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第5章 空間崩壊と混ざり合う世界
第6話 白夜の国
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四天や八部鬼衆が器探しをしていた頃。
一司に、電話がかかって来る。
〔世界中が大変で、君も忙しいだろうが、受けてくれるかね〕
〔なんでしょう? ひょっとしてグリーンランドのスルトでしょうか?〕
〔よく分かったね。スルトと言うのか。あれだけは、どうしようもなくてね〕
〔あれを失敗して落としたのは、身内なので責任はとりましょう〕
ぼそっと言ったが、聞こえたようだ。
〔失敗? 落とした?〕
〔いいや。気にしないでください。とりあえず、確認できるなら座標を下さい。誰も近付かないように〕
〔わかった。頼むよ〕
〔なんだか、会話の中に不穏な言葉が聞こえたね〕
大統領が、呟く。
〔身内が起こした失敗だとおっしゃっていましたね。神崎様何者なのでしょうか?〕
〔まあ、言ってくれんだろうな……〕
失敗をした本人。
可哀そうだが、壮二を連れて行こうとしたら、みんなが付いて来た。
メンバーを把握して、転移。
転移中に何か干渉したな。
誰かがシールドを張っているのか?
「うん? あれ」
一司の目視録。
第1章 海からの獣たち
私は、獣が海から上がって来るのを見た。
その獣の後ろにもさらにもう一匹。波間から姿を現した。
わたしが見たこの獣たちは、最初の獣は黒く小さく。そして次の獣は白く少し大きかった。
この獣たちは、種類は違えど。頭にピンとした角のような耳を持ち。
豹に似ており、足は波間で取られひょろつき、口は獅子の口のようであった。
2匹はひどく不満をまき散らしていた。
空から海に落とされたように、空を見上げ何かをつぶやく。
その姿はひどくやせ細り、白き獣もまた細かった、だが着実に海から上がり、やがて、何かの儀式のようにそろって体を震わせると一回り体が大きくなった。2つの獣は私を見つけ、私の方へとやって来る……。
獣の額には666の文字が…… 無かった。
ブブブルと体を振って水を払い、
〈ひどい目にあったにゃ〉
〈ほんと。何か干渉した感がした。主たちは何処でしょう〉
〈うん? ああ来た。一司こっちにゃ〉
そう言って、二本足で立ち手を振る。
どうも状況を考えると、転移途中に、誰かの張ったシールドにはじかれたらしい。
「誰かが、スルトを抑えるためにシールドを張ったようだな」
〈いい迷惑にゃ。にゃ。しょっぱい〉
「ああ海水だからな。水で洗ってやる」
シャンプー、リンスまですると、一回り大きくふわふわになった。
この2匹なら、人間用でいい気もするが、一応ノミとり効果のある専用品。
「さあ行こうか。みんなには攻撃をしてもらっている」
「うーん。効かないね」
「どういう理屈なんだろう? この世界まだ大きいのは耐えられないって一司さんが言っていたのに」
みゆきと玲己がぼやく。
「でも攻撃した時に、一瞬小さくなるから効いてはいるのよ」
やっと復活した美月がほえる。
「ずるいわよね。久しぶりに出てきていきなり私の番だなんて言って、追い出すんだもの」
玲己がぼやく。
「おねむりなさい」
そんな言葉を紡ぎ、柔らかな光を発するなつみ。
家の中で、クリスタルを拾ったそうだ。
光に触れたところが、ボロボロと崩れていく。死をいざなう光。
「ひょっとして、あれって群体なのかしら?」
なつみの光で崩れる様子を見て、神音がぽつりと言う。
「そうなのか? なら、どうやって復活をしているんだ?」
壮二が質問する。
「基本こいつは黒き炎を纏っていたのだから、魔素じゃないの?」
「魔素は今、結構濃度が上がっているのか?」
「そうじゃない? 上に穴が開いているし」
見上げると空にはぽっかりと開いた穴。
覚えのある壮二は、上を見上げて頭を抱える。
「美月さん。普通の炎はやめて。あいつ吸収して増えた」
「えっ。あれ?」
「あれっじゃない。やめろと言うとるだろうが」
美月のお尻に、玲己の蹴りが入る。
「たくもう。一司さん早く帰って来てよぉー」
すると、玲己の後ろから声がする。
「ほーい。2匹のシャンプーとリンスに時間がかかった。どんな状態?」
「神音ちゃんが言うには、群体みたいよ。あっ2匹ともふわふわ」
玲己が2匹を、もふりはじめる。
「群体ね。クラゲみたいなもんだな。囲って切ってみるか」
そう言い、スルトの周りを空間切断して一つの空間へ納める。
閉空間の中で、さらに空間を切り始める。
「確かに。空間を切っても個別で生きているな。面倒だフレイヤ頼む」
「にゃ」
つぶしていくと、その中の一つに真っ黒な魔石が出てきた。
それを切ったその瞬間、周りの炎も消えていく。
ずんと音を立て落ちてきた魔石が、ぱかっと割れてなぜか崩れて消えてしまった。
「あれが本体だったのか?」
そんなことを言っていると、目の前にクリスタルそれも2個。
〈やっぱり。2個だとだめにゃ。怪物になるのにゃ〉
そんなことをフレイヤが言っているが、俺はすでに3個。
そして、このクリスタル。俺の前から動かねえ。
いやな予感しかしないが、手を伸ばす。
ああー、入ってきやがった。
そしてまた、体がきしみ始める。
『増殖』『結び』
増殖は分かるが、結びってなんだよ。
ああリンクとかマージね。頭に情報が降って来た。
体が再構築されて、芳雄ほどじゃあないが筋力アップ。
今回は、30分ほどで体が動くようになった。
寝転がったまま、目の先に見える空に開いた黒い穴。
「とりあえず閉じるか」
目の前に広がっていた穴を閉じる。
逆再生の様に黒い穴が閉じていく。
そして、目線を上げると、うれしそうな美月の顔。
倒れていた間、膝枕をしていたらしい。
「はい」
と言って手を伸ばしてきた、玲己に手を引かれて立ち上がる。
「帰ろうか」
そう言って、みんなを連れて転移をする。
スルトの炎による赤い空は、白い白夜の空である静謐なものに戻り、うすい太陽が存在を示していた。
そしていつの間にか、グリーンランドを覆っていたシールドはなくなっていた。
一司に、電話がかかって来る。
〔世界中が大変で、君も忙しいだろうが、受けてくれるかね〕
〔なんでしょう? ひょっとしてグリーンランドのスルトでしょうか?〕
〔よく分かったね。スルトと言うのか。あれだけは、どうしようもなくてね〕
〔あれを失敗して落としたのは、身内なので責任はとりましょう〕
ぼそっと言ったが、聞こえたようだ。
〔失敗? 落とした?〕
〔いいや。気にしないでください。とりあえず、確認できるなら座標を下さい。誰も近付かないように〕
〔わかった。頼むよ〕
〔なんだか、会話の中に不穏な言葉が聞こえたね〕
大統領が、呟く。
〔身内が起こした失敗だとおっしゃっていましたね。神崎様何者なのでしょうか?〕
〔まあ、言ってくれんだろうな……〕
失敗をした本人。
可哀そうだが、壮二を連れて行こうとしたら、みんなが付いて来た。
メンバーを把握して、転移。
転移中に何か干渉したな。
誰かがシールドを張っているのか?
「うん? あれ」
一司の目視録。
第1章 海からの獣たち
私は、獣が海から上がって来るのを見た。
その獣の後ろにもさらにもう一匹。波間から姿を現した。
わたしが見たこの獣たちは、最初の獣は黒く小さく。そして次の獣は白く少し大きかった。
この獣たちは、種類は違えど。頭にピンとした角のような耳を持ち。
豹に似ており、足は波間で取られひょろつき、口は獅子の口のようであった。
2匹はひどく不満をまき散らしていた。
空から海に落とされたように、空を見上げ何かをつぶやく。
その姿はひどくやせ細り、白き獣もまた細かった、だが着実に海から上がり、やがて、何かの儀式のようにそろって体を震わせると一回り体が大きくなった。2つの獣は私を見つけ、私の方へとやって来る……。
獣の額には666の文字が…… 無かった。
ブブブルと体を振って水を払い、
〈ひどい目にあったにゃ〉
〈ほんと。何か干渉した感がした。主たちは何処でしょう〉
〈うん? ああ来た。一司こっちにゃ〉
そう言って、二本足で立ち手を振る。
どうも状況を考えると、転移途中に、誰かの張ったシールドにはじかれたらしい。
「誰かが、スルトを抑えるためにシールドを張ったようだな」
〈いい迷惑にゃ。にゃ。しょっぱい〉
「ああ海水だからな。水で洗ってやる」
シャンプー、リンスまですると、一回り大きくふわふわになった。
この2匹なら、人間用でいい気もするが、一応ノミとり効果のある専用品。
「さあ行こうか。みんなには攻撃をしてもらっている」
「うーん。効かないね」
「どういう理屈なんだろう? この世界まだ大きいのは耐えられないって一司さんが言っていたのに」
みゆきと玲己がぼやく。
「でも攻撃した時に、一瞬小さくなるから効いてはいるのよ」
やっと復活した美月がほえる。
「ずるいわよね。久しぶりに出てきていきなり私の番だなんて言って、追い出すんだもの」
玲己がぼやく。
「おねむりなさい」
そんな言葉を紡ぎ、柔らかな光を発するなつみ。
家の中で、クリスタルを拾ったそうだ。
光に触れたところが、ボロボロと崩れていく。死をいざなう光。
「ひょっとして、あれって群体なのかしら?」
なつみの光で崩れる様子を見て、神音がぽつりと言う。
「そうなのか? なら、どうやって復活をしているんだ?」
壮二が質問する。
「基本こいつは黒き炎を纏っていたのだから、魔素じゃないの?」
「魔素は今、結構濃度が上がっているのか?」
「そうじゃない? 上に穴が開いているし」
見上げると空にはぽっかりと開いた穴。
覚えのある壮二は、上を見上げて頭を抱える。
「美月さん。普通の炎はやめて。あいつ吸収して増えた」
「えっ。あれ?」
「あれっじゃない。やめろと言うとるだろうが」
美月のお尻に、玲己の蹴りが入る。
「たくもう。一司さん早く帰って来てよぉー」
すると、玲己の後ろから声がする。
「ほーい。2匹のシャンプーとリンスに時間がかかった。どんな状態?」
「神音ちゃんが言うには、群体みたいよ。あっ2匹ともふわふわ」
玲己が2匹を、もふりはじめる。
「群体ね。クラゲみたいなもんだな。囲って切ってみるか」
そう言い、スルトの周りを空間切断して一つの空間へ納める。
閉空間の中で、さらに空間を切り始める。
「確かに。空間を切っても個別で生きているな。面倒だフレイヤ頼む」
「にゃ」
つぶしていくと、その中の一つに真っ黒な魔石が出てきた。
それを切ったその瞬間、周りの炎も消えていく。
ずんと音を立て落ちてきた魔石が、ぱかっと割れてなぜか崩れて消えてしまった。
「あれが本体だったのか?」
そんなことを言っていると、目の前にクリスタルそれも2個。
〈やっぱり。2個だとだめにゃ。怪物になるのにゃ〉
そんなことをフレイヤが言っているが、俺はすでに3個。
そして、このクリスタル。俺の前から動かねえ。
いやな予感しかしないが、手を伸ばす。
ああー、入ってきやがった。
そしてまた、体がきしみ始める。
『増殖』『結び』
増殖は分かるが、結びってなんだよ。
ああリンクとかマージね。頭に情報が降って来た。
体が再構築されて、芳雄ほどじゃあないが筋力アップ。
今回は、30分ほどで体が動くようになった。
寝転がったまま、目の先に見える空に開いた黒い穴。
「とりあえず閉じるか」
目の前に広がっていた穴を閉じる。
逆再生の様に黒い穴が閉じていく。
そして、目線を上げると、うれしそうな美月の顔。
倒れていた間、膝枕をしていたらしい。
「はい」
と言って手を伸ばしてきた、玲己に手を引かれて立ち上がる。
「帰ろうか」
そう言って、みんなを連れて転移をする。
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そしていつの間にか、グリーンランドを覆っていたシールドはなくなっていた。
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