銀色の魔物

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58話 ※

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 そもそもカジャックは普段からかっちりと服を着こんでいてあまり体型も分からない。
 いや、少し違うなとサファルはそっと首を振る。コートを脱ぐと予想外にも体にそったぴったりとした服だったのでコートを脱いだ姿を初めて見た時は少し驚いた。と同時にドキドキとした。
 カジャックは小柄だ。女だったらそこそこあるほうかもしれないが、男としては結構身長は低いと思われる。
 それに関しては以前、なんとなくだが出身地は南の方だったのだろうかなとサファルは思ったことがある。カジャック自体幼かったのもあってどこの生まれかも分からないらしいが、サファルの商人としての知識だと南の人間は全体的に小柄だ。北の人間は反対に大柄な者が多い。北へ行けば行くほど気温もずいぶん低くなるから人種的にも自然とそうなったのではとサファルはなんとなく把握している。
 でも色素的にはカジャックって北の人っぽいんだよなぁ。
 肌の色は白く、瞳は花を思わせるようなバイオレットの色をしている。そして髪は思わずサファルが「好きです」と言ってしまったほど見事な美しいシルバーの色をしていた。
 親のどちらかが北でどちらかが南の人間だったのだろうかとも思ったりした。大抵の者は外の世界へ行くことなどないため同じ村や町の者同士一緒になることが多い。ただ、珍しいが全くない訳ではない。
 とはいえカジャックに聞けることではなさそうだし、そもそも親に捨てられたカジャックが知っているかも怪しい。
 考えが逸れたが、とにかく小柄であるというのにカジャックの体は服を着ていてもしっかり筋肉のある整った体に見えていた。
 しかしそれすら夏になっても薄手ではあるがコートをいつも着ており、あまり目の当たりには出来なかった。カジャックの体にはっきり言って免疫などなかったのだ。

 からの裸だよ……!

 サファルとしては死んでしまうのではと思った。ちなみにカジャックの言うことが少し分かったかもしれない。普段しっかり着込み過ぎているカジャックの裸は破壊力があり過ぎた。反対に普段からカジャック曰く薄着な上に何度か川に落ちて全裸になっているサファルの体など、きっとクソの価値ほどもないのかもしれない。

 いや、でもそれだと普段からカジャックの言う露出気味らしい俺のが周りからしたら刺激少ないんじゃ……?

 先ほどから何度も考えが逸れているのは、ついそうなるのもあるが、ほんのりわざとでもある。サファルにとってあまりに刺激が強すぎて、ちょっとキツいことになっていた。泳ぐと言ってもさすがに二人でじゃれ合うなどといった展開は皆無だったし、あまり深いところのない川とはいえカジャックは流れに反して歩いたりと体を鍛えることすらしていて当然雰囲気に色気は皆無だ。それでもサファルには刺激が強すぎた。
 小柄なのにとても整い鍛えられた体は一見スラリとしている。だがカジャックが動く度に綺麗な筋肉も動くのだ。別に筋肉フェチでなくとも結構これは堪らない気がする。
 脱いでいるのはもちろん上だけだ。裸なのは上半身だけで下半身はブレーを履いたままだ。ちなみにブレーはいわゆる下着で、カジャックは着替えすら準備している。サファルや村の男のように夏は濡れたら濡れたままといった適当なことをしない。もちろんこれを脱いでの全裸などにはなってくれない。
それでも思わず拝みそうになった。
 カジャックに「少し休憩してます」と何とかにこやかに告げると日差しを避ける振りをしつつ木陰に入った。
 そして今、色々考えることで気をそらしながら、濡れたままでも服を着ればよかったと少し後悔している。森の中で上半身裸なだけでなく、自分の一部があまりに存在を主張しているのがちっともおさまらなくて居たたまれない。

 裸にコートとか、外で裸になってこれとか、俺がどうにもとっても変態っぽいんだけど……!

 ちらりと川のほうを伺う。姿はここからも見えないが、時折水の跳ねるような音が聞こえてサファルは安心した。多分カジャックはまだ川にいる。とにかく自分一人がこうなっているというのはやはり少し、いや、かなり恥ずかしい。

 ……にしてもちっともおさまってくれない……。

 いつまでも隠れている訳にはいかない。さすがに不審がられるだろう。
 抜こう、とサファルは渋々決心した。正直なところ、カジャックが少し離れたところとはいえ近くにいる状態で隠れて抜くというのは中々に厳しい状況だが、背に腹はかえられない。元々あまりこういったことはしないが、珍しくする時も家にはリゼがいるので狩りをするために出てきた森でしている。村の友人もやはり家には家族がいるため外で隠れてする者はわりといる。そのため外ですることに抵抗はないが、今は状況が違う。出来るだろうかと少し心配だったが、そこは取り越し苦労だったようだ。
 カジャックの裸体があまりにあまりだったせいでそれはブレーから取り出して触れる前から痛いほどだった。かなり熱をもったそれの先に触れるとまだ何もしていなかったというのに既に濡れている。今は少しでも早く処理してしまいたいのでむしろ好都合だった。手のひらをそれで濡らし、竿の部分に擦り付けていく。滑りやすくしたところでサファルは手を動かしていった。
 必死になって妄想する必要もなかった。カジャックの体が浮かんで消えないのだ。それだけで十分だった。それよりも声が漏れないよう、もう片方の手で口を押さえる。

 ──あ、ヤバ……もう出そ……早……ぁ、あ……。

 びくびくと体が震えた。解放感に脳が思考停止したようにぼんやりとする。手のひらを汚したまま深いため息を吐いていると「サファル?」と名前を呼ぶ声とともにカジャックが背後からやって来るのが分かった。
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