悪女は婚約解消を狙う

基本二度寝

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「ララージャ…ですか?」
「そうだ。あの愛くるしい少女と結婚したいのだ」

伯爵は黙り込んだ。
隣にいるヒルデがごくりと息を呑むが、それには気づかなかった。

「恐れ入りますが…我が家にララージャなどと言う女はいません。御用がお済みならお引き取りを」

即座に退出を命じる伯爵に、ビリョークは急に強気になった。

「はっ!ようやく本性を見せたな伯爵!お前はララージャを隠すようにして生かしているんだろう!不憫な彼女を救い出して必ず伴侶にする!」

「我が家にそのような人間はおりません!お引き取りを!」

伯爵が追い立て、ビリョーク達を敷地から追い出す。

ため息を吐く伯爵に、ヒルデは心配そうな顔で父親の側に立つ。

「お父様」
「あの小僧にはわからなかったのかもしれないけれど、私にはちゃんとお前の表情がわかるよ。今は私を心配してると」

ヒルデは小さく頷いた。

「昨日まで、彼とは仲が良さそうにしていたように思うのだけどね。なにがあったのか」

「…心変わりされたのでしょう」

「そうだな。…それにしても、ララージャの名前をまた聞くことになるとは」

ヒルデは困ったような顔で父を見上げる。

「ララージャ様を憎んでいますか?」

伯爵は頭を垂れて首を振った。

「…、しょうのない女だった。それでも…愛していたよ」

「そうですか」

窓から外を見つめる伯爵は、すぐ後ろにいたヒルデの顔は見れなかった。

小さく口角を上げて微笑む、その表情を。

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