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十四
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『国王陛下。どうか私のことはお見捨てください』
捜索を打ち切りを決める前に、国王は、ローレンシアからの手紙を受け取っていた。
帝国の有名な黒馬生産業の馬場主が、隣国への移動中にフラリと城に立ち寄った。
帝国からの旅の途中で出会った令嬢から、この国の王に渡す機会があればと、かなりの金を握らせて頼まれたという。
帝国の黒馬は今でも各国に人気があった。
国の王がわざわざ貸与を望みに帝国に足を運ぶこともある。
黒馬場の主は各国の王族と面会できる、稀有な存在だった。
それを知った上で、ローレンシアはこの男に手紙を託したのだろうか、偶然か、国王には判断がつかなかった。
『私が再び祖国の地に踏み入れることができたとすれば、それはきっと殿下のお力が失った時でしょう。
私を引き戻すために、殿下の力を失わせる気概があるのであれば、帰国に応じますが。
できる事なら、このまま、追放の刑を受けたまま他国で生きることを望みます。
祖国の為にもそれが一番かと』
間違いなく、ローレンシアの文字で綴られていた。
鑑定でも一致した。本人からの自筆の手紙。
ローレンシア嬢は国のために、何も言わず出国した。
ならば、王もその気持ちを大事にすべきと判断した。
「黒馬のエクウス家、といえば、最近我が国から隣国に女性が一人出国していた記録があったような」
「ああ。うちの妻ですね。黒馬の貸与の調整にあちらこちらと移動してもらっていましたから」
「奥方、でしたか」
「ええ、美人ですよ」
「それはそれは」
用事を済ませ、城門の番人に預けていた愛馬の元に戻ってきたザラードは、盛大に惚気けた。
門番も肩を竦める。
「早く隣国との交渉を終わらせて妻のもとへ帰らないと」
「貴重な黒馬を預けていただき光栄でした」
ザラードは門番に手を振って城をあとにした。
この後…ザラードは公爵家に向かう。
ローレンシアの父親に会って、事後承諾の形で娘と婚姻した怒りを受ける為に。
一度話がしたいと連絡があった。
怖すぎる。
仔馬の出産よりも緊張した面持ちで、ザラードは戦場に向かったのだった。
捜索を打ち切りを決める前に、国王は、ローレンシアからの手紙を受け取っていた。
帝国の有名な黒馬生産業の馬場主が、隣国への移動中にフラリと城に立ち寄った。
帝国からの旅の途中で出会った令嬢から、この国の王に渡す機会があればと、かなりの金を握らせて頼まれたという。
帝国の黒馬は今でも各国に人気があった。
国の王がわざわざ貸与を望みに帝国に足を運ぶこともある。
黒馬場の主は各国の王族と面会できる、稀有な存在だった。
それを知った上で、ローレンシアはこの男に手紙を託したのだろうか、偶然か、国王には判断がつかなかった。
『私が再び祖国の地に踏み入れることができたとすれば、それはきっと殿下のお力が失った時でしょう。
私を引き戻すために、殿下の力を失わせる気概があるのであれば、帰国に応じますが。
できる事なら、このまま、追放の刑を受けたまま他国で生きることを望みます。
祖国の為にもそれが一番かと』
間違いなく、ローレンシアの文字で綴られていた。
鑑定でも一致した。本人からの自筆の手紙。
ローレンシア嬢は国のために、何も言わず出国した。
ならば、王もその気持ちを大事にすべきと判断した。
「黒馬のエクウス家、といえば、最近我が国から隣国に女性が一人出国していた記録があったような」
「ああ。うちの妻ですね。黒馬の貸与の調整にあちらこちらと移動してもらっていましたから」
「奥方、でしたか」
「ええ、美人ですよ」
「それはそれは」
用事を済ませ、城門の番人に預けていた愛馬の元に戻ってきたザラードは、盛大に惚気けた。
門番も肩を竦める。
「早く隣国との交渉を終わらせて妻のもとへ帰らないと」
「貴重な黒馬を預けていただき光栄でした」
ザラードは門番に手を振って城をあとにした。
この後…ザラードは公爵家に向かう。
ローレンシアの父親に会って、事後承諾の形で娘と婚姻した怒りを受ける為に。
一度話がしたいと連絡があった。
怖すぎる。
仔馬の出産よりも緊張した面持ちで、ザラードは戦場に向かったのだった。
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