすごいな。

 そして1軒のホテルに、バスは到着した。
 迎えに出てきた関係者は、俺たちを見て思っていたのと違うというのが顔に出ていた。まあアメリカ大統領の友人? には、違いはないぞ。文句があるなら、本人を攫ってくるぞ。
 まあフレイヤとフェンにも、文句は言われず。個室が作られていた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい

空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。 孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。 竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。 火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜? いやいや、ないでしょ……。 【お知らせ】2018/2/27 完結しました。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。 父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。 そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。 彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。 その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。 「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」 そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。 これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

処理中です...