詩集『刺繡』

新帯 繭

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影立つ壁に

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寂しい空間に問いかける
影立つ壁に向かって
独り言と分かっていても
ひとは話しかける
それが例え自分であっても

ひとが本当に話したい相手
それは他人ではない
愛する人でも
家族でも
友人でもない
それは自分なのだ

自分を探求する事
それは人生の課題かもしれない
自分を愛することができなければ
他人を愛することも
優しくすることだってできはしない
自分を犠牲にして他人を愛する
それは出来ても自己満足に他ない
自分を愛しようと反作用を起こすから
自分を守ろうとして他人を傷つける
それを愛と勘違いするのだ

今日も一人
影に呟く
路傍にも壁にも
影あるところに
自分を探して独り言を呟く
影が答える
『私はあなたを愛せる』と
影が問いかける
『あなたは私を愛せますか』と

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