人類最強は農家だ。異世界へ行って嫁さんを見つけよう。

久遠 れんり

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第2章 異世界開拓

第65話 噂

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 最近、プローペで、聞き捨てならない噂は流れる。

「ねえ聞いた?」
「なぁに?」
「あの軍団がいるでしょう」
「あーうん。例のあの人達ね」
「すっごく、色っぽくなって。モテモテみたいよ」
「わかるぅー。この前。道ですれ違ったけれど。なんて言うの? 男を引きつける魅力みたいなのが、すごかったわぁ」

 道行く男達も、思わず振り返る。

「あれって、ダンジョン攻略のおかげかしら?」
「それなら、私もいけるかしら。最近旦那が、ほかの女に色目を使うのよ」
 そんな噂が立ち、人材派遣仲介協会では、「募集はないのか」と問い合わせがひっきりなしに来始める。

「色気? そりゃ元々、まともに食えていなかったんだ。栄養が足りれば、出るところは出るだろ」
「あーそうか。そうよね。生理もなくなっていたって言う人。多かったもの」
 美咲が、すっとぼけたことを言ってくる。

「突然どうしたんだ?」
「昨日。人材派遣仲介協会で聞かれたのよ。追加はないかって」
「追加なあ。当初はそう思っていたんだが、リスクを考えるとな。どうしたって俺たちの誰かが、付いていた方が良いだろう。おまえ、一チーム面倒見るか?」
 そう言うと一瞬考え、
「私はまだ、妾を容認できない」
 そう言い切る。俺が押し倒される前提かよ。

 そうだよな。真一は、幾人かに押し切られたようだし。
「真一に家を建てるか」
「どうなんだろう? 順におたく訪問をしているみたいよ」
「その方が平和なのかね。まるで奈良時代だ」

「誰か手を出すのなら、先に会わせてね」
「随分毒されたな」
「だって、話をするたび、非常識扱いされるんだもの。独占欲丸出しで、旦那がかわいそうって」

「まあ。こっちはどうあっても、日本人と言うことだ。無理に合わせることはない」
「他の子。気にならないの?」
「……別に」
「なに? 今の微妙な間は」
「ナニモ、ナイヨ」


「隊長。最近、ダンジョンの中で、笑い声とか話し声が聞こえません?」
「幻聴かと思ったが、おまえもか?」
「大体あれが聞こえると、ダンジョンが消えるのですよね」
「やっぱりな。結構、子供ぽい声で怖いだろ」
「なんの話ですか?」
「いやな、」

 この声の正体、ホラーではなく。
 ダンジョンでは、階層が変わると音などは聞こえないが、魔力は連続している。
 それに気がついた子供達が、魔力に声を乗せることを思いついた。
「大丈夫。降りてきて良いよ」
「分かった。皆突撃」
「いやっホー」

 こんな感じで、階段ごとで声を掛け合う。
 ところがこれが、日本側まで届いているようだ。

 それが、情報として。俺たちのチームの中で、共有される。そして皆が使うようになった。

 新技術により、悲劇は起こる。

「ねえねえ。真一さん。行こう」
「あん? 今攻撃中だろ。もうちょっと待てよ」
「だって、最近忙しそうだし。ちょっとだけ」
「ちっ。俺そんなに早くないぞ」
 そう言って、別通路へ消える。

「あれ? ねえ、この声」
「あー。真一さんと? この声は、エルミかな?」
「そういえば、居ないわね。声が魔力に乗って」
「あーうん。こっちまで、変な気分になっちゃう」
 そう。エルミの嬌声が、いや思念まで魔力に乗って垂れ流される。
 皆影響を受け、モンスターを倒しながら、もじもじし始める。


「ひっ。隊長。とうとう、女性のすすり泣きまで、聞こえるようになってきました」
「ああ。俺にも聞こえる。全体攻撃中止。一度ダンジョンを出るぞ」
「これって、すすり泣きと言うより。あれ?」
 一部の隊員は気がついたようだが、脱出し。それから、1時間ほどでダンジョンは消えた。

「やっぱり。真一さんとエルミ。何処でやってたの?」
「なんの話だ?」
「隠しても無駄。エルミの思念が、ダンジョンに響いていたから」
 それを聞いて、真っ赤になるエルミ。
 さすがに、恥ずかしかったようだ。

「窪田さんずるい。さっきので女が疼くの。責任とってよ」
「さすがにこの人数。できるか」
 そう言って、逃げ始める。

 現れたモンスター達は、災難をうける。
 結果。ダンジョンは最短時間で、攻略されることになった。
 だが、逃げられず。
 真一は、転移して姿をくらます。

 そのせいか、その晩。
 プローペで、酔って暴れたチーム連中により、悲劇が起こされる。
 話を聞いた俺は、頭の中にサバトが浮かぶ。
 不幸中の幸い。そのおかげで、幾人かカップルができたようである。

 笑いながら、魔力に思念を乗せるのは危険だなと痛感する。
 俺たちの魔力なら、この世界中に声を降らせそうな気がする。

「笑い事じゃないわよ。とんでもないわ」
「そうだな。気を付けろ。町中に嬌声を降らすと、町中が発情するぞ」
「げっ。それでなくとも、こっちの世界。皆そういう事にオープンなのに。とんでもない事になりそう」
「ほれほれ。我慢しろ」
「あっやっ。ちょだめ。ああっ」

「真一様。噂ですが、幾人かお手付きにしたと、聞き及んでおります」
 目の前に居るのは、カリーネ。そして、横に控えるシーラ。

「迎えるなら迎える。お遊びでしたら金銭でも払い。きちっと収めてください。お立場上。醜聞でも出れば、松田様にまでご迷惑が及びます。よろしいですね」
「えーあ。はい。気を付けます」
 親に紹介をすると言い出した時から、カリーネに妙な貫禄が出始め。すっかり尻に敷かれている真一。

「それと土地を、ハーパラ様を通し、キルペライネン様より頂きました。間借りではなく、屋敷を御用意下さい」
「はい」
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