人類最強は農家だ。異世界へ行って嫁さんを見つけよう。

久遠 れんり

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第1章 異世界との遭遇

第32話 アミサム側でも大騒ぎ

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「具合はどうですか?」
 領主は俺が渡した松葉杖をついて、歩き回っていた。

「体は、すっかり元気になりました。松田様のおかげです。そういえば、ヘーグリンド司教があなたを探しておりましたが」
「ヘーグリンド司教が? まあ良い。先に足を生やしましょう」
 俺はそう言い、領主を椅子へ座らせて、魔法をかける。
 膝から骨が生えだして、その周りを肉や血管が包んでいく。

 最近見慣れたが、最初は結構来る物があった。
「おっおおぅ。まだ少しむずがゆいが感覚がある。無くなっていたときは、痛みがあっても擦ることもできず困っていたが、これでその悩みもなくなった。松田様ありがとうございました」
 そう言って、深々と礼を言われる。

 こんなことは少ないので、非常にくすぐったい。
「ああまあ。ゆっくりと、ならしてください。司教はどこに?」
「ああ。昨日弟さんが来られたようだから、部屋へ行っているのかもしれない」
 歩くのはまだぎこちないが、本人がうれしいようで直接案内をしてくれる。

 部屋をノックすると、返事が聞こえる。
 中へ入ると、司教ともう一人。
 司教を、痩せさせた感じの男が椅子に座っていた。
「おおおっ。松田様。これが我が弟です。よろしくお願いいたします」
 そう言って、椅子から立ち上がり走り寄ってきた。

 弟さんも立ち上がり会釈をしてくる。
 左腕が肩の下。二の腕から無いようだ。

「司教の魔法を練習させるため、自身の腕を傷つけ、感染症のため切り落とすことになったとか?」
「はい。そうですが、後悔をしては居ませんが、兄の方が気に病んでいまして。申し訳ありません」
「じゃあ、治しましょう」
 そう言って、魔法をかける。

 さっきと同じように、閉じていた皮膚が開き、骨が出てくる。
 いつも思うが、痛くはないのだろうか?

「おおお。奇跡だ」
 司教さん。見るのは初めてだったのか?
 弟さんも呆然とみている。
 痛くはないようだな。

 やがて、手が生え終わる。
 もっと小さい頃に失ったようだが、生えたのは成人の腕。違和感はない。

「どっどうだ?」
「ああ動く。動くよ、にいさん」
「よかった」
 そう言って抱き合う。

「松田様」
 そう言って、司教さんが抱きついてこようとするが、顔が涙と鼻水で大洪水。
 思わず、アイアンクローを食らわしてしまった。

 ジタバタしている司教さんを横目に、弟さんに聞く。
「違和感とかは、ありませんか?」
「大丈夫そうです。ただ、いろいろな動作が下手ですね」
「まあ、それは練習してください」

「松田様。放してください。頭が割れる」
「ああすいません」
 右手を放す。

 ぐったりと、倒れ込む司教さん。

 脇で、領主さんが頷いている。
「そういえば、松田様。前に言っていた店の件。いつでも開店はできますが、いかがいたします?」
「それだが、ちと事情が変わってな」
「何かトラブルでも?」
「ああ、こっちでの話じゃなくてね」

「お忙しいのであれば、エーリッキ。弟が、読み書きができます。王都での仕事は辞めましたから使ってください」

「じゃあ、持っているものだけでも売ってみるか」

 俺のものだという店に行き、持っている物。
 砂糖に塩。小麦粉。乾麺のパスタやうどん。インスタントラーメンをだす。
 ダンジョンなどで、じじいやばばあ達に振る舞った残り物だ。
 繊維の反物は、買いに行くのが面倒だったのでまだ買っていない。
 通販で買えばよかった。

 塩は焼いてる。
 さらさらだし、熱で塩化マグネシウムを変性させ、吸湿性も減るので使いやすくなる。
 砂糖は三温糖。
 
 小麦は25kgの袋が残り5袋ずつ、パン用とうどん用。多分強力粉と中力粉だろう。
 そういえば、業務用500gのドライイーストもあるな。


「さてと、今ある物はこんな物だが」
 みんなの目が大きくなっているのは、量のせいか力のせいか。

「松田様。織物と言うことではありませんでしたか?」
 執事が聞いてくる。
 品物の問題だったのか。
「ああ今回。間に合っていない。とりあえず住人が困っていればと思い。持っている物を出してみた」

 俺がそう言うと、物を見始めた。
「これは塩? えらく細かい。それにこの粉は?」
「その紙袋は小麦。パン用とそこにあるような麺類用。グルテン量つまり含まれるタンパク量が違うから粘りと堅さが違う。それで、その色の付いた物は砂糖だ。そうだ、麺用にスープの素も出しておこう」
 業務用、スープの素を取り出す。

 だがしきりに紙袋や、ビニール袋を見ている。どうも気になるようだが、
「それは持って帰る。売るなよ」
 一応、釘を刺しておく。

 使い方と、小麦粉とドライイースト、砂糖、塩の分量も教えて、釜はあるようなのでパンを焼いてもらった。本当なら牛乳やらバターやら必要だが、なしで試す。

 ところが、この乾麺やパン。それにインスタントのスープ。
 王都にまで噂が広がり、物議を醸す。
 茹でれば食べられて、日持ちもする。
 画期的な物が売られている。
 パンは、ふんわり甘い。それだけだが、大騒ぎになったようだ。

 それに、農村部で広がっていたピザ。
 魔王が帰ったことと、欠損部を治せる治療師がいること、この大陸コンテネンスで徐々にプローペの町は、奇跡の町として知れ渡っていく。

 ついでに、勇者がいなくなったことも。
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