人類最強は農家だ。異世界へ行って嫁さんを見つけよう。

久遠 れんり

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第2章 異世界開拓

第50話 操業開始

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「えー、では皆さん。指示に従い。作業を開始してください。講師は、さすらいの裁縫人、斉藤良子先生です。では最初。机の上に型紙がありますので、布に写してください。生地が今回麻なので、水につけ濡らしてあります」

 ざわざわと、声が起こり、至る所から型紙って何? と言う、声が聞こえる。
「手順は簡単、皆さんの前に型紙と呼ばれる物。これです」
 ぴらぴらと、型紙を振ってみせる。

「これに合わせて、布を切る。そして、それを縫い合わせば、服ができあがります。私から見て、左から、小さいサイズ。中くらい。大きめと並んでいます。縫い物になれていると言われた左側3列は、子供用。右半分は大人用です。この、斉藤先生が見本を見せますので、よく見ておいてください」
 ぴらぴらと斉藤さんが、正面にぽつんとおいた机で手を振る。

「型紙を、ハトロン紙に写します。その後、縫い代も写して、ノッチ(合印)や縫い止まり、布目線も忘れずに。布目線とは、製図や型紙に描かれている矢印の記号で、型紙を写したハトロン紙を布に乗せる際に、矢印の方向が布のタテ地の方向になるように書いてある物です」
 ざわざわと、している雰囲気の中で斉藤さんの作業を見ながら、自身達も作業を開始する。

 慣れない作業。途中で悲鳴も上がるが、ここではまだ、布は切っていないので被害は少ない。

 わいわい言いながら、パーツ事の転写が終わり、斉藤さんがチェックをしていく。

 合図が来たので、次に進む。
「はい。注目っ。次はいよいよ、布を切っていきます。机の上に重りが置いてありますから型紙を乗せて、ズレないようにしてください。角は無理にぴったりに切らず5mmほど、余分に切れば切りやすいそうです。ポケット位置やタック部分も忘れずチャコペーパー(複写紙)とルレット(後をつける為の、円盤にギザギザが付いた道具)で印をつけてください」
 また、斉藤さんの手本を見ながら、作業が始まる。

 その後、実際の作業だが、作業机を回りながら、手順を教えていく。
 後は、ほつれ止めをして、組み立て作業に入る。
 縫い方の手法を、必要な物だけ教えて行く。
 最初は、かがり縫いからだけどね。

 見ていると、そのほかは本返しでほとんど縫って、裾や袖部分のみ千鳥で縫っていた。

「徐々に教えますが、早くて。丈夫に綺麗。が基本ですから」
 そう言って、斉藤さんは笑っている。

「まあそうだな。今日が初でいきなり欲張っても仕方が無い。安く住人に提供できるのが優先だからな。これができれば、住環境だな」
 そう。基本的、衣食住の充実。
 俺はそれだけを、思っていた。

 この世界。生活が厳しく、平均寿命は50歳を切っている。
 俺たちは、ご隠居に近い歳。
 最初に来たとき、見た目は若いが、結婚してすぐにお別れは困ると、ぼやかれた。

 だから復興とともに、食の充実。
 次は、衣。
 金ができれば、集合住宅をどこかに建ててやろう。

 とにかく、工場は動き始めた。


「ご苦労さん」
 斉藤さんを連れて、慰労会を開く。
 家でやっても良いが、近くの店に来ている。
 焼き肉のタレを、こそっと卸している店。

 カウンターと、5~6人座れるテーブルが6つほど。
 この世界では、普通サイズの店。

 エールは通常の上面発酵のもの。
 常温で、発酵させと言うか、勝手にできるとか言っていた。
 フルーティでアルコール4%ていど。
 まあ口当たりの良い、アルコール飲料。

 串に突き刺した焼き肉を皿に盛り、タレが掛かっている。
 生野菜は、食えないから、煮物が付いてくる。
 生の野菜など、寄生虫が怖い。

「お疲れさん。操業開始だな」
「お疲れ様です。ですが、やはり分業制にした方が、効率は良いのかもしれません」
「まあそうなんだが、意識改革が必要かと思ってね」
「意識改革? ですか?」

「ああこっちの連中。仕事はさせられる物なんだよ。プロだから良いものを作ってとかそんなプライドを持っているのは一部だけで。ほとんどは、親がやっていたとか、他にできることがないからとか。そんな奴ばかり。プライドがないから、痛み掛かった物でも平気で売る。ひどい奴らは雑穀混ぜたり、かさ増しで砂を入れたり」

 そういうと、この前の馬車事故のおっさん達。
 あいつらの顔が、思い浮かんだのだろう。
 斉藤さんの顔がゆがむ。

 あいつらから、賠償金を取ったが、後日脅しに来た。
 となりの領主が商会に関わっており、こんな事をしてプローペごと潰してやると息巻いていた。

 手を出そうとしたので、ぶん殴り突き出した。
 きっちり、言っていたことも、衛兵に伝えた。

 うん? カウンターに魔王がいる。
 肘で、真一を突っつく。
「うん? どうした」
「カウンターに魔王が座っている。角があるのに、どうしてみんな騒がないんだ?」
「えっ。魔王さん。角ってどこに?」
 斉藤さんの言葉で理解する。

「幻術でも使っているのかな?」
 俺がそう言うと、真一が乗ってくる。
「面白いから、声かけてみるか?」
「そうだな。魔王なら色々詳しいだろうから、聞いてみるか。ちょっと連れてくるわ」
 そう言って俺は、カウンターへ向かう。
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