人類最強は農家だ。異世界へ行って嫁さんを見つけよう。

久遠 れんり

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第3章 アミサム王国 動乱

第85話 あちらこちら、万感の思い

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「よし。では言え」
「ただの散歩」
「続けろ」
 クスティが指示を出すと、兵たちがくすぐり始める。

「いやあぁぁ。ごめん。悪かった言う。言うからあぁ」
 クスティが右手を挙げると、兵たちの動きが止まる。

「はあ、はあ、はあ。容赦の無いこと。くすぐったいのが、こんなに辛いとは思わなかった」
「で、感想は別に良い。真実を話せ。真実は常に一つらしいぞ」
 そう聞かれて、観念をしたのか、喋り始める。

「あーうん。うちらの村長に言われて、遺跡を。古代遺跡を探していたんだ」
「古代遺跡? ああ。王都の近くに直轄地があるな。遺跡をなぜ探すのだ?」
「あたいは、探せって言われたから、探しているだけで、よく知らないよ」
 じろりと、クスティが睨む。

「本当か?」
 びっと、羽を持ち上げる。

「ほっ。本当だよ」
 クスティはじっと睨む。

「まあいい。広大が帰ってきたら、報告をしよう。それとな。虚偽や齟齬。他にも情報を忘れているなら、早めに思い出して報告をしろ。これも追加されることになるぞ」
 そう言って取り出したのは、電マ。そう、使い方によっては凶悪。

「くすぐりながら、これを使うと、癖になるらしいぞ」
 スイッチを入れると、うなり始める。
 存在を知らない、ダニエラは引きつる。

 真面目なクスティに、こんなつまらない入れ知恵をしたのは、無論。真一。
 ソフトな、SとかMな人達の技らしい。
 罪人をはかせるのに、拷問がとか、拘束具とか、色々話が出たときに、酒を飲みながら盛り上がった結果だ。

 他にも、罪人を集め。
 あらかじめ、『早く情報を言えば減罪してやる』と、皆に伝えた後。
 部屋を別にして、個別に尋問をする。
 尋問中は、担当者の言う。「ほう」とか。「そうか」とか、そんな声を、別の部屋の罪人に聞かせながら、順に尋問をする。

 実際の尋問中は、途中で、「うん?」とか、「おかしいな?」とか入れながら聞くと、比較的すぐに証言が集まるらしい。この国はまだ、基礎教育がないから、比較的素直なようだ。


 それはさておき。王城。
「まあ飲め。アルフォンス。真一様は凄いだろう」
 そう言って、豪快に笑うマリアーナ。

「まあ。はしたないわよ。マリアーナ」
「姉上。このチューハイの、ピーチとかいってみよう」
「まあこの香り。果物で造ったお酒なの? それにしてもこの。グラス?という器。綺麗だわ。凄いのね。日本という国」
 ビルギッタのグラスに、ドボドボとチューハイを注ぐ。

「うんうん。そうだ。ほら、クトゥルフ。おまえには、このストロングというのをあげよう」
 アルコール9%の凶悪な酒だが、飲みやすく危険。ドボドボと注がれる。

「ありがとうございます。姉上。しかし、あの姉上の真一様さまも素晴らしいのですが、もう一人の、松田広大様。あの方の底知れない力。お目にかかった瞬間。私の胸が苦しくなり。足に震えが来ました」
 クトゥルフがそう言うと、マリアーナとビルギッタの目が光る。

「クトゥルフ。殿方に懸想をするのは、素敵だけれど。王族にとってそれは不毛よ。父上も許してはくれぬと思うぞ」
「ああいえ。そういう事ではなく、秘める力が、人知を超えている気がするのです。それで、姉上様達。どうしてよだれを。何か腐臭が感じられますが」

「おねえさま。内密ですが、カリーネが日本で買い求めてきた、びーえるというもの。本があるのですが。それが、なかなか癖になるもので。ストーリーと心理描写が素晴らしいのです。滞在中に是非お読みください」
 そう言って、数冊なぜかマリアーナからビルギッタへ渡る。

「ほう。美しく薄い紙。このようなものでも日本のものは素晴らしい」
 そう言いながら、あぶったスルメが気に入ったようで、ガシガシと食べている。
「それと内密ですが、本屋の奥にこそっと、薄い本という凶悪なものも存在する様子。今度入手するとカリーネが申しておりました」

 そんな2人を余所に。ニヤニヤと、薄笑いを浮かべる男が一人。
「さて、あのような情報を知って、父上はどうなさるおつもりか。楽しみだね」
 第1王子アルフォンスが、嬉しそうに微笑む。

「また。アルフォンス。悪い顔になっているわよ。気を付けなさい」
 ビルギッタから、注意が飛ぶ。

「はあ。しかし、マリアーナではなく。私が行けば良かった。残念」
「ふふっ。あの時。誰も手を上げず。父上からのご命令が下り。本心いやいやながらプローペへ赴きましたが。ふへへっ。私。身も心も変わった実感があります。もう。見下していた者達への見方も、随分と変わりました。見識を広めるのは、王族として重要ですわぁ」
 そう言って、フランクフルトを咥える。

「そんなにか。ううむ。そうだな。城にいては情報が偏る。やはり見て感じるのは、重要か」
「そうよおぉ。見て。感じて。咥えて。受け入れる。それが良いのよぉ」
 手足を広げ、ばたつくマリアーナは、完全に酔っ払い。
 ビルギッタは、渡された本に夢中。
 アルフォンスは何かを企み。
 クトゥルフは、なぜか恍惚としながら、思いをはせる。

「どう思う。宰相。いやサロモ」
「はっ。このワイン。大変美味しゅうございます。洗練され、味には深み。このサラミとチーズいうのも素晴らしい」
「違う。いや違うこともないが。あの日本という国だ」
 そう言われて気がつく。

「それは失礼を。宰相ではなく。友人として発言しよう。文化並びに技術レベル。王国が逆立ちしても勝てないね。数百年は必要かもしれないが、その頃には、向こうはもっと進むだろう」
「そうか。その、くんさきとやらをくれ」
 受け取ってかじる。

「うむ。美味いが。わしの飲んでいる。白ワインとは合わぬな。急に生臭くなった」
「そちらは、ビールか日本酒が合うそうです」
「そうか」
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