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三
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「えっと…どういう事…?」
青白い第一王子にくっついたままの令嬢には、これほど明瞭なことが理解できていないらしい。
第一王子の側近が、一つ息を吐いてそれに答えた。
「第一王子は王太子候補から脱落したと言うことです」
「…は?」
「それにより、エリクシア様との婚約関係も解消になりました」
「くっ」
はっきりと明言され、王子は呻いた。
「今まで歴代の第一王子が王太子となり王となった!
なぜ今回だけこんな馬鹿なことになるのだ!」
「そ、そうよ!こんなおかしな話ったらないわ」
わざわざ説明することでもないのだが。
「お言葉ですが、先代も現陛下も実績を積んだ上での継承でした。なにも力を示せない人間を長と認める国はありません」
「そんなものは!下の者がやれば良いことだろう!?」
「殿下。貴方の側近はもう私しか残っていない事をお忘れですか…?」
「…!それは、前の奴らが辞めてから増員されていないだけだろう!?」
数年前まで第一王子の側近や取り巻きは両手指の数よりも多かった。
学園生活三年目に、一人が実家の都合で側近を辞退してから、連鎖のように次々と辞めていった。
補充すれば良いとしか考えていなかった第一王子は、目の前の男以外の側近達が全員去っていった事に四年目の春になって、ようやく気づいた。
取り巻きはいつの間にか消えていた。
懇意にしている令嬢から、
「二人きりになれるように気を使っているのね。気が利く下僕たちじゃない?」
なんて言われ、深く考えることもしなかった。
「泥舟だと分かればすぐに降りるものです」
「泥舟…だと!ならばお前はっ!」
「私は…第一王子の側近を辞すよう再三言われておりました。
離れなかったのは私の意思ですが。
側近を辞めないのであれば、家督は弟に継がせると父から通告されており、それを了承しています。
ですので、今日をもって王都から去り、領地に引き上げるつもりです」
「そんな…」
側近の居ない王族など、捨て置かれたと言っているようなものだった。
青白い第一王子にくっついたままの令嬢には、これほど明瞭なことが理解できていないらしい。
第一王子の側近が、一つ息を吐いてそれに答えた。
「第一王子は王太子候補から脱落したと言うことです」
「…は?」
「それにより、エリクシア様との婚約関係も解消になりました」
「くっ」
はっきりと明言され、王子は呻いた。
「今まで歴代の第一王子が王太子となり王となった!
なぜ今回だけこんな馬鹿なことになるのだ!」
「そ、そうよ!こんなおかしな話ったらないわ」
わざわざ説明することでもないのだが。
「お言葉ですが、先代も現陛下も実績を積んだ上での継承でした。なにも力を示せない人間を長と認める国はありません」
「そんなものは!下の者がやれば良いことだろう!?」
「殿下。貴方の側近はもう私しか残っていない事をお忘れですか…?」
「…!それは、前の奴らが辞めてから増員されていないだけだろう!?」
数年前まで第一王子の側近や取り巻きは両手指の数よりも多かった。
学園生活三年目に、一人が実家の都合で側近を辞退してから、連鎖のように次々と辞めていった。
補充すれば良いとしか考えていなかった第一王子は、目の前の男以外の側近達が全員去っていった事に四年目の春になって、ようやく気づいた。
取り巻きはいつの間にか消えていた。
懇意にしている令嬢から、
「二人きりになれるように気を使っているのね。気が利く下僕たちじゃない?」
なんて言われ、深く考えることもしなかった。
「泥舟だと分かればすぐに降りるものです」
「泥舟…だと!ならばお前はっ!」
「私は…第一王子の側近を辞すよう再三言われておりました。
離れなかったのは私の意思ですが。
側近を辞めないのであれば、家督は弟に継がせると父から通告されており、それを了承しています。
ですので、今日をもって王都から去り、領地に引き上げるつもりです」
「そんな…」
側近の居ない王族など、捨て置かれたと言っているようなものだった。
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