勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり

文字の大きさ
165 / 167
第5章 空間崩壊と混ざり合う世界

第10話 夏休みの工作 その4 初めての錬成

しおりを挟む
 ぼやいていたのを、聞かれたらしい。

「こんな高エネルギーの中で、ふざけるのはよして。笑うと力が抜けるから」
 せっかくの、白い世界。
 異世界転生ごっこをしていたのに、突っ込みが入った。
「真魚。突っ込みありがとう」
 真魚は顔を赤くして、うふっと笑う。

「さてと、どう考えても強力すぎたな。まあーた、力の制御ができなくなってやがる」
 俺はそうぼやいたが、
「あーでもほら、さっきの人も」
 真魚が指さす先で、ルシファー君がシールドを張っていた。
「なるほど、さすが高位の天使だけのことはあるな」

 そんなのんきなことを、一司たちは言っていたが。



 フェンと、玲己。芳雄とみゆき。
 突然、足元が割れ光が吹きあがる。
「やばっ。シールド」
 シールドは間に合ったが、そのまま吹き飛ばされる。
「どっひゃあぁぁぁ」


 美月と八部達。
「あら、このエネルギー? 一司だと思うけど。やばい。シールド位張れるわよね?」
 ぱらぱらと、手が上がる。
 そう言っている間に、振動し始める。
「ああん。もう」
 全員に、ひとまとめでシールドを張る美月。
 その直後。光が溢れ吹きあがっていく。
「すごい綺麗。光で真っ白」
 八部の誰かが、そんなのんきなことを言う。
「出てみる? 魂ごと消滅するわよ。誰か手伝いなさいよ。結構厳しいんだから」
 そう言われて試すが、形になる前に術が破壊される。
 とりあえず、壊されながらも底にだけシールドを重ねていく。


 壮二と神音。一翔と霞。それになつみと四天の3人。
「あれ地震?」
 壮二が振動に気が付く。
「違う。シールド早く」
 慌ててみんなが集まり、なつみがシールドを素早く張る。すぐに光が周りを包んでいく。
 吹き飛ばされて、すぐに、見たことのある表層をぶち破り、さらに天界へと飛び込むみんな。

 ほどなくして、光は収まり押し上げてくる力が抜ける。
 ゴンと音がして落ちたのは、浮島状態になっている天界側の陸地の一つ。
 先ほどまでと違い、軟らかな光に満ちた世界。




 その頃、地球側。
「キシッ」
 と、嫌な音を空がたてて軋む。

 そのあとすぐに、リング状に広がっていた黒い割れ目から、光が溢れ始める。
 その光を浴びた、野良モンスターは焼かれて消えていく。

 だが不思議なことに、その光に熱は無く、ただ明るい。
 後日、病気やけがが治ったとの報告が相次いだ。

 空が割れたときも、地上では最初の衝撃波と、黒い亀裂にみんな驚いたが、騒いでいるのは一部で、問題が無いと分かると、すぐに通常の生活に戻った。

 戻っていないのは割れた空の下、幅200kmで空が割れているため昼間でも日が差さず薄暗い。各国から集まって来た学者とジャーナリストは赤道直下での気温低下が地球に及ぼす影響がと、声高に叫んでいる。
 だが、一方、あの罅(ひび)が地上に届けば終わりと気楽に今を生きようとしている人たちもいる。
 誰が正しいかはわからないが、とりえず通常通りに生活を行うことを選択した人が、大多数であった。

 

 そして、その原因達。
「しぶといな」
「貴様に言われたくはないな。何者だお前?」
「今頃かよ。おれは、神崎一司だ。そっちが少林真魚で、そっちは、フレイヤはまずいかセクメトだな」
 素直に、真魚とフレイヤが控えめに手を上げる。

「ふざけるな、確かに生身を持っているようだが、先ほどの力。そんなものが人間に使えるわけがないだろう」
「ああ。階位は天部だ。まだ、修行の途中だな」
「階位だと? 生身を持って我らと同じ? 1厨いや1柱だと? うん? そこの女も同じだが、そっちの女は違うな?」
「ああセクメトは、そのまま魔素で体を構築のままだな。もとはエジプト辺りだったか」
 話をしながら、何かを悩んでいるルシファー。

 ちなみに、上部をすべて吹っ飛ばしたらしくクレータの底。空間は別階層でダンジョン的に構築していたらしく、いくつもぶち抜いたが、穴の深さは4000~5000m程度だろう。
 空もぶち抜いたらしく、天界から柔らかな光が降り注いでいる。

 周りをぼーっと見ていると、
「おい。頼みがある」
 翼の生えたエンジェルさんが、何かを言ってくる。
「あん? なんだ」
「俺の体を、物質で創れ。いや創ってくれ。頼む」
「なんだ? ロスにでも行って、ルシファーごっこでもするのか?」
「ああそれもいいな。だが、暗い穴の底でいるのはもう嫌なんだ頼む」
 そう、ルシファーが言うと、フレイヤことセクメトが、
「わかる。一人でいるのは辛いわよね」
 そう言って頷きあっている。

 そう言えば、フレイヤが再三そんなことを言っていたよな。
「わかった。試してみよう」
 2人の顔が明るくなる。
 意識を集中して、情報をリードする。

「見た目は羽なしの今の状態な」
「先ほどの、演出の……」
「ファンとして、却下する。それに、アメリカにでも行ったときに驚かれるから駄目だ」
 酸素、水素、窒素、塩素、マグネシウム、ナトリウム、カルシウム、カリウム、硫黄、炭素、リン。
 とこれを、混ぜながら構築して…… ふと気になり、周りをきょろきょろと見回す。

「どうしたの?」
 ワクワクしている真魚とフレイヤだが、気になったのか真魚が聞いてくる。
「いや門が出てくると、嫌だなと思ってな。気にするな」
 うん門は出てこないな。つい人体錬成だと、あるアニメの一コマが思い出されて、きょろきょろしてしまった。

 間抜けな顔をしても超絶美男子な、ルシファー。
 ルシファーをスキャンして、身体情報をもとに構築していく。
 でかいなこの野郎。部分的にデフォルメしてやろうか。

 うーんスキルのおかげか、問題なく構築されていくが、気持ち悪いな。骨格から内臓や筋肉、血管がどんどん生えてくる。
 ついでに、服も作ってかぶせて、最後に、2人をつかんで重ね合わせて定着させると、電気刺激を加える。見事「どっくん」と心臓が動き始めた。

「よし、成功かな」
「どうだ? 動けるか?」
 未来から転送して来たばかりの暗殺者のような、膝をついたポーズだが、無事立ち上がった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい

空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。 孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。 竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。 火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜? いやいや、ないでしょ……。 【お知らせ】2018/2/27 完結しました。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。 父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。 そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。 彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。 その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。 「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」 そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。 これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

処理中です...