人類最強は農家だ。異世界へ行って嫁さんを見つけよう。

久遠 れんり

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第3章 アミサム王国 動乱

第87話 帰るか、行くか

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「では、よろしくお願いしますね」
 植村さんが、宰相と言葉を交わす。

 狂気の宴会から、一夜明け。
 王家の皆も、勢揃いで見送られている。
「あー。まいったわ」
 横でそう言っているのは、マリアーナ。
 完全に二日酔いのようだ。

「早く帰りましょ」
 美咲が、あわてているのは、俺に向かって、にこやかに手を振っている。第1王女ビルギッタのせい。
 酔っ払いの、狂宴の中で、俺に猛アプローチをしてきた。
 美咲が、勇者の能力を遺憾なく発揮して、ブロックをしていたが。あの目は猛禽類のような。完全に逝った目だった。

「お兄様達に、根回しは頼んでいるから。安心してね」
 そう言って、真一にじゃれつき始める。

「さて行ったか」
 早速、第1王子アルフォンスは、宰相サロモ・ティモネンを捕まえる。
「宰相。王国の将来について、重要な話がある」
 そう言って、連れて行かれる。
 なぜか、背後にはビルギッタとクトゥルフも付いて来ている。

 帰り道、情報収集のため、各村や町。農村の様子を詳細に撮影しまとめていく。
 領兵が、やって来ても。王から貰ったメダルで。へへっーと兵達は跪く。

「凄いな。このメダル」
「うんこれは。王国の客人用。他のメダルと違い。手を出すと戦争になるから、徹底的に周知されてる」
 マリアーナが教えてくれた。
 そういえば、カリーネはおとなしいな。

 振り返ると、椅子を倒して青い顔。
「どうしたんだ。大丈夫か?」
「松田様。お気遣いありがとうございます。あのような中でよくご無事で」
 ああそういえば、用事で遅れてきて、マリアーナにワインボトルを口に突っ込まれていたか。こそっと浄化と治癒魔法をあてる。

「ありがとうございます。一気に楽になりました」
 スポーツ飲料のペットボトルを渡す。
「ああ冷たくて気持ちが良い。マリアーナ覚えてらっしゃい」
 ぼそっと、何かつぶやく。

 途中、おもしろい奴らがいたので、拾って帰る。
 片側の木を切り倒し、街道を塞いでいた。
 俺たちが止まると、出てきたのは良いが、馬車とは比較にならない。でかいバス。
 すでに、防御用のシャッターは降りている。

 外部マイクのスイッチを入れ、尋ねてみる。
「あーあー。てすてす。外の奴ら。何のようだ?」
 あー何か言っているが、聞こえんな。

「ちょっと降りて聞いてみる」
 美咲に声を掛け、広大はバスを降りていく。

「でっ。でてきた。何か食い物をよこせ」
「なんで?」
「なんでって。食う物がないからだ」
「なんで、食う物がないんだ?」
「そらぁ、作っていないから?」
「じゃあ作れ」

 そう言うと、奴らは固まって相談を始める。
「俺たちは脱走農奴だ。今更帰れない」
「じゃあ一緒に来るか? 俺たちは、今からプローペに帰るところだ」
「プローペ。ああ。あそこだ。奇跡の町と言われている。農奴も腹一杯食えるって聞いた所だ」
「情報が間違っている。プローペに農奴は居ない。すべて地主で自分の土地を耕している」
「自分の土地? じゃあ皆貴族なのか」
「貴族じゃあない。あくまでも農場主だ。来たければ来い」
「信用して良いのか?」
「信用できなきゃここで居ろ。信用できる奴だけ来れば良い」

「おらは信じる。ここに居ても、兵に殺されるだけだ」
「そうだ。そうだ」
 周りで声が上がる。

 じゃあと言うことで、バスはないがトラックを出す。
 ついでに、前を塞いでいる木は収納する。
「ひい。魔導師さま」
 皆が怖がり離れていく。

「ああ。怖くないから大丈夫。ほら。何もしないから。食い物もあるよ」
 そう言い聞かせながら、自分が詐欺師か幼女に声を掛ける変態さんに思える。

 すると、輪が近くなってくる。
「行くなら、トラックに乗れ」
 あー運転手が、バスは真一か、平林さんに任せるか。
 おれは、美咲と交代か? 免許取り立てでトラックの運転ねえ。

「すまない森の中に。家族が居る。一緒に良いか?」
「当然だ。連れてこい」

 一人が呼びに行くと、わらわらと出てくる。
 小さな子を連れている人も居て、ぐったりした子を抱いている。
「おい皆来てくれ」
 バスに乗っていた、皆に指示を出す。赤ん坊にミルクを作り。何とか飲ませる。
 飲んでくれなければ、栄養点滴をするか、カテーテルで直接胃へ入れないと、駄目なところだ。
 微熱も出ているし良くない。

 魔法で治療し。
 周り全部を浄化する。
 適当に、余っていた晩餐会の料理を出す。
 最初はスープからね。

 その間に、トラックの荷台に、もったいないが、布団でも敷くかと考えたが、飼料用の藁があるのを思い出す。分厚目に敷き込む。
 幌はあるし。大丈夫か。

 3時間ごとに休憩をするように決め。走り始める。
 トイレの時には、後部から窓を叩いて知らせろと言ってある。


 訳の分からない物に乗せられたが、これで助かったのだろう。
 バルブロは思い出す。
 作物を作っても、上手く育たず。
 領主様の使いから言われた分を出せば。食い分どころか種も取れない。
 村人で集まり。村を放棄し、脱出をする。

 だが、行くあてはなく、目立たぬよう。ちりぢりに村を抜けた。
 だがすぐに、手詰まりとなる。
 食い物はなく、女房達も乳は出ず。
 森の中で、食えそうな物を採取はするが、分けると一人当てはすくない。
 さらに、別れる。

 最終的には、近所の5家族だけになる。
 困った俺たちは、街道で、盗賊をすることにした。
 方法を考えていると、さっき別れたグループが、別方向からまた来て出会う。
 考えを話し、皆。腹をくくる。
 協力して、細いが木を倒す。

 待ち構えると、見たことのないような物が来た。
 何でも良い。
「行くぞ」
 そこから後はまあ、見たことも聞いたこともないものを食わせて貰い。
 大きな荷車に乗った。

 やがて、ぐったりしていた子供達も、元気になったのか声が出始めた。
 街道は、俺たちの村の方へ向かっている。
 皆無事なら良いが。
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