人類最強は農家だ。異世界へ行って嫁さんを見つけよう。

久遠 れんり

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第1章 異世界との遭遇

第17話 来た!

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 そして待つこと6日。

 昼下がり、屋敷の廊下に、メイドさんたちの悲鳴が響き渡る。
「松田様。窪田様。いらっしゃいませ」
「適当なサイズで、買って来たよ」

「そうだよな。本当なら、きっちり測らないとだめなんだよ」
 そう言うと、赤い顔をして答える皆。
「さすがにそれは、まだ結婚まえですし」

 初めて来た時は、俺たちは得体のしれない、きもい奴ら。
 だが最近は、歓声が起こる。
 真一の鼻の下は、もう少しで尺越えだ。


 適当に、下着を渡す。
 本当に見た目だけで選んだサイズ。
 買う時に、日本の店員さんから貰った冷たい目。
 想像してくれ、量販店とはいえ、数十の女性下着を買いあさるおっさん。
 通報案件だ。

 最初など、
「僕は窪田真一です。次男ですが、家業を継ぎ、嫁さんを探しています。ええと。継ぎましたが、農作業は僕がしますので苦労はさせません」
 などと言っていた。

 多分、聞いたメイドさんは、意味が解らなかっただろう。
 こっちでは、農家と言えば、農奴。
 土地に縛られ搾取される存在。

 あるメイドさんからは、松田様は最初、人のおしりばかり見る。失礼な人とばかり思っておりました。まさか、服の生地を見て、私たちの為に心を痛めて下さっていたとは思いもよりませんでした。と、言われた。

 まあ、結果良ければという所だ。
 最近、こちらに向かう足取りが軽い。

 で、あの壁の所からのぞいている、まるで『~は見た』とタイトルの付きそうな人たちはなんだ?

「あの~、松田さんと、窪田さんでしょうか? わたしぃっ」
 言いかけた女の子。
 いきなり、途中で突き飛ばされた。
「すまない、司教ををしているクリストフェル・ヘーグリンドと申します。あっあなた、欠損部分を復活できると言うのは本当でしょうか。ならば私の弟。その失った腕を治してください。お願いします。あいつは、私の聖魔法。治療の練習に傷をつけ、そのために腕を失ってしまったんです。なにとぞ」

 とりあえず、きゃんきゃん言っている司教さんは無視。
「だいじょうぶ?」
 突き飛ばされた、女の子を立たせる。
「ありがとうございます」

「司教さん。必死なのはわかるが、女の子を突き飛ばすのは、いかがなもんだ?」
 言われてはっとしたような顔は、一瞬する。だが、この国の常識では、女の子は一段身分が低い。

「ああすまない。少し取り乱していた」
「領主さんの方が先に請け負っているし、色々約束もある。それが終わってからでいいか? それとも、弟さんをこっちに呼べるか?」
 そう言うと表情が変わる。
「治して頂けるなら呼ぶ。あいつは、片腕のおかげで、まともな職にもつけず、下男扱いなんだ。すぐ使いを出して呼び寄せる」
「じゃあ俺たちも、そっちの方が都合がいい。そうしてくれ」
「分かった。すぐに手配をする」
 そう言って、血相を変えて走っていった。
 
「やれやれ。で、あんたたちは」
 振り返り3人を見る。

 さっき助け起こしたセミロングの髪の子。きっとどこかの会社で、受付でもしていそうな、おとなしい感じ。
 そして、少し髪がショートの活発そうな子。
 そして、少しおとなしそうな? 人のよさそうな感じの、きっとモテそうな兄ちゃん。

「僕たち、この国に勇者召喚されてきたんです」
 思わずそれを聞いて、目を見開いてしまった。
「驚いた。まじで?」
「まじです」
 横から、ショートの子が答える。

「空間的に近いんだな。きっと。それで、いつ頃なの? さらわれたのは」
「えーともう、1月ほど前です」
「11月の頭位かな」
「そうです」
「じゃあ、同じ世界と言う可能性はあるな」
「えーと、11月の頭」
 新聞をバサバサと取り出す。
 ゴミ捨て場に出すのを忘れて、そのまま亜空間収納庫に収納していた。
「あーと、この辺りか。見たことある記事ある?」
 そう言うと、みんなが広げて読み始めた。

 ショートの髪の子が、
「テレビの番組表が変。違う国なんだ」
 と言い出した。
「地方だからな。あるのは民放3社だから、映らない局があるんだよ」
 えっと言う感じで、新聞を見直し
「あっ、高知って書いてある。高知って九州だよね」
 と言う。
 それを聞いておれは、やれやれという感じで答える。
「それなら、違う世界だな。うちは四国だ」

 そう答えると、髪の長い方があっと言う顔をする。
「そうよ高知って土佐じゃない。桂浜、坂本龍馬。四国よ四国」
「えっ。そうだっけ?」
 髪の短い方が反応する。
「四国は、高知。徳島。愛媛。香川がある。四国88か所も有名だろ。海〇堂 ホビー館とか、あと香川のうどんとか。小豆島の24の瞳とか色々」

 すると、ぼそっと兄ちゃんが
「そうだよ、四国88か所。水曜どう〇しょうで回っていた。絶景の国高知だ」
 よく知っているな、そんな古い番組。ああ今でもやっているのか?
「じゃあ、四国。九州説はなくなったな。お嬢ちゃんの間違いだ」
 口を尖らし、
「ぶーぶーぶー」
 と言い出した。
「そんなこと言うやつ、初めて見た」

「それはとにかく、帰れるのね」
「勝手に帰っていいのか?」
「確か呼ばれた理由は、魔王からこの町を開放してとか、言われて呼ばれたんだから良いんじゃないの?」
「なら良いのか?」

「あっ、私たちの記事」
 その記事には、午後8時ころ、東京都渋谷区恵比寿1丁目〇-〇付近の路上を歩いていた、男女3人が突然開いた穴に落下。行方不明となっています。身元を確認するため警察では情報提供をお願いしています。
 などと言うことが、書かれていた。

「ああこれか。お昼のニュースでは、もう少し詳しくやっていたぞ。開いた穴がすぐ閉じて酔っ払いの狂言かと思われたが、近くの防犯カメラに写っていて大騒ぎになったって。確か道路を掘り返したらしいぞ」
「じゃあ、おなじ世界確定ですね」
「まあ、そうと言う事でもないけどな。おなじ時に、別の世界に召喚された奴が居るかもしれないし」

「ああまあ、そうですね。でどうやって来ているんですか?」
「うん? 俺たちが入ったダンジョンの奥で、こっちにも道がつながっていた」
「ダンジョンて、日本側。一般人立ち入り禁止でしょう」
「知らん。言われてない」
 そう言って、顔をそむける。
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