人類最強は農家だ。異世界へ行って嫁さんを見つけよう。

久遠 れんり

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第1章 異世界との遭遇

第28話 巧妙?

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 のぼせてるんじゃないか。
 そう思い、慌てて風呂場へ向かう。水音とともに聞こえた物は、
「あっ、うっうんっ。あぁあっ……」
 そんな声。

 そんな声が聞こえて来た場合。
 若者なら、たじろぐか聞き耳だろうが、おっさんはたじろがないし容赦しない。
「何してんだ。いいかげん、さっさと出ろ」
 そう言い放ち、風呂場を後にする。


 「っつ」
 うぎゃー。気づかれた。聞かれた。
 ……ぜったい。

 信じられない。
 体を洗っていて、ひょっとして、今晩望まれるかもとか思って…… 隅々まで洗っていたら、スイッチが入っちゃったのよ。
 ううっ。
 向こうじゃ、プライベートなかったし……。

 体を流して、もう一度お湯につかる。
 あーもう。変なところばかり……。


「どうだった? 倒れてなかったか」
「ああ元気そうだよ」
「元気そう? なんだそりゃ、覗いたのか?」
「覗いてない。声だけかけて帰って来た。もうすぐだろ」

「そうか。しかし、どうするかな」
「とりあえず、自分で親に連絡してもらって、後は警察だ。東京で行方不明。高知で発見。それもダンジョン経由で帰ってきた。あのダンジョン没収されると嫌だな」
「そういえば、発見報告だけして、国の管理だったな」

「無知な俺は、あれがダンジョンだと知らなかった」
「そんなもの、通るわけないだろう」
「通す。向こうで村人に教えてもらい初めて知った。そして、向こうでは携帯がつながらなかったし、警察もいなかった。それに、向こうで領主の足をもう一本生やさないといけないんだよ」
「領主の足を、……生やす? なんだ、何か治療でもしているのか?」
「まあ、俺の力だ」
「そりゃ、便利だな」

 そんな事を言っていると、足音が聞こえる。
「お先にいただきました」
 殊勝にそんな事を言って来るが、両手に鎧を抱えている。
 とりあえず着ているスエットは、俺のだから溺れているな。
「おいて来りゃ、後で取りに行くのに」
「大丈夫です。このくらいなら」
 そう言って、俺たちのビールをチラチラ見る。

「なんだ、いるのか?」
「チューハイの方が」
「あるぞ、冷蔵庫を見てみろ」
 そう言うと、あわててのぞきに行く。
 カシスとオレンジのやつを持ってきた。
「ほれ」 
 そう言って、グラスを渡す。

 すると親父が、
「ざっと話は聞いた。無事の生還おめでとう」
「あっ。ありがとうございます」
 乾杯して、飲み会が始まる。
 当然? だが焼き肉だ。

「あーっおいしい」
 満面の笑みだな。
 こいつ、笑うとかわいいんだよ。


 その後、家族へ電話させる。
 説明をしているようだが、その花嫁修業兼お試しという物騒な言葉は何だ。
 親父はニコニコと微笑んでいるし。

 向こうの親は、すぐに飛んでくるそうだ。
 空港まで、1時間半はかかるな。
「迎えに行った方が良いか?」
「あーそうだな。日章からじゃ不便だ」
 ※日章はにっしょうと言って、地名です。
「だが、最終が午後7時くらい。無理だな。よかったよ。今からだったら、誰も運転できん。明日の朝なら9時だな」

「約束で思い出した。17日に警察が来ると言っていたが、明日行くならそれで済むか」
「ああ。家の山にあったダンジョンの、宝箱を遺失物で出したんだよ。それのことだろう」
「なんだ、ダンジョンというのは、宝箱まであるのか?」
「あるよ。色々。今回は7階の分だけだから、たいした物が入ってないけど、100階を超えてくると、破邪の剣とか150階を超えるとハデスの槍とかもあったな」

「なんだか名前だけ聞いても、やばそうだな」
「でもないぞ。破邪の剣なんぞ、途中? 170階くらいで出た蛇。確かヨルムンガンドとか言うやつには効かなかったし」
「そうなのか」
「ああ。演出で、大体槍が飛んできてもフェイクだしな。雷の方がましだ」
「そりゃスロットの話じゃないのか?」
「似たようなものだろ」


 そんな馬鹿な話をしていた数時間前。
 アミサム側ダンジョン20階。
「ゆうくん」
「なっ。行ったはずじゃ」
「心配だから、帰ってきたの。何なら最下層登録したから一緒に飛べるし」
「何だよ馬鹿だな」
「力には余りならないけど、知らないところで何かあるのもいやなの」
「分かった。一緒に行こう」

 そう言って勇者君は、15回目の20階。
 その扉を開く。



 自衛隊。
 突発的な遭遇戦で、なんとか危機的状況を脱したが、ここで、物資輸送の危機を迎えていた。
 輸送するためには、必ずここを通らねばならない。
 そのため、運ぶ隊員は必ず戦闘が発生する。

「ううむ。どうするか」
「入り口を、開け放していると、出口側が開かないとは。巧妙だな。少しずつ運ぶしかないな。なるべく少人数で大きく運ぼう」

「はっ。承知しました」


 そして、
「あっこいつ寝やがった」
「精神的にも、疲れていたんだろ。寝かせてやれ」
「座敷かな?」
「そうだな、布団を用意して寝かそう」
 布団を敷いて、寝ている酒井さんを抱え上げる。

「おいせ。結構軽いな」
 布団へ寝かせると、ガバッと抱きつかれキスが、舌が。
 親父がそこに。

「あーお休み」
 おやじ、ふすまを閉めるな。
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